2008年_第1回ヒバクシャ地球一周(第63回ピースボート)

「平和の使者の町」とペルー日系人協会での交流

12月4日、南米大陸最後の寄港地、ペルー・カヤオに入港。今日のヒバクシャのツアーは、ゼロから砂漠にできた町、ビジャ・エルサルバドルを訪問し、その後、ペルー日系人協会で日系の人たちとの交流という行程。

最初に訪れたビジャ・エルサルバドルは、1971年、山間部の貧困層が砂漠だった土地を“不法”占拠したことに始まり、彼ら自身が手作りで居住区の建設を進めてきた町だ。現在の人口は40万人にも達し、当初から住民による合議制で町の運営が行われているユニークな都市。そのことが評価され、過去、ノーベル平和賞にノミネートされたり、数々の平和賞を受けてきた。89年には平和市長会議にも加盟している。90年代には、テロにより何人ものリーダーが暗殺された暗黒時代を乗り越え、現在も平和都市として評価されている。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-1204_01

砂礫の斜面に家が立ち並ぶビジャ・エルサルバドル

賑やかなリマの街を抜け、ビジャ・エルサルバドルに入ると、砂と土に覆われた光景が現れ、粗末な民家が目につく。会場に着くと、100名以上の住民や地元メディアが到着を待っていた。最初にビジャ・エルサルバドルのガリ市長が公務で出張のため、代理としてカリント副市長が挨拶をする。貧困層の人々が立ち上がりビジャの町をゼロから発展させたこれまでの歩みと、広島・長崎が原爆投下から復興したことを重ね合わせ、皆さんにはビジャ・エルサルバドルという友人がいることを忘れないで欲しいというメッセージをくれた。

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ビジャの人たちにヒバク証言をする本村さん

それを受けて、おりづるを代表し本村チヨ子さんが、今もヒバク直後に嗅いだ異臭を思い出すという体験談から、過去の憎しみを乗り越え、平和を訴えるリーダーとして、広島・長崎が求められていると語り、ビジャの話から人々が助け合い、支え合うことが平和であることと学んだと結んだ。そして9条ユースアンバサダーの中島泰子さんが、ビジャで行われているまず話し合いという精神は9条にも通ずるものとスピーチ。最後に、ヒロシマナガサキ議定書賛同の署名を副市長が行った。

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ヒロシマ・ナガサキ議定書に賛同の署名をしたカリント副市長(中央)

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展示したスペイン語の原爆写真ポスターはその後寄贈された

その後、リマ市内にあるペルー日系人協会へ移動。同協会は、8階建ての日秘文化会館を中心に附属病院や劇場を併設し、来年に移住110周年を迎えるペルーの日系社会の拠点である。到着後、館内に設けられた2000冊もの蔵書を収める図書室や移民資料館を見学したり、バザー会場で移民1世の人たちと歓談したりした後、敷地内にある歓迎式典会場へ。

最初に日系人協会のツネシゲ会長から、おりづる一行が兄弟愛のメッセージを世界に伝える役割を担う「平和の大使」という讃辞の言葉をもらう。この式典には駐ペルー日本大使の目賀田周一郎さんも参加された。目賀田大使は、ヒバクシャ・プロジェクトの意義に触れながら、現在日本政府も核軍縮に向け積極的に関わっていると述べた。

おりづるからは、土田和美さん、藤井好成さんが証言を行う。原爆投下2日後に父親を亡くした土田さんは、20年前、1度だけ母親が「全身火傷の女学生から水を欲しいと言われた」と言って泣いたことがあると語り、5歳でヒバクした藤井さんは、父親が戦死したため、母親が女手ひとつで自分と妹を育て、自身は中学で新聞配達をしながら家計を助けたエピソードを披露、平和な世界を築くために若い人たちにしっかりと伝えていきたいと語った。

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日系人の頑張りに感動したと土田和美さん

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戦後、生きるのに必死だったと藤井好成さん

ツネシゲ会長に吉田園子さんから折り鶴のレイがかけられて、式典は終了。ヒバクシャの参加者らと日系2世の人たちが同席したテーブルでは、食事をしながらの会話が弾み、盆踊りや民族舞踊などのショーを楽しんだ。

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恒例となった「長崎ぶらぶら節」を披露

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