1.ヒバクシャ証言の航海

おりづる太平洋プロジェクト(グローバル・ヒバクシャ・フォーラム)報告

この2カ月間「おりづる太平洋プロジェクト(グローバル・ヒバクシャ・フォーラム)」の担当スタッフとして東京で準備にあたり横浜~タヒチ間に乗船し先頃下船した石井麻里子(下の写真、一番左)によるプロジェクト報告です!
    ピースボートのおりづるプロジェクト-GHF Group1
船内討論を終えて、セミナールームで記念撮影
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日本の被爆者11名(被爆2世2名を含む)*、高校生平和大使5名、元核実験場作業員1名を含むタヒチからの参加者5名、そしてウラン鉱山問題に取り組むオーストラリアからの参加者5名が集い、お互いの抱える問題や課題を共有し交流した洋上の2週間。そこには初めて知る事実や驚き、学びが沢山ありました。
戦争による唯一の被爆国である日本。30年間に及びフランス軍により200回近い核実験が行われたタヒチ。核兵器、そして原子力発電の原料となるウランを大量に産出しているオーストラリア。核の連鎖のそれぞれの段階で被害に苦しむ人々が洋上で集まり、最初の一週間は「お互いを知る期間」とし、各国の被害状況、現状、そして様々な運動などについて発表を行い、理解を深めました。
タヒチでは核実験による環境や人体への被害がフランス政府によって公式に認められておらず、元作業員の医学カルテの大部分がまだ軍の機密として開示されていないため、補償請求を起こすことも難しい状態が、核実験が終了して10余年たった今でも続いています。
核兵器や原子力エネルギーの燃料となるウランが大量に採掘されているオーストラリアでは、放射能を帯びた排水や尾鉱(ウランを純化した後に残るくず石)による環境汚染や、先住民アボリジニの文化や伝統的な暮らしの破壊が深刻な問題となっています。

    ピースボートのおりづるプロジェクト-GHF Group2

広島と長崎の原爆被害やヒバクシャ差別などの二次被害、被爆2世や在外ヒバクシャが抱える問題に加え、タヒチやオーストラリアの核被害について膝を突き合わせて学びあった後は、国籍に関係なくヒバクシャの世代と若者世代に別れ、それぞれが核なき世界の実現のために共同声明を作成しました。 核兵器、核実験、ウラン採掘など、被害の原因に関係なく“放射線”の被害者を“グローバル・ヒバクシャ”と呼び連帯と協力を呼びかける提言(グローバル・ヒバクシャ・フォーラム声明)、そして若者提言(若者共同声明)では核なき世界の実現に向けて若者が取り組むべき課題や現状理解が挙げられ、この2つの提言はタヒチで開かれた記者会見で発表されたほか、今後の寄港地でも発表される予定です。また一般向けにプロジェクト紹介企画や成果発表企画などを実施し、多くの参加者の皆さんの関心や賛同を得ることができました。
長いようであっという間だった2週間、新たな課題や決意が参加者一人ひとりの胸に芽生えた太平洋プロジェクトでした。
(石井麻里子)

*地球一周被爆者は9名(被爆2世1名を含む)ですが、太平洋プロジェクト区間(横浜~タヒチ)は長崎から被爆者の奥村英二さんと被爆2世の丸尾育朗さんが参加されましたので、それをあわせて11名と言っています。

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