核廃絶へのいろいろな動き

6月25日「Abolition Now! 核なき世界の作り方」報告(2)

__以前PBでインターンをされていて現在もおりづるプロジェクト関わっているシュミットひろこさんから6月25日おりづるフォーラムの報告が届きました!__

 6月25日の核兵器廃絶デーには世界中で様々な関連イベントが行われましたが、東京でも青山学院大学にて、シンポジウム「Abolition Now! 核なき世界の作り方」が開かれました。

 第一部は他8名のヒバクシャと共に今年1月から4月までの第4回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に参加した坂口博子さんからの報告、そして第二部は外務省軍縮課の吉田謙介課長、ヒバクシャで第4回おりづるにも参加した平井昭三さん、元高校生平和大使の大神櫻子さん、長崎出身のノンフィクション作家・高瀬毅さんの4氏がパネル・ディスカッションを行いました。

 高齢の被爆者の方々や若い学生さん達など老若男女80名近くが来場し、活発な意見交換の場となりました。

    ピースボートのおりづるプロジェクト

 被爆二世の坂口さんは、政府任命の非核特使の一人として第4回おりづるに参加し、世界13カ国14都市で証言活動をしました。5人の高校生平和大使、タヒチでの核実験やオーストラリアのウラン採掘で被曝したグローバル・ヒバクシャ達と共に、核のない世界を求める声明を発表したり、南米ではコロンビア大統領と面会するなど、現地のテレビや新聞でも報道されたそうです。

 ヨーロッパでは、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所でホロコーストの生存者や現地学生と交流したり、ジュネーブの国連本部では「ヒバクシャは核なき世界を求める」と題する証言会を行いました。福島原発事故後、最初の証言会だったため「なぜ日本はヒバク国なのに原発があるのか」など、耳の痛い質問が幾つも浴びせられました。

 同時にまた「ご家族は大丈夫ですか?」という優しい声や、援助を惜しみませんという励ましの言葉も多かったそうで、最終寄港地のフィリピンでは義援金も受け取りました。坂口さんにとっては、人類と核は共存できないことがより明確になった船旅だったということです。

    ピースボートのおりづるプロジェクト

 続いての第二部では、ヒバク国日本の役割というテーマで、意見交換が行われました。外務省の吉田さんによると、世界的な軍縮・不拡散の進展には市民社会の関心と協力が不可欠で、唯一の戦争ヒバク国である日本はその経験を国際社会に語りついで行く義務がある、というのが政府の立場だそうです。そのために非核特使の派遣、ヒバク証言の多言語化、海外原爆展への協力などによりヒバクの実相を世界へ発信することに力を入れ、また他政府・国際機関・NGOなどとも積極的に連携を進めているとのことです。

 第4回おりづるに参加した平井さんは16歳の時に広島で被爆し、お父さんと弟さんを亡くしました。平井さんがアウシュビッツを訪れた際、ドイツ人青年たちと知り合いになり、日本と違ってドイツでは過去の過失であるホロコーストについて若者が真剣に勉強していることを知りました。出発の前にドイツ青年3人が見送りに来て、メーセージを書いたタオルをプレゼントしてくれたそうです。

 平井さんも、唯一の戦争被爆国である日本は世界に核廃絶を訴えていく責任があると言います。残念ながら、平井さんは3.11以前には原発についてあまり勉強してこなかったのだそうです。しかし、今は核兵器も原発も同じコインの表裏一体だと分かりました。子どもたちの未来のために、核そのものについて真剣に考えていきたいとのことです。

 大神さんは第11代と13代の高校生平和大使を務め、今は大学1年生です。原発や核兵器は一部の地域や特定の国だけの問題でなく、世界中の人々が取り組むべき課題だと考えています。フクシマの事故では、安全だと謳われていたものが実際にはそうでなかったことが証明された、と大神さんは言います。

 今すぐとはいかなくても、長期的には自然エネルギーに転換していかなければならない、と大神さん。「すぐに現状を変えるのは確かに難しいけれど、一人ひとりが小さなことをやり続けていくことは、決して無駄にはならない」と言って、お話を締めくくりました。

 『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』などの著作がある高瀬さんは「反核のアピールをしてきた唯一の被爆国が自らの不始末で新たなヒバクシャを作り出してしまっている今、例年通りのアピールでは、もはや通じない」と言います。

 原発も原爆も長期に渡る放射能の被害は共通で、核燃料サイクルではウラン採掘の段階で既に被曝が始まっており、それが核燃料製造工場や原発でも続いているのです。各地の原発労働者がずさんな安全管理のため大量に被曝していることや、使用済み核燃料処理の問題もある、と高瀬さんは警告します。

 つまり原発はヒバクシャを生み出しながら動いているというわけです。第二次大戦で日本と同盟国だったドイツとイタリアが脱原発の方向性をはっきり示しましたが、日本もかつての枢軸国仲間に加わってほしい、という高瀬さんは「核兵器廃絶のためには脱原発が大前提」だとして、お話を終えました。

 来場者からも盛んに意見が出されました。日本の加害の問題について政府の態度を正すようなお言葉や、日本の若者にももっと歴史を学んでほしいといったご意見も聞かれたほか、県外に避難したフクシマの子どもたちが誤解のため差別やいじめを受けているので、これを克服しなければならない、放射能の影響についてもっと情報を伝えるべきで、そのためにはフクシマとヒロシマ・ナガサキのヒバクシャ同士が話し合うのは有益なのではないか、といった提案もありました。

 今回のシンポジウムでは、立場や視点、年齢層も異なる人たちが一堂に会し熱心に意見交換が行われましたが、日本ではこれまで、このような機会はまれだったのではないでしょうか。

 チェルノブイリの事故以来、ドイツではテレビや新聞で原発推進派と反対派が大規模な議論・討論を繰り広げ、この問題が国民の間で幅広く話し合われてきたそうですが、日本では今まで原発に懐疑的な意見は抑圧されてきました。

 これからはもっとオープンな意見交換の場を作っていく必要があることを強く感じました。その意味でも、今日の「Abolition Now! 核なき世界の作り方」は、大変意義深いイベントになったと思います。このような場が増えれば、国民もよりバランスの取れた正確な情報を得て、原発について適格な判断が出来るようになるのではないでしょうか。

(シュミットひろこ)

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