3.核廃絶へのいろいろな動き

イタリア、脱原発の国民投票

すでに3ヶ月ほど前のことになってしまいましたが、まだ皆さんの記憶には新しいと思いますが、イタリアで2011年6月12-13日、画期的な国民投票が行われました。
原子力発電の再開の是非を問う国民投票が成立し、政府の原発再開の計画を否決したのです。

おりづるプロジェクトとしては、直前の5月25日にイタリアの南部バーリで記者会見を開き、核兵器の被害者と原発事故の被害者は「放射線の被害者である」と述べていたところでした。
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福島第1原発の事故後、主要国での原発政策に関する国民投票は初めて。ヨーロッパでは、すでにドイツやスイスが「脱原発」を表明する一方で、フランスやイギリスは原発を維持する方針を崩していません。今回の投票結果がどのような影響を与えるかが注目されます。

日本でも、原発事故の収束を進めながら、被爆国として「原爆も原発も使うエネルギーは核エネルギーで同じ。放射能の被害は甚大で、コストパフォーマンスは全く良くない発電方法」であることを改めて訴え、エネルギーシフトを真剣に検討してゆかなければならないと思います。

背景としては、、、

イタリアの最高裁は、原発復活の是非を問う国民投票を6月12、13日に実施すべきだと決定しました。福島第1原発事故を受け、ベルルスコーニ政権は国民投票の回避を狙って原発復活計画を無期限凍結する法律を5月に成立させていました。また、過去数週間、国民投票をボイコットするよう国民に訴えましたが、最高裁は最終的な決着を民意に委ねました。
国民投票の実施を要求してきた野党や反核団体は、国民投票成立の要件である投票率50%を超えるため、10日にローマで大規模な反原発 集会を行いました。
イタリアでは旧ソ連チェルノブイリ原発事故後、1987年の国民投票で脱原発を決定し、90年までに原発を全廃。しかしベルルスコーニ政権が3年前にその方針を転換し、2013年から4カ所で原発建設に着手する計画を発表していました。同政権は、福島原発事故の直後に、この復活計画の「1年間凍 結」を決定。しかし、世論調査で75%が「原発反対」を表明するなか、国民の反原発意識が和らぐまでの時間稼ぎ目的で、改めて「無期限凍結」を打ち出していました。
今回の国民投票では、87年の「全廃」に続き、改めて原発が拒否され、イタリアの他国からの電力購入や再生可能エネルギーの利用拡大など戦略の練り直しは必至です。

原発再開を模索していたベルルスコーニ首相は13日夜、「政府と議会は結果を歓迎する義務がある。高い投票率は、自分たちの未来に関する決断に参加したいというイタリア国民の意思の表れで、無視できない」とする声明を発表。「国民投票は複雑な問題を扱うには適さないと信じてはいるが、それでも国民の意思は 明らかになった」とし、原発の新設や再稼働を当面断念する意向を表明しました。

参考掲載記事:
イタリア国民投票、原発再開に反対94%超 (日テレNEWS24)
http://www.news24.jp/articles/2011/06/14/10184515.html

原発凍結賛成は94% イタリア国民投票、開票 (朝日新聞)
www.asahi.com/international/update/0614/TKY201106140106.html

イタリア国民投票、圧倒的多数で原発復活に「ノー」 (ウォールストリートジャーナル日本版)
http://jp.wsj.com/World/Europe/node_249529

イタリア国民投票 反原発が圧勝見通し 首相「さよなら言わねば…」(産経ニュース)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110614/erp11061401190001-n1.htm

イタリア、原発再開を断念 国民投票で9割超が反対 (日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/headline/article

社会科学者の時評: イタリア「原発国民投票」は集団ヒステリー?
http://pub.ne.jp/bbgmgt/?entry_id=3720373

【Q&A/イタリア国民投票】原発再開に「ノー」 福島の事故で状況一変(共同通信)
http://www.47news.jp/47topics/e/214071.php

全廃した原発再開すべきか?イタリアで国民投票(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110613-OYT1T00230.htm

原発国民投票へ/イタリアの最高裁決定/復活の是非問う(赤旗)
www.jcp.or.jp/akahata/aik11/2011-06-03/2011060307_01_1.html

(渡辺里香)

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