1.ヒバクシャ証言の航海

キューバ活動報告①

中南米は世界で初めて非核地帯となった地域です。
その先頭を切って様々な国に呼び掛けたのが、革命国キューバ。
キューバでは市民団体の訪問、大学での証言会、在キューバ日本大使との昼食会、そしてグローバル・ヒバクシャフォーラムに参加しフィデル・カストロ前議長の前で証言をするという盛沢山な一日を過ごしました。

国家をあげて反核教育が盛んなキューバ。
8月の原爆投下の時期には式典が行われたり、テレビで関連のドキュメンタリーが流れるそうです。

まずハバナ港に着いて初めに向かったのは革命広場。バスから見える首都ハバナの街並みは経済封鎖の影響か、今でも型の古い車を修理しながら使っていたり街並みも趣があってどこを撮ってもポストカードになりそうな風景が広がっていました。

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キューバの町並み

1959年に起こったキューバ革命以降、社会主義共和国であるキューバでは、現在でもフィデル・カストロ氏やチェ・ゲバラ氏は非常に大きな存在です。この革命広場は新市街の中心地にある大広場で、国家総動員で公式行事が行われる場所にもなっています。

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革命広場

革命広場を通り過ぎて向かったのは、今回のツアーにも同行してくださった市民団体モビミエント・ポル・ラ・パス(ピースムーブメント)の事務所です。このピースムーブメントは1949年8月6日、広島・長崎の原爆投下後に出来た市民団体です。毎年8月に小中学校や研究機関、各省庁などと一緒になって集会を開いたりしています。平和、核兵器、平等な社会などについて学校への教育なども行っていて、アメリカとラテン・アメリカにネットワークがあるそうです。

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ピースムーブメントの事務局にて

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ピースムーブメントの活動について説明をしていただきました

事務所ではツアーにも同行してくださったアウグストさんから団体についての説明を受け、「ずっと原爆のことについて活動してきた自分たちにとって、被爆者であるみなさんが来てくれることはものすごく大きな意味のあることです。」と大歓迎を受けました。

広島の小学校で教員をされていたおりづる被爆者の石川律子さんからの「ここの平和教育で大切にしていることは?」という質問に対して、「ここでは家族と一緒に子供たちに大切な道徳、つまり人を大切にするということを教えています。すべての教育課程に平和と平等が大切であることが盛り込まれているし、みんなそれが大切だと知っている」ということでした。

また、1961年からキューバがアメリカとの国交を断絶し経済封鎖を受けていますが、アウグストさんは「私たちはいつも世界の平和のために戦っているのになぜこんな仕打ちを受けるのか、意味が分からない」と訴えていました。

美味しいコーヒーをいただき、メディアの取材を受けて今度はハバナ大学に向かいました。
ハバナ大学はキューバで一番大きな総合大学で、午後にお会いしたフィデル・カストロ氏もここで学んでいたそうです。今回証言交流を行ったのは外交官を目指す学生約30名。今後の政治などに影響を与える可能性のある彼らに対して被爆者たちのメッセージを届けることができたのは非常に大きな意味を持ちます。

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熱心に証言を聞く学生ら

証言者は4歳で広島で被爆した永島三歳さんと12歳で長崎で被爆した山田一美さんです。
原爆とはどういう兵器であるか、自分の当日の体験、またその後の人生に被爆したことがどのように影響したのか(自分の就職や子どものことなど)をお話くださいました。質問では、女性としてどのような人生を送ったか、政府は原爆投下を受けてどのように変わったか、被爆者への差別や攻撃があったかなどがでました。この大学は政治家になるためには有名な大学でもあり、学生さんたちが非常に熱心に勉強していて質問内容も充実したものでした。

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証言をする山田一美さん
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証言を聞いて質問をする学生ら
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最後に永島三歳さんより今回の証言会の準備をしてくださったハバナ大学の先生にお土産をお渡ししました

その後は昼食会場に移動し在キューバ日本国大使館特命全権大使の西林万寿夫さんと食事会を行いました。西林さんよりキューバの状況などについての説明があり、8月のキューバでの式典の状況やキューバでの経済封鎖の状況などについてお話をお伺いしました。

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そして、昼食後はいよいよグローバル・ヒバクシャフォーラムですが、その報告は次回記事で行います。

(おりづるプロジェクトサポートスタッフ 坂口理香)

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