1.ヒバクシャ証言の航海

5月19日、ペルーのカトリカ大学で証言会&若い女優さんとの出会い!

こんにちは。お久しぶりです。ユースの浜田あゆみです。

【ペルーの若い女優さんとの出会い】
さて、私は役者として東京で活動しているのですが、私の目標は外国の役者さんと共演すること。外国でお芝居することです。去年は韓国の俳優さんとイギリスの演出家と幸運にも三か月ほど一緒に芝居をすることが出来て夢が叶った一年だったのですが、ピースボートに乗って、また素晴らしい事がありました。

アリーナ・イ・エステレスというペルーにある劇団で活動する17歳のメリーナさんという女優さんと共演したのです!

アリーナ・イ・エステレスはぺルーのビジャエルサドバドルの歴史を伝える演劇を上演したり、サーカスを上演したりする青少年の劇団だそうです。彼女は水先案内人として船内で、乗客の方と一緒にパフォーマンスを作り上げたり、ビジャエルサドバドルについての講演を行ったりしていたのですが、ひょいっと、ピースボートのインターナショナルディレクターであるカレンが、「あゆみ、一緒に何かすれば?」と言ってくださったのです。

彼女の短い作品(詩とパフォーマンス)を見せてもらうと、とても力強く素晴らしいものでした。

メリーナさんと浜田さんの共演

自分たちのコミュニティがテロや政府によって攻撃された時に女性がレイプされ苦しんだ、というような詩の内容で、淡々と喋りながらその感情や光景を動きで表していました。日本では17歳の女の子がレイプを題材にした作品をやる事はなかなかタブーとされていると思うのですが、まっすぐと前を向き、しっかりと自分たちのコミュニティの過去に取り組んでいる彼女はとても凛々しかったです。

「詩」と聞いて、やはり私は原爆詩に取り組みたいと考え、彼女と一緒にパフォーマンスを作ることをお願いしました。驚いたのは、感情的なせりふをただただ布を広げながら喋る、という演出を付けられたことです。静かだけどその中にエネルギーが感じられ、私にはとても新鮮でした。

そして、彼女と対談も行いました。私達がなぜ演劇をするのか、どういう演劇をやってきたのか、どんな演劇の未来を望むか、という対談でした。元女優であった料理研究家の枝元ほなみさんも聞いてくださって、人前で演劇について話すのは恥ずかしかったのですが、自分の経験から少しお喋りさせて頂きました。

「平和でないと演劇は出来ない」メリーナと喋っていてひしひしと感じました。今までそんなことを考えたこともなかったのですが、もしペルーが戦争していたらメリーナのような若い子は演劇に必死になる事は出来ないし、こうして日本とペルーの役者が共演することなど到底できないのです。

メリーナとはスペイン語だったので会話は全て通訳を通してだったのですが、芝居している時はそれが全く関係なく、心が通じ合っていたように思います。ピースボートのおかげで、本当にステキな17歳の女優さんに出会えました。感謝、感謝!

【ペルー、カトリカ大学で証言会】
さて、ペルーでは今までで最大の四日間(5月16日~19日)の停泊となり、私達は四日目にリマ市内にあるカトリカ大学で証言会を行いました。

証言会では、李さんと中村さんが証言なさいました。100名ほどの学生と先生方がいらして下さり、李さんが言葉をつまらしながら、必死に涙を抑える姿に生徒の皆さんも涙ぐみながらその証言を聞いていました。

ペルーでは、日本政府やアメリカ政府が被爆者に対してどのような補償を行っているかについてや、原爆について学校教育でどう教えられているのか、など質問が多数ありました。

ユースからは、福岡なおちゃんがスピーチを、私はペルーでの証言会で、若者の活動紹介として、メリーナちゃんと創作したお芝居を見て頂きました。

証言者では出来ないことであり、様々な事を伝えられる芝居。これからも色んなところでやっていきたいと思います!

(おりづるユース特使 浜田あゆみ)

◆◇◆◇写真で報告!証言会の様子◆◇◆◇

5月16日、証言会を企画してくださったカトリカ大学のメディアの方が事前に本船まで取材に来てくださいました。

5月19日、証言会場にはこのような素敵な看板が!

証言会の始まりを待つ、李さんと福岡さん。

いよいよ証言会が始まりました。この日の証言者は、広島で16歳の時に被爆した李鐘根さんと、広島で11ヶ月の時に被爆した中村元子さん。

被爆直後、強い熱線でひどい火傷を負い首の後ろからウジが湧いたこと、李さんの母親が「これでは一人前の人間にはなれない。早く死ね、死ね」と泣きながらウジをとり看病してくれたことなどをお話する李さん。証言しながら、思わずご本人も涙声に。会場もシーンと静まり、李さんの話に引き込まれました。

今回のクルーズが、人生で初めての証言となる中村さん。放射能の世代を超えた影響について、また、二世・三世の活動の課題や展望についてお話ししました。

ユースからは福岡奈織さんが、いま被爆者の声に耳を傾ける意義や、自分たちの課題についてお話ししました。

会場にはアウシュヴィッツ強制収容所から生還した方の姿が。偶然、別のセッションで証言するために大学を訪れていたそうです。

証言会のあと、ペルーのメディアが取材してくれました。服部さん、三瀬さんが、それぞれ当時の状況やその後の人生について心を込めて答える様子に、取材者の目に涙が浮かぶ姿も見受けられました。

取材用に全員で写真撮影。

おしまい

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