第1回~第10回おりづるプロジェクト

レイキャビック~エネルギーを考える~

こんにちは。おりづるユースの山崎 御園です。

10月12日にアイスランドのレイキャビクを訪問し、証言会を行いました。

レイキャビクは、アイスランド語で「煙の港」という意味です。これは、植民地支配をされている時に海外から来た人が煙が出ているのを見たからという説があります。

アイスランドは1949年以降、NATO加盟国として「核の傘」の下にある国ですが、そのような立場にあって核兵器の非人道性に関する共同声明に賛同している数少ない国の1つです。

今回も、前々回のイギリスに引き続き、「日本の被爆体験を語り、アイスランドの持続可能エネルギーを知る」といった目的で、おりづるプロジェクト以外の一般の乗船客の方たちにも同行して頂きました。

まず初めに、ヘットリシェイディ地熱発電所の見学をしました。

ヘットリシェイディ地熱発電所の説明

アイスランドは再生可能エネルギーの先進国としても知られ、一次エネルギー使用の70%近くを地熱エネルギーが占め、90%の家が地熱発電でまかなわれています。

発電所は、1700年前に噴火した火山の麓に位置しており、周りには熱水がたくさんあります。

3kmほど地下を掘り地熱水をくみ上げて熱水と蒸気を分離し、抽出された蒸気をエンジンルームに運びタービンを利用して蒸気を電力にしてエネルギーを作っています。

毎秒670リットルほどの熱水と300メガボット程の電力を作って、パイプラインを通して家庭などに送っています。

三菱製のエンジンルームの見学をした際、非常に人が少ないように思いました。

従業員は平日は40人、土日は2人と、ほとんどが機械で管理されているようです。

また、地震が多い国と聞いていたので「地震によって発電所が可動しなくなることはないのか」と質問してみたところ、「7、5マグニチュードまでの耐震対策はしてあるので大丈夫だが、火山の噴火よって止まることはある」との答えを頂きました。

レイキャビクは地熱活動が大変活発で、近い未来には更にいくつもの地熱発電所の建設がされる予定でいますが、周辺の自然破壊にも目を向けていかなければなりません。

見学の様子
 

次に、クヴェラキャルディ(温泉の庭園)という街へ行きました。

世界でも珍しい地熱地帯にある街であり、街の丘の上には無数の温泉があり、温泉の自国であります。

今ではアイスランドでは「ブルーラグーン」が有名ですが、この街がアイスランドスパ発祥の地です。

ここでは、グリーンハウスと湯畑の見学をしました。

グリーンハウスでは温泉からの熱水を利用して、野菜、果物、ハーブ、花を育てています。

特に、アイスランドのバナナの輸出量はヨーロッパの中で最大国です。

湯畑では、間欠泉が湧き出ている瞬間を見学することができました。

アイスランドは夏が短いため、農園は盛んではなく主産業は漁業水産物加工業となり、世界でも18〜20位以内に盛んとのことです。

アイスランドでは捕鯨を行っていて、そのほとんどを日本に輸出していましたが、捕鯨に関して様々な議論があり、昨年から日本が鯨の輸入をやめたので今年に入ってから捕鯨は行っていないとのことです。

アイスランドのエネルギー事情を学んだ後には、昼食の時間となりました。

今回のレストランは、いつもと一味違いましたので、説明させて頂きます。

「Kuot&kunst」というレストランで、アイスランド語で肉とアートという意味です。

地熱地帯のすぐ傍にあることから地熱温泉の蒸気をパイプを通してそのままキッチンへ引いています。この調理方法はアースクッキングと呼ばれていて、世界でも稀に見る地熱のエネルギーによって調理されているレストランです。

料理はすべて地熱エネルギーで蒸したり炊いたり焼いているそうで、美味しいチキンやカレー、パンを頂きました。味付けも良く、健康に良さそうで、体で地球のエネルギーを感じることができました。

昼食の様子

次に、ホフディハウスを訪問しました。

ホフディハウス

ホフディハウスは1986年に米国のレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長による冷戦終結に結びつくことになった米ソ首脳会談が行われたことで知られて、近代史の平和記念碑的建物となりました。

当時の写真

会談が行われた場所

いつもは閉鎖していますが、特別なゲストが来たので開けましたと、もてなして頂きました。初めにホフディハウスの歴史の説明をして頂き、その後は自由に見学をさせて頂きました。

館内の説明している様子

見学した際に、二階にお手洗いを見つけました。そこのお手洗いは、レーガン大統領が3人のスタッフとミーティングを行った歴史があり、レーガン大統領はトイレの上に座られていたというユニークなエピソードを聞くことができました。

ちなみにこの事実は今から2年前に判明し、私たちが訪問した日はお手洗いの使用は禁止されていました。

ホフディハウスの室内はとても豪華ですがすごく落ち着く空間で、こんな場所で人と人が核兵器を落とすかどうかの会談を行っていたとは信じられませんでした。

集合写真

最後に、レイキャビク市役所を訪問させて頂きました。

寄港日は、冷戦終結から30年を祝うレイキャビク市主催の「ピースウィーク」の真っ最中でしたので、それに伴ったピースイベントに参加させて頂きました。

イベントには地元の三校の生徒の子どもたち200人が出席してくれました。

初めに、日本文化交流を行いました。

エイサーの出し物をしたり、一緒に折り紙、習字、浴衣の着付け、けん玉をして交流を楽しみました。

地元の学生と交流

セレモニーでは、初めにイベント主催者のレイキャビク市長からの挨拶がありました。

レイキャビク市長

市長は去年、被爆者の話を聞いて深い感銘を受け、個人の体験を聞くことは核兵器廃絶を実現する拍車となるのでその取り組みに賛同しているそうです。

次からもっと大きいイベントを開きたいと思いこの場を設けてくださったと聞き大変嬉しく思いました。

子どもたちには被爆証言の大切さについて教えてあげてほしいとの言葉を頂き、私たちもより一層気合が入りました。

次に東野真里子さんによる証言が行われました。

東野さんは被爆者が高齢化していく中、二度とあやまちを繰り返さないという想いを継ぎ、二世の言葉として世界へ発信しています。

東野さんは大勢の前でも緊張する様子がなく、これからの世界の未来を担う子どもたちの前で二世として活動する東野さんが証言を行うことは、適役だったように思います。

証言を終えた後は、東野さんによるお土産の贈呈を行いました。

キャラクターが描いてある鉛筆と、牛乳の形をした消しゴムは珍しい様で、とても好評でした。

会場にいた赤ちゃんに渡すと、お母様が「この子が大きくなったら渡すわ」と笑顔で話して下さいました。そのお土産を渡しながら、いつか証言の内容について話して、伝えるきっかけになってくれたらと願います。

東野さんの証言

また、今回の証言会にはClifton Danielさんが出席してくださいました。

Danielさんは著述家であり、広島•長崎への原爆投下を命じたトルーマン元米大統領のお孫さんであります。

東野さんの証言が心に響いたようで、証言後に声をかけてくださいました。

お二人のツーショットはある視点から見れば異様な光景かもしれませんが、だんだんと世界が平和に近づいている様に感じました。

また、証言会を見に来ていたアーティストの方が、「自分の作品を見て欲しい」と声をかけて下さり、急遽画廊を見に行くことになりました。

作品は、原爆投下の瞬間の人々を彫刻にしたものでした。

原爆投下を表した作品

作者の方は幼少期の頃から広島・長崎についての話を聞いていて、いつか何かをしたいと思っていたそうで、彫刻作品はなんと原爆投下当時の原爆ドームの木材、瓦によって作られているそうです。

日本に居ても見たことのない、原爆投下当時の原爆ドームの瓦礫をまさかこんな遠い国に来てまで見ることになる日が来るとは驚きました。

森川高明さんが瓦礫を持った時、アイスランドで再び当時のものに触れるという、歴史的な瞬間を目の当たりにしたような気がしました。

アイスランドの人々がこの作品を見て、広島•長崎に着いて知るきっかけになればいいなと思います。

また、街で出会った現地の方に、自分が日本人ということを伝えると、すぐに「オノヨーコさんをご存知ですか?」との質問を頂きました。

オノヨーコさんは、アイスランドが水力エネルギーなどを生かした環境に優しい国であり、水、空気、土壌が綺麗だからという理由で、「平和の光」を発信するイマジンピースタワーをこの地に設立されたそうです。

今回は、たくさんの場所を訪れて見学し、アイスランドのエネルギー事情を見て食べて感じ、体で体験することができました。

日本も発電方法を見習い、工夫していかなければならないと強く思いました。

今後ともよろしくお願い致します。

文/おりづるユース 山崎御園 編集/ピースボートインターン 鈴木慧南

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