参加者のその後の活躍

被爆者との出会いを卒業研究に!

被爆者と中学生の素敵な出会いがありました。

昨年(2016年)の7月に夏休み中の学生やその保護者など60名くらいが集まって「戦後71年~あの日の記憶を未来につなぐ」でお話させていただきました。

2015年の戦後70周年に行われたピースボート第8回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」の取り組みを紹介させていただいた後に、実際に105日間の証言の航海で世界にその声を伝えた三宅信雄さんと小谷孝子さんから証言を聞きました。

被爆当時6歳の小谷孝子さんは、腹話術の人形との対話を通して体験を話しました。当時6歳だった小谷さんがたった4歳の弟を目の前で亡くしたこと。やっと飲めた水を飲み込み「お水おいしいね、飛行機怖いね」との言葉を残して亡くなったこと。夏休みで聞きに来た小中学生にも、その無念さはしっかり伝わったようで参加者はし~んと聴き入りました。そんな聞き手に対して、小谷さんは「自分だけ生き残った罪悪感に長い間苦しんでいた。でも、今はこの人形を死んだ弟だと思って一緒に語っています。去年はこの子と一緒に地球一周して、世界を見せてあげることができました。戦争がないと夢が持てる」と語り、一つ一つの言葉が聞く人の心にしみ入っていたようでした。

三宅信雄さんは16歳の時、広島の爆心地へ向かう路面電車の中で被爆しました。突然地獄に放り込まれたようだったと語り、生き残った被爆者の戦後も差別や後遺症に苦しみ続けてきたと話しました。また、三宅さんは自分たち被爆者の苦しみや経験は「昔話」ではない「現在の世界も直面する可能性を持っている。核保有国が72年前の広島や長崎に落とされた原爆の何十倍もの威力をもった核兵器を1万発以上ももっている。今の私たちの問題として捉えて欲しい」と結びました。

この証言会自体は、とても温かみのあるもので、話し手と聞き手がお互いを近くに感じられるものでした。

その聞き手の一人に、中学3年生の学生Kさんがいました。彼女はちょうど『戦争が奪ってしまうもの、変えてしまうこと』というテーマで中学の卒業研究の論文を書こうとしていました。彼女は一番前の席に座り、静かに真剣なまなざしで二人の話に聞き入っていました。たくさんのメモを取り、最後に二人と連絡先を交換して帰って行きました。

その後、4〜5ヶ月をかけてこの二人の被爆者と第二次世界大戦を体験したアメリカ人とに同じ内容の質問をするインタビューを通して自分なりに『戦争が奪ってしまうもの、変えてしまうこと』という問いに答えを求めたのでした。

彼女が聞いたのは以下のような質問でした。

1、戦争を体験したのは何歳の時ですか?

2、戦時中はどのように過ごしていましたか?

3、一番忘れられない記憶は何ですか?

4、戦争によって失ってしまったことはありますか、またそれは何ですか?

5、“戦争“という物の何が一番怖いと思いますか?

6、戦時中、“敵の国の人“をどのように思っていましたか、そしてそれは戦後に変わりましたか?

7、“戦争“についてどう思っていますか?

8、戦争を経験して私たちに伝えたいことはありますか?

9、平和な世の中を創っていくためには何が必要だと思いますか?

10、改憲、安全保障関連法案についてどう思いますか?

戦争の体験を聞くだけでなく、個人としての記憶、そしてそこから伝えたいこと、など「深い考察から出てきた質問だ」と、三宅さんも小谷さんも感銘を受けていました。

そして、戦争当事者から返事をもらったKさんは、こんな風に返しました。
「知らなかったこともあり、びっくりすることもありました。

戦争を経験してきた方々の苦しみや悲しみを無駄にしないよう、私たちは平和のために自分たちにできることを少しづつでもやっていかなくてはいけないのだなと改めて思いました。そのためには過去をしっかり知って、今のことを考える糧にしないといけないのだと思います。
この卒業研究が終わったら知ろうとするのをやめるのではなく、知ろうとし続けるきっかけにしようと思います!」

こんなやりとりを経て、とうとう先日(1月21日)卒業研究発表会がありました。

この日は、Kさんの学校、明星学園中学校で開かれたプレゼンテーションを三宅さんも小谷さんも会場で見守りました。そこで、Kさんは日米の戦争体験者と話を聞いてこんな風にまとめました。

明星学園での研究発表会の様子

1)「自分の国が第一!」と考えると異なる考え・宗教を排除するようになる

自国のマイ
ノリティー「少数派」も認められないようになる

自分を守り、相手を攻撃するようになる

だからこそ、「個」の存在・違いを認める必要がある。

2)「戦争は過去のこと、関係ない」

身近な人の体験・重いを想像すること(自分と関連付けること)、

過去を知り、行動に移すことが大切である。

プレゼンテーションの後、Kさんと三宅さん、小谷さん、Kさんのご両親、卒業研究の指導担当の先生とで、Kさんの頑張りを心強く思い、これからの歩みに望みをもちました。

プレゼンテーションを聞いた小谷さんは、「本当に中学生三年生ですか?と思える程素晴らしく、Kさんの将来が楽しみ」「今後の学校での「平和授業」にKさんの話を取り入れていきたいです。」とおっしゃっていました。

<前列左から:ピースボート渡辺、三宅さん、Kさん、小谷さん、卒業研究指導の先生/

後列左から:Kさんのご両親>

被爆者の思いを聞くこと、それを多くの世代で共有すること、そこから具体的な行動にでること、、、、、様々な大切なことを学んだ気がします。

卒業研究会の様子は明星学園中学校のブログでもご覧になれます。こちら

ピースボート 渡辺里香

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