第10回 ヒバクシャ地球一周 証言の航海

人道主義の国@ノルウェー

このノルウェーでの活動は、現地在住の日本人ジャーナリスト:鐙麻樹さんが記事にしてくださいました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/abumiasaki/20170608-00071852/

こちらは日本語の記事で、写真もふんだんに使われており、非常にわかりやすく活動をまとめてくださっています。
ぜひぜひご覧ください。(ピースボート 佐久間)
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みなさんこんにちは。
ピースボートスタッフの鈴木慧南です。

6月5日(月)にノルウェーのベルゲンに寄港したので、その時の様子をお伝えします。

ノルウェーは伝統的に、平和や人道分野において国際貢献を積極的に行っている国です。
2008年に成立したクラスター爆弾禁止条約は、その交渉過程が「オスロ・プロセス」と呼ばれているほどに、ノルウェーがリーダーシップを取っていきました。
また、スイスらとともに核兵器の非人道性に関する国際的な運動を主導した国の一つでもあります。
核兵器の非人道性に関する共同声明を2012年から発し、2013年3月には核兵器の人道的影響に関する国際会議をノルウェー政府主催のもと、オスロで開催しました。
また2006年には核兵器を非人道的な兵器として、その製造に関わる企業への公的な投資を引き揚げる決定をしています。
しかし、2013年9月に政権が交代し中道右派政権になってからは、核兵器禁止に向けた取り組みがペースダウンしてしまいました。
2016年の核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議に、日本や他のNATO(北大西洋条約機構)の国々同様、「反対」の票を投じました。今年の3月に行われた交渉会議にも出席していません。
議会の多数派は、人道主義を掲げるノルウェーは核兵器禁止を主導するべきだとして、政府の消極的な姿勢を転換させようとしています。
今年の9月には総選挙があるため、そこで政権が代われば、核兵器禁止へ向けた動きや軍縮に前向きな政策をとる可能性もあると言われています。

ノルウェーの伝統的な街並み

そんなノルウェーでは今回、文学会館のホールをお借りしてイベントを行いました。
まず、94回クルーズに一般の参加者として乗船している、守分(モリワケ)さんご家族に日本の伝統的な踊りである獅子舞を披露していただきました。
かわいらしい守分さんからは想像できないようなダイナミックな動きに、会場は興奮していました。また、お子さんである5歳のあさひくんのかわいらしい踊りに人々は終始笑顔で見ていました。

獅子舞を披露してくれた守分さん一家

会場が温まったあとには、ベルゲン市の社会的責任・住宅・包括担当のErlend Hornさんから歓迎の挨拶をしていただきました。
「ベルゲン市は平和首長会議に加盟しており、核廃絶のために尽力を尽くしており、この場で被爆者の方の話を聞けることを大切な時間だと思っています」と仰っていました。
Erlendさんは2年前の第8回おりづるプロジェクトで証言を行った際にも熱心に聞いてくださった方であり、再会できたことを私もうれしく思っています。

次に、最近ベルゲン市のユース議会において「ユース市長」として当選したTora Kildehaugさんから歓迎の挨拶をいただきました。
Toraさんは17歳のかわいらしい女の子でしたが、核廃絶へ向けた力強いメッセージをいただきました。
挨拶の最後にはジョン・レノンの「Imagen」から平和を想像することの大切さをお話していました。
高校生という非常に若い年齢でありながら、自分の住んでいる町のこと、また世界から見たノルウェーのことを一生懸命に学び、平和な社会作りに貢献している彼女を尊敬しています。

このお二人は、ヒバクシャ国際署名にも快くサインしてくださいました。



Erlend Hornさん

Tora Kidegaugさん

次に、おりづるプロジェクトの紹介をしたのち、この証言会の直前までスウェーデンからオスロへ空路にて先発し、ノルウェーの外務次官との面会を果たしていた三瀬清一朗さんより、その面談の報告がありました。
忙しい時間の中での面会だったため、長い話はできなかったとのことでしたが、核兵器の非人道性を改めて訴えたところ、共感はしてくれたものの、核保有国が参加しない条約には意味があるのか?と問われたそうです。
一国の外務次官であったからこそ慎重な発言ではあったけれども、一人の人間としては分かってくれていたと話してくれました。

三瀬さんのスピーチ

続いて、広島の被爆二世である砂原由起子さんが、広島市の伝承者養成事業で児玉光雄さんから伝授を受けた被爆証言を語りました。
3年間に渡って、1人の人の証言を親身に聞く伝承者制度でやってきたので自分のことのように感情のこもった証言をされていたと感じています。
また、写真などを使用したのでその情景と証言を合わせて考えて聞くことができ、会場のみなさんの表情からもその真剣さが伝わってきました。

砂原さんの証言

少し心に衝撃を受けるような証言を聞いて、後にカラカス市民オーケストラの数名が場を和ませる音楽を演奏してくれました。

そして短い時間の質疑応答では、9歳の女の子から「そのとき病院はなかったのですか?」と当時を想像したのであろう質問が出て、三瀬さんは「爆心地付近は一切の建物がなくなって学校が病院の代わりになっていたんだよ」と優しく答えていました。
質疑応答後には、三瀬さんから女の子に歩み寄って「質問をしてくれてありがとう」とハグをして写真を撮っていました。



ハグをする女の子と三瀬さん

今回は2時間という短い時間の中で盛りだくさんとなったイベントでしたが、温かい人々に囲まれてよい空間をつくることができたと思います。
また、多くの人々が様々な形でかかわってくれたからこそ、心穏やかに被爆証言を受け入れることができたのだと思います。
これからも、会場にいるすべての人にとって記憶に残る空間づくりを心掛けて、証言会を行っていきたいと思います。



フロイエン山での集合写真

ピースボートインターン 鈴木慧南

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