5.おりづる全国証言会

高校生と考える『核兵器で国は守られるのか?』@都内高校

みなさん、こんにちは。

おりづるピースガイドの橋本舞です。

 

2018314日(水)95回クルーズで実施されたおりづるプロジェクトにご乗船いただいた木村徳子さんと一緒に高校生2年生23人の国際クラス)を対象として被爆証言会を行ってきました。

 

先月ピースボートおりづるプロジェクトにて「今、あらためて被爆者の声を届けたい」と銘打ってクラウドファンディングが行われました。資金を集め、実施される証言会の準備会として都内の高校で行いました。

 

証言会というのは当然被爆者の証言を聞くことが目的です。しかし、証言を聞くのと同じくらい大切なのは、聞き手ひとりひとりが核兵器についてしっかりと考えることです。

今回の証言会では時間を2時間以上たっぷりとり、被爆証言の前後に生徒が核兵器について考える時間、そして生徒と被爆者の木村さんの対話の時間を設けました。

 

ということで1時間目。生徒には班に分かれてもらい、核兵器に関してのワークショップを行いました。

 

今回訪れた高校では、授業の中で「模擬国連」を取り入れ、生徒ひとりひとりが担当国の立場になって核兵器についてのディスカッションを行うなど、核兵器についてはこれまでもたくさん扱ってきたとのこと

 

最初に聞いたのは「核兵器について知っているイメージ」。核兵器と聞いて連想するものはと尋ねてみました。

 

生徒が挙げてくれたものの中には、「黒い雨」「核兵器禁止条約」「さだこさん(佐々木禎子さんのこと)」などがありました。

 

次に話し合ったのは「核兵器は国を守るために必要か」ということ。まずは単純にYESNOで答えてもらいました。

 

結果、高校生の意見では「持っている方がいい」が大多数

 

 

理由を聞いてみると・・・

「持っていればほかの国に攻められることはないから」

「なんとなくだけど持っている方がいい」

というような答えが出てきました。

 

ただ、先生や核兵器反対派から「持っていれば他国から守れるって意見があったけれど、今は国同士の争いなんて少ないよね?」「核兵器を持っていてもテロは起こるよね」「核兵器以外の武器性能が上がっているのに、核兵器だけで太刀打ちできるの?」などとの質問が出ると、なかなか反論することができないようでした。

 

一通り核兵器の必要性について話し合った後、「核兵器禁止条約は作るべきか?」という質問も投げかけてみました。

 

ほとんどの生徒が「現実的に実現は難しいがあった方がいい」との意見。その理由を聞いてみると…「目指すゴールとしてわかりやすい」ということでした。

 

なんとなくではあるけれど核兵器は国を守るために必要だということがわかった1時間目を経ての2時間目は、木村徳子さんの証言を聞きました。事前のアンケートで実際の体験者から話を聞いたことのある学生は、45名ほどしかいませんでした。

 

木村さんは10歳の時に爆心地から3.6㎞の自宅で被爆しました。前の日の予定では、その日木村さん一家は爆心地近くの疎開先に引っ越し作業で行く予定でしたが、当日の朝に空襲警報で作業が遅くなってしまったために、引っ越し作業は中止して家で過ごすことになったそうです。それが幸いして直接的な被害には遭わずにすんだことをお話してくれました。原爆投下から数時間後、遠くから灰色の何かが近づいてくるのを木村さんは見ました。近づいてきてから分かったその正体は、爆心地近くで被害を受け、熱線で全身赤くふくれあがり、爆風で髪逆立ち、全身に灰をかぶった人たちでした。「水を…ください…」と言う人たちに、徳子さんは持っていた水筒の水を渡してあげたそうです。

 

当時の経験を、普段と変わらない優しい声で話す木村さん。1時間目の話し合いの間、核兵器肯定という意見に対しても何も言わずに静かに生徒のやりとりに耳を傾けていた木村さん。そんな木村さんは被爆証言を「色々な意見があると思いますが、核兵器を使えば、核兵器が落とされたら、相手だけではなく自分にも恐ろしいことが起きる。そのことをわかってほしい」と力強く締めくくりました。

 

木村さんの証言を聞いたあと生徒に感想を聞いてみると、「私たちは国レベルでの話をしていたけど、市民レベルで考えた時に、机上だけでではなく感情的に核兵器はいけないものだと知りました。」との意見が。「被爆証言を初めて聞いて、想像もつかなかった被害がそこにはありました。」と、涙を流しながら話す生徒もいました。

 

 

証言会の締めくくり核兵器をくすために自分たちには何ができるのか」をテーマとしたディスカッションをしました。知らない人に伝える、署名活動をする、ブログやウェブサイトを使って発信する、など、いくつもの案が挙がりました。

 

最後は、学生から木村さんへお礼の言葉と記念撮影をし、2時間強にわたる証言会が終了しました。

 

【同行してみて:橋本舞 おりづるピースガイド*

*ピースガイドとは被爆者の声を受け継ぎ核兵器のない世界を目指して発信できる人材の養成を目的とした、ピースボートの洋上にて行われる特別講座を受講した若者のこと。)

 今回私は、おりづるプロジェクト全国証言会(準備会)にピースガイドとして同行しました。私はピースボートの地球一周の船旅の中で被爆者の話を聞、核兵器は恐ろしく危険なものだということを知りました。しかし、船旅では、被爆者の声を聞いても核兵器の必要性を訴えるいることも知りました。そのような体験から「体験者の直接の声を聞いても『核は必要』という人の意見を変えるのはなかなか難しい」と思っていました。

 今回、高校生たちの日を通しての意見の変化を目の当たりにし、被爆証言をまっすぐに受け入れる純粋さがあることに驚きました。授業として、核兵器のことや核保有国のことを学んでいた彼らであっても、核兵器のことをどこか他人事として考えていたのでしょう。今回直接木村さんから話を聞き、彼らは自分たちの祖父母と変わりない人が、自分たちの想像を超える被害を受けていたことを知りました。その衝撃が彼らの心を動かしたのだと思います。同じ人間であり、同じ地球に住んでいるのですから、他人事なわけがないのです。今までは関わることが少なく、自分とは関係ないと勘違いしていただけなのです。原爆の被害は過去の話ではなく、まだ続いている問題です。

 「活字から入ってくる情報ではなく、音として入ってくる情報、話し手の表情、その場の雰囲気、それらが合わさることによって相手の心を変える。」まさしく、私がピースガイドになって学んだことを実感した日でした。

 高校生の意見の中で「被爆者みなさんがすごく頑張ってられたことを知りました。これからも頑張ってください」との意見ありました。私は、この言葉が、高校生が尊敬の念を表した心からのものだとわかりつつ、次は高校生らとともに「頑張ってください」を「ともに歩みたい」に変えていきたいなとも思いました。

 私は、想いを語り継ぐためにヒバクシャと一緒に歩きたい。どうすれば核兵器を廃絶していけるのか一緒に考えたい。そしてゆくゆくはバトンを受け継ぎ、それを自分の子ども世代へと託す。そんな風にみんなが思えるようにしていきたいのです。

 国同士などの確執を抜きにして考えたとき、核兵器の「ある世界」か「ない世界」どちらがいいと言われれば、誰もが「ない世界」を選ぶでしょう。それでも核兵器廃絶に向けて世界がなかなか進んでいかないのは「無関心」な人が多いからだと私は思います。それではどのようにすればそのような人たちに関心を持ってもらえるのか。単に「無くしていこうよ!」と熱意に頼って訴えるだけでは、自身と相手の温度差から「暑苦しい」で終わってしまうと思っています。いかに自分事として感じてもらえるかが大事なのではないかと感じています。木村さんに限らずですが、証言活動を行人たちは、相手によって話す内容を変えていることに気が付きます。どこを重点的に話すのか、どの言葉を選べば相手にわかりやすく伝わるのか。私も同じように、相手の熱意や関心度によって、どのように話せば相手に引かれずに関心をもってもらえるか、今後の証言会を通して、様々な語り部さんの話を通して学んで行きたいです。そして、身の回りの友人から、実際に条約への決定権を持つ人まで、ありとあらゆる人の熱意に合わせて話せる人になりたいです。

 

※下記のリンクより簡易版報告書も見ることが出来ます。

 

 

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