5.おりづる全国証言会

「73年前の広島のはなし」@岐阜県高山市 (おりづる全国証言会/第3弾 )

10月14日(日)おりづる全国証言会の第3回目として、岐阜県高山市国府町にて被爆証言会を実施しました。企画当初は7月7日(土)の開催を予定していましたが、豪雨の影響で延期となり、か月遅れての開催となりました。当日は、高山市内にとどまらず隣接する飛騨市や下呂市からの来場者もあり、約50名が参加してくださいました。また、事前に市内在住のろう者から参加希望があったため、高山市から手話通訳者を派遣していただきました。さらに、会場内には原爆被害者団体協議会(被団協)とぎふ生協のご協力を得て、被団協の原爆パネルを展示しました。開演前には参加者の多くの方が、展示パネルを熱心に見ていました。

証言会の冒頭に、導入として「私の大切なもの」をテーマにしたペアトークと、現在の核兵器の数を体感するBB弾を利用したワークショップを行いました。ペアトークには慣れていない参加者も多く、最初は戸惑いもありましたが、導入により会場の雰囲気づくりや、個々の日常と核兵器の現状をつなげて考える機会になったように思います。


証言者をしてくださった八幡照子さん(左)とファシリテーターを務めた瀬戸麻由さん(右)

証言は、広島県安芸郡在住の八幡照子さんにお願いしました。八幡さんは8歳の時、爆心地から2.5km地点で被爆されました。証言会では、原爆投下前の生活の様子から、原爆投下当日、そして投下後、最後に現在の活動の様子や思いなどをお話頂きました。来場者が理解しやすいようにと、瀬戸さんからの質問形式での証言会としました。原爆投下前の様子では、小学校入学時美しく咲いていた桜や遠足のお弁当が嬉しかったことなど、話を聞いているだけで、今に通じる喜びが色鮮やかに目に浮かびました。それが原爆投下当日のお話から一変、壮絶な当時の様子に会場全体が息をのむようでした。ピースボート主催の「ヒバクシャ地球一周~証言の航海~」(通称:おりづるプロジェクト)へ参加したお話では、世界中で戦争被害者に出会ったこと、戦争が起こると被害者にも加害者にもなると感じたことなどを語ってくださいました。

会の最後には、瀬戸さんの歌に合わせて、被爆当時の絵や写真、八幡さん・瀬戸さんの活動の様子などをまとめたスライドショーを上映しました。

質疑応答の時間には、参加者の方から「当時の八幡さんと同じ年齢になった我が子にも聞かせたいと思い、家族で参加した。お母様の思いに胸を締め付けられた。当時の家族の絆の強さが印象に残った」「瀬戸さんの活躍ぶりに感服した。今後の活動を応援しています」などの感想がでました。


会場となったこくふ交流
センターの様子。

 全体会終了後、休憩をはさんで交流会を行いました。約10名の方が残ってくださり、八幡さん・瀬戸さんとゆっくりお話できる機会となりました。中でも、参加されたろう者の方の中に八幡さんと同じ年の方がいらっしゃり、当時の話で盛り上がりました。その方にお話を伺ってみると、「広島・長崎に原爆が落とされたと知ったのは、戦後から40年ほど経ってからのこと。被爆者の方から直接お話を伺う機会など今までなかったので、非常に嬉しかった」と喜んでいただきました。また、ほかの参加者の中には、「現実を知って、どうしたらいいのか。自分に何ができるのでしょうか」と熱心に聞かれる方もみえました。

アンケートからは、「初めて直接お話を聞いた」「平和の大切さを改めて感じた」「子どもたちに伝えていかなければ」という感想が多くありました。これまでも、岐阜県原爆被害者団体協議会(岐朋会)やぎふ生協によって、飛騨地域での証言会や平和集会など実施されてきましたが、それでもその機会は多くはありません。近年では、小学校や中学校の修学旅行でも広島・長崎へ訪れる学校は少ないと学校関係者から伺いました

今回はこの機会にと、一般向けの証言会の翌日の10月15日(月)には高山市立国府小学校でも証言会を行いました。6年生61名に八幡さんの証言を聞いてもらうことができました。広島・長崎から遠方であるこの飛騨の地で、このような会が持てたことは大きかったように思います。これも、今回クラウドファンディングにより経費を補助していただけたことによるもので、企画者の方をはじめ、多くの協力者の皆さまに感謝しています。今回企画段階からご協力いただいた被団協(岐朋会)やぎふ生協高山支部の皆さんとのご縁を大切にし、また広島市・長崎市による伝承者派遣事業なども視野に入れ、今後の展開を模索していきたいと思います。


高山市立国府小学校での証言会の様子。 

(文責:国府町まちづくり協議会・多賀泰歩)

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