1.ヒバクシャ証言の航海

祝!日本被団協ノーベル賞授賞式行動ツアー ~現地3日目~

12月のオスロの日の出時間は平均8時。そろそろ夜が明け始めるという時間に若手議員との朝食会を実施しました。
ノルウェーの核軍縮に取り組む議員に向けて被爆証言をおこなったのは、花垣ルミさんと三田村シズ子さんの2名。2人とも紙芝居や写真などを使用しながら原爆被害の実相や、自身が感じたその後の影響を話します。

長崎の街について紹介する三田村シズ子さん

参加した議員全員が生の被爆者の声に耳を傾けます。話を聞いた後「折り鶴の意味を知って僕も折ってみたんです」と三田村さんに鶴を渡す議員も。花垣さん三田村さんから、刺激を受けた議員たちは限られた時間の最後までお二人に質問をしたり感謝を伝えたりといった姿が見られました。

花垣ルミさんと議員たち

 

ノーベル平和賞授賞式に合わせてヒバクシャに限らず多くの人がオスロを訪れました。若い世代の立場から核兵器廃絶を世界に訴える活動を行う「高校生平和大使」代表もその一団です。授賞式翌日の11日には「ヒバクシャと若者の交流」をテーマとする被爆証言会「Youth Dialogue with Hibakusha」が開催され、現地高校生との交流や被爆証言を聞くこのイベントに行動ツアーメンバーも参加しました。

高校生平和大使イベント

その場には日本被団協公式代表団メンバーである、韓国被爆者の鄭源述(チョン・ウォンスル)さん、被爆2世の李太宰(イ・テジェ)さん、ブラジル在住被爆者の渡辺淳子さん、広島被爆者の田中聰司さんが同席し被爆証言を話します。

当時は原爆に対して正しい知識はなく、被爆者であることが差別の対象になったこと、被爆者であっても日本国籍ではない・日本在住ではない、といった理由で医療保障などの対象外にされたことなど、自身の経験を混じえて高校生に伝えます。
被爆証言は高校生たち自身が英語へと通訳しました。

被爆証言をする渡辺淳子さん

「当時を知らない私たちの世代は、これからどうやって伝えていけばいいですか」という高校生からの質問に対して渡辺淳子さんは
「証言を聞いて原爆が何かということを感じてほしい。そして活動し続けることで長年の活動が在外被爆者も補償対象になったり、今回のノーベル平和賞に繋がったりします。二度と原爆がつかわれることのない世界にしてほしい」と答えました。

イベントを見学していたツアーメンバーは、
「若い世代が核廃絶運動に関わってくれている姿がみれて嬉しかった。動けるうちは私たちもまだまだ負けてられないし、一緒に活動したい」と運動への活力に繋がったようです。

午後からは精鋭メンバーで在オスロ日本大使館を表敬訪問し、核軍縮への意見交換や日本政府へ核兵器禁止条約締約国会議へのオブザーバー参加を促すように伝えました。

在オスロ日本大使館での様子

 

同じく午後から国際平和ビューロー (IPB)主催のイベントが開催され、ツアーから20名ほどの希望者が参加しノルウェーやアメリカのIPBのメンバーと懇談しました。
輪になり一人一人が順番に、
・トランプ政権になった時の核政策はどうなるのか、
・核兵器をなくすための動きに何が求められていくのか、
・いかに若い世代を巻き込み活動の担い手をつくるのか、
・SNSの効果的な利用も考えたい
など、これからの平和構築に向けた意見を話しました。

輪になって一人ずつ意見を発言、交換します

生まれや育った場所が違っても、核の脅威がない平和な世界をつくりたい気持ちは全世界共通。懇談のあとは、今回出会えた嬉しさと記念に集合写真だけでなく個人同士でも写真撮影が行われていました。
*国際平和ビューロー(IPB)とは、1892年に創立され1910年にノーベル平和賞を受賞した、世界の中でももっとも歴史の長い国際的な非政府の平和組織の1つです。長年に渡り、日本被団協をノーベル平和賞候補として推薦していました。

イベント終わり後、全員で記念撮影

 

たくさんのイベントが終わった後はオスロで過ごす最後の夕食。それぞれがホテルのレストランで滞在中の思い出を振り返りながらゆっくりと食事をしました。

同じ頃、「広島からガザへ」と題された講演会に被爆者の花垣ルミさんが登壇者の一人として参加していました。
パレスチナのフォトジャーナリスト、Motaz Azaiza(モタズ・アザイザ)氏も登壇するこのイベントは、急遽開催が決まり前日に告知したにも関わらず会場には約1000人もの人が集まりました。
両名はガザと日本におけるそれぞれの悲劇の物語を振り返り、生き延びるために直面した恐怖について語りました。
108日間の戦争を生き延びたアザイザ氏は「イスラエルによるガザへの侵攻が始まってから14か月間、ずっと停戦を訴えてきたけれど状況は何も変わらなかった」と、こうして今も人前で話し続ける意味があるのかがわからなくなってきている、との虚しさを感じていることを話しました。
花垣さんは「どうか諦めないでほしい。私たちはなんでもやる、国連に働きかけ続ける」と伝えアザイザ氏を抱きしめました。

握手をする花垣ルミさんとモタズ・アザイザさん

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