2026年_Voyage124

香港、シンガポールを経てモーリシャスへ ~核兵器廃絶の重要性を考える~

ピースボートの松村真澄です。

8月20日~9月8日、ピースボート第124回地球一周クルーズの最初の区間、横浜港からポートルイス(モーリシャス)まで乗船してきました。1,650人の参加者とともに大海原を航海しながら、学び合い、語らい、気づきの多い船内生活を送ってきました。このクルーズの後半区間では、核兵器をなくすために活動する2名の水先案内人(ゲストスピーカー)が乗船する予定です。米国の先住民族ナバホ族の反核活動家でニューメキシコ州在住のレオナ・モーガン(Leona MORGAN)さん、マオヒヌイ(仏領ポリネシア)議会議員でマオヒの反核活動家のヒナメラ・クロス(Hinamoeura MORGANT-CROSS)さんです。私は、彼女たちが乗船する前に、核兵器の基本情報や廃絶の重要性について知ってもらいたく、複数の企画を行ってきました。いくつかご紹介します。

レオナ・モーガンさん(左)とヒナメラ・クロスさん

 

講演「核兵器はなくせる~不安な時代を生きながら」

9月2日、「核兵器はなくせる~不安な時代を生きながら」と題し、1時間15分の講演を行いました。ウクライナ、ガザ、イランでの攻撃や核による威嚇、最短となった「世界終末時計」、最終成果文書採択にいたらなかったNPT(核不拡散条約)再検討会議、日本の非核三原則の見直しなど、核兵器をめぐる不安なポイントを一緒に確認しながら、いったん会場のみなさんとともにどんよりと落ち込みました。その現実を見つめたうえで、私が出会った被爆者の方々が伝えてきたこと、普段の努力についてお話しました。講演の後半は、2017年に採択された核兵器禁止条約の基本的な内容、普遍化や強化に取り組む人々やその成果を紹介しました。3回にわたって展開されてきた締約国会議を具体的にフォーカスし、最後に今年11月末から12月にかけて(このクルーズが帰港する頃)行われる第1回再検討会議への期待を強調しました。

約200名が参加し、会場を出るときには、「元気が出た」「核兵器はなくせる気がした」とコメントをいただきました。被爆証言集や絵本、ICANのピンバッジなどを求める方も多く、関心のきっかけをつくることができたと実感しました。

講演の一部、証言をする被爆者のおふたり

 

ノーベル平和賞洋上特別展示「世界人類へのメッセージ」にようこそ

9月4~7日の4日間、毎日3時間ずつ、ピースボートとノーベル平和センターが共催する洋上特別展「A Message to Humanity (世界人類へのメッセージ)」を公開しました。初日の午前中には、みなさんに充実した見学をしていただくことを目的に、バーチャルツアーを含む1時間の講演を行いました。洋上特別展示についてはこちら:https://peaceboat.org/50942.html

この展示には、被爆の実相や2024年にノーベル平和賞を受賞した日本被団協のみなさんによる取り組み(過去)、メッセージと被爆者のいま(現在)、私たちへの問いかけ(未来)が含まれています。それぞれの展示が意味するものを解説し、私なりの解釈や思いを加えました。展示では紹介されていないものとして、被団協結成時の歴史的な宣言「世界への挨拶」(1956年8月10日)と、結成70年を迎えた新声明「ふたたび世界への挨拶」(2026年8月10日)を取り上げ、「ふたたび被爆者をつくるな」という意志を強調しました。

連日100名近い参加者が訪れ、熱心に展示を見学する姿が見受けられました。

寄港地・香港では客船設備の専門技術者のみなさん、海洋について勉強する学生のみなさん、シンガポールでは過去乗船者の方をご案内しました。

展示を見学する人々

 

ドキュメンタリー「ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに 」上映

9月5日、カナダ在住の広島被爆者、サーロー節子さんのドキュメンタリー映画が上映されました。英語発信日本語字幕ということもあり、多くの参加者が映画を見に会場を訪れました。この映画では、サーローさんが13歳で被爆したときの記憶、多くの級友をなくした悲しみ、渡米した時に浴びた批判からの苦悩、それでも活動を継続してきた強い意志が伝わり、視聴者は映画に入り込んでいました。最後には拍手がおこり、「行動する」ことへの勇気につながっていったように感じました。こちらでも、サーローさんに関する書籍が完売となりました。

海の美しさ、自然の偉大さを感じて

核兵器問題に関する企画と同時に、私はモーリシャスからの水先案内人、ドゥーガシ・ボイジョさんの企画も担当しました。海洋保全を専門とするドゥーガシさんの講座では、モーリシャスの珊瑚礁の生態や多様な海の生き物、かわいらしいウミガメやウミウシの性質などを学びました。一方で、海洋温度のわずかな変化、陸から流される土壌の海への影響、危機的な気候変動問題について知るたびに、最初に触れた2人の水先案内人の内容とつなげずにはいられなくなりました。

船は現在、南アフリカ共和国近くを航海しています。南アフリカは、核兵器を捨てた国であり、11月の第1回再検討会議の議長国でもあります。私は途中で下船しましたが、その歴史と核兵器廃絶にむけたイニシアティブについて、船のみなさんが学びを広げていることを期待しています。

海の美しさを語るドゥーガシさん

文・松村真澄

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