3.核廃絶へのいろいろな動き

浦上天主堂再現プロジェクト

広島の原爆ドーム。

世界大戦の負の遺産、原爆の残忍さを現代に伝える象徴として、知らない人はいないのではないでしょうか。
それでは、長崎の原爆被害の象徴的建築物を、皆さんはご存知でしょうか。

1945年8月9日の原爆投下後、浦上天主堂は、広島の原爆ドームとともに、原爆の威力と悲惨を物語る長崎の代表的な原爆遺産として注目されていました。原爆ドームと同様に、平和祈念のシンボルとして永久保存しようとする被爆者と市民の声は高かったのですが、破壊が凄まじく保存が困難である等の理由で、1958年4月ついに全面撤去され、長崎はこの歴史的な“証人”を失ってしまいました。

原爆投下により、参堂していた信徒30数人が全員即死し、1万2000人の信徒のうち8500人が被爆死したと言われています。(以下の写真: http://www.nagasaki-heiwa.org/n2/urakami.html より)

戦後70が経過するこの節目の2015年、原爆投下後の浦上天主堂の姿を再現するプロジェクトが始動しています。2015年8月6日、7日、8日の3日間。10分程度の映像を午後8時から数回ずつにわたって現浦上天主堂の正面壁面に映し出します。映像は、原爆で破壊される前の天主堂と、被爆後の写真、再建された後の映像です。さらに、キリシタン弾圧関連の映像も写し出す計画で進めています。

「浦上天主堂再現プロジェクト」

戦後70年が経ち、被爆者の高齢化が進むなかで、被爆体験の継承が問題視されています。
この浦上天主堂再現プロジェクトは、当事者不在のこれからの時代に、継承の意味とその方法を考えることを目的として、長崎出身の2人の被爆三世(ともに30歳男性)が企画しています。
長崎出身の水先案内人・高瀬毅さんの著書『ナガサキ 消えたもう一つの「原爆ドーム」』を読んだことが一つのきっかけとなっているとのことで、高瀬さんも側面支援として関わっていらっしゃいます。

オフィシャルサイトによると、このプロジェクトは、『これまでの「被爆者が自ら語る」という「言葉」を 主体とした継承活動とは異なり、プロジェクションマッピング(*)という手法を用いて疑似体験する、「体験共有型」の継承方法の提案です。それ以外にも、被爆の継承についての付帯イベントも同時に企画進行しています。70年という節目に、多くの方々とこの問題を共有し、核兵器廃絶へ向けて「被爆地の継承」に寄与できることを願って止』まないそうです。

(*)プロジェクションマッピングとは
パソコンで作成したCGとプロジェクターの様な映写機器を用い、建物や物体、あるいは空間などに対して映像を映し出す技術の総称をいいます。

(写真:東京駅で行われたプロジェクトマッピング)

長崎出身の若者2人によってはじまったこの一大プロジェクトは、すでに大きな反響を呼んでおり、多数のメディアに取り上げられています。2015年8月長崎から、どのようなメッセージが発せられるのか今から楽しみです。

■浦上天主堂再現プロジェクト 実行委総会で意見交換 (長崎新聞)

■浦上天主堂再現プロジェクト:「被爆」継承へ交流の場を 若い世代が実行委 (毎日新聞)
http://mainichi.jp/area/nagasaki/news/m20141116ddlk42040213000c.html

■地域の宝 再生のヒント 「被爆前の姿」壁面に写す
http://www.nishinippon.co.jp/special/isan/201401/article/enshutsu.shtml

■被爆前後の浦上天主堂再現(長崎新聞)

このプロジェクトは、様々な団体・個人の寄付によって作り上げられます。
ご協力頂ける方は、こちらから:http://urakamisaigenproject.jp/#donate

<参考ウェブサイト>
■「浦上天主堂再現プロジェクト」オフィシャルサイト
http://urakamisaigenproject.jp/#support-2
■「浦上天主堂再現プロジェクト」Facebookページ
■浦上天主堂オフィシャルサイト
http://www1.odn.ne.jp/uracathe/

(ピースボート・インターン 池田大樹、ピースボート 渡辺里香)

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