1.ヒバクシャ証言の航海

非核化する中南米@メキシコ

みなさん、こんにちは。

おりづるユースの浦田沙緒音です。

キューバに引き続き、ラテンアメリカ2カ国目、メキシコのコズメルでの証言会の様子をお伝えします。

※コズメルにて

メキシコは、核の時代が始まった頃から、核兵器のない社会を実現するために努力している国です。

1962年のキューバ危機を背景に、ブラジル、ボリビア、チリ、エクアドル、メキシコを中心にラテンアメリカ非核化に関する共同声明を発表し、この内容をメキシコ主導で条約作成作業が行われ、1967年にラテンアメリカ14か国が「ラテンアメリカ及びカリブ核兵器禁止条約(トラテロルコ条約)」に調印しました。

中南米地域の核兵器の実験、使用、製造、生産、取得、貯蔵、整備等を禁止する非核化条約です。

また核兵器禁止条約については、その実現に向けてメキシコなどの推進派の国々が共同で国連総会に、2016年8月の国連作業部会での勧告を踏まえて、核兵器禁止条約を交渉する国連会議を2017年に計20日間、2会期に分けてニューヨークで開催すること、会議は全ての国に開かれ国際機関や市民社会も参加できるものとすること、などを求める内容を提出しました。

そして、7月7日の歴史的採択につながっていったのです。

そんなメキシコ、コズメルでコズメル市長受け入れのもと、市役所にて証言会を行いました。

国としては核軍縮に積極的であるメキシコで、地域の中でさらに核兵器廃絶に向けて活動してきました。

参加者は、市の関係者そして高校生で、約100名ほどでした。

証言前に、おりづるプロジェクトの第一回目の航海を題材とした「フラッシュ・オブ・ホープ」の冒頭部分を上映し、原爆がどんなものであったか映像を通して伝えた上で、おりづるプロジェクトがどういった団体であるのか担当スタッフの佐久間より説明がありました。

その後、被爆者である木村さんから被爆証言を行いました。

核兵器廃絶に積極的な中南米の存在の大きさを語りながら、日本は核兵器禁止条約に参加していないことのジレンマ、それでも諦めないことを強く訴えました。

※訴える木村さん

※木村さんの声が届いたのか立ち上がり拍手を送っていました。

私は若者として、核兵器廃絶に向けてできることをさらにやっていこうと、ヒバクシャ国際署名についてお話し、ほぼ全員の方に署名してもらうことができました。

※若者としてスピーチ

※署名に賛同してくださった副市長

質疑応答では、「証言をする勇気はどこからくるのか?」と言った高校生からの質問や「若者として若い世代に伝えたいことは?」という市の関係者からの質問、日本の核兵器禁止条約に対する姿勢に関してなど多くの質問が投げかけられました。

※質問してくれた高校生

※市の関係者の方からも質問を受けました。

※1人1人の質問に的確な返答をされる木村さん

改めてですが中南米は、核廃絶に対して非人道的な影響という視点を持ち、非常に積極的な態度を表明しています。

核兵器禁止条約に参加していない日本の立場で証言をする微妙な気持ちを抱きながらも、積極的に働きかけをし、実行している国の存在は、被爆者の方、そして核兵器廃絶に向けて動いている多くの人々にとって、大きな存在です。

※参加されたみなさんと記念撮影

核廃絶は不可能でない、という信念を持っていても、それが現実的ではないのではないだろうかと、立ち止まってしまうことも私にはあります。

しかし、今回訪れている中南米で出会う人たちが持っている「私にできることがあったら教えてください」と、その国境を越え、核廃絶に向けて一緒に変えていこうという思いの存在に励まされてばかりです。

また、今回の参加者は比較的若い層が多く、伝えたいことが本当に伝わっているのだろうかという不安もありながらの証言会でした。

私たちは常に、理解がすでにある、関心がある人たちばかりに話しがちです。そこから新たに、つながる動きもありますが、それだけでは変わらない事実もあります。

しかし一番重要なのは、戦争体験、被爆体験がない世代に「被爆体験」を伝え、核兵器のイメージを変えていくことです。

証言会をするたびにその難しさに突き当たります。

それは国内外問わずあることでもあり、この船を降りてからもその難しさと一緒に、私だからできることを追求していきたいと考えさせられました。

※受け入れしてくださった副市長へ

証言会後には市役所の方を船内にお招きしました。

※ピースボートのデッキにて

【番外編】

また、証言会前に時間があったので、コズメルを観光できました。コスメルの博物館へ行き、島の20%以外は全て自然保護地区であるといったことやマヤ族の歴史を知りました。非常に興味深い博物館でした!

※博物館にて

アテンドしてくれた市役所の方が、美しいカリブ海に連れていってくださいました。

木村さんも目の前に広がるブルーの海を見て、とても感激していました。靴を脱ぎ、海を見渡す姿はどこか少女のようです。

それを見て喜ぶ私でした。

※木村さんとカリブ海

そして昼食には本場のタコスをいただき、ショートステイでありながらもかなりメキシコを味わえた1日でした。

※タコスに思わず舌鼓

おりづるユース 浦田沙緒音

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