1.ヒバクシャ証言の航海

想いを届けた最後の洋上

みなさんこんにちは。
ピースボートインターンの鈴木慧南です。

今回は、最後の洋上区間であるハワイから横浜までに行った最後の企画をご紹介します。

船での大きなイベントは終わり、みなさん日本へ向けて準備をし始めているこの区間では大きく2つの企画を行いました。

1つ目はおりづる劇団の発表です。
「つないで、つむいで、未来へ」と題して脚本と監督を広島で被爆された土田和美さんが全て行いました。
もともと演技に興味のあった土田さんは、水先案内人として乗船されていた崔洋一さんの演劇ワークショップに参加しそれに感化されたのと、周りの後押しがあり、今回は自ら脚本を書くことを決めました。
脚本の構想段階から数えると、実に1ヵ月以上をかけて今回の劇を作り上げ、30名を超える人々が参加しました。


劇に参加している人々

「継承の1つの形を考えることが、今回の船で私の目標。だからぜひとも若い人にやって欲しい。」
という土田さんの願いから、おりづるパートナーのみではなく周りで声をかけあって、多くの若者を巻き込むことができました。

この物語は主人公の女の子がおりづるプロジェクトのユースとして船に乗船することを決め、さまざまなヒバクシャの方と出会い、戦争や原爆について関心を寄せていくという流れになっています。
基本的に朗読劇になっており、土田さんの知っているヒバクシャの方の証言を朗読したり、詩を朗読したり、若者が想いを話したりしています。

当日は多くの方が見に来てくださり、さまざまな演出で見せた1つの舞台に感動されていました。
「想いの伝わるいいものだった。」と多くの方に言ってもらいこの劇を創った甲斐があったと感じています。

土田さんは劇が終わった瞬間、ずっと涙を流していました。
長くこの劇のために時間を費やしていたからこそ葛藤や苦しみも多くありました。

おりづるの他の企画などもあり時間に追われる中でここまで走ってきました。
当日を終えての安堵感と達成感があったのだと思います。


最後の挨拶をする土田さん

参加してくれた方も土田さんの涙に誘われて、多くの人が涙を流しながら抱き合っていました。
土田さんの想いが人の心を動かした瞬間に出会えたことに感謝しています。
そして妥協せず、後悔のない船旅をしている土田さんを尊敬しています。

2つ目はおりづるプロジェクトとして最後の企画です。
「未来へツナグ物語~今、あなたに伝えたいこと~」とタイトルを掲げ、最後にわたしたちから伝えたいことをこの企画に込めました。

船や寄港地でさまざまな人と出会い、それぞれの歴史背景を知る中で過去戦争時日本がアジアの国々で行った加害面を改めて知り、知ったうえでそういった人々と言葉を交わすとき何を言ったらいいのかなど悩むことの多い船旅でしたが、その中で一人ひとりが言葉を見つけて向き合ってきました。
そんなことを踏まえながら、戦前から原爆投下までそして船に乗ってから日本へ向けてと時間軸に沿って話をしました。

企画の中盤では広島の被爆二世の砂原さんが「被爆者のお三方と家族の様な関係を作れてとてもうれしいです。」と涙ながらに話してくださり、この105日間でわたしたちの絆も確かに深まったことを確信しました。

105日間という長い船旅も終わり、もうすぐ日本へ着きます。
こんなに毎日ヒバクシャの方と出会うことも、被爆証言を聞くことも日本に降りたらなかなか出来ないことでしょう。
そんな貴重な時間を彼らとともに過ごせたことを誇りに思います。
日本に帰ってからはそれぞれの場所に戻りますが、船で得たことを生かして核廃絶へむけてさらに声をあげていきたいと思います。


おりづるプロジェクトメンバーとおりパの皆さんと集合写真

最後にこの場を借りて、今まで第10回おりづるプロジェクトに関わって下さった全ての方に感謝をしたいと思います。
本当にありがとうございました。

ピースボートインターン 鈴木慧南

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