5月27日(金)、ピースボートはチュニジアの首都チュニスに寄港しました。
被爆者一行は、チュニスに本部をもつ国際NGO「エル・タレル(El Taller)」の本部を訪ね、円卓会議を開催しました。テーマは、核兵器と原子力、そして日本の憲法9条についてです。ピースボートからは、藤森俊希さんと松浦秀人さんの2名の被爆者に加えて、ジャヤンタ・ダナパラ・パグウォッシュ会議会長、川崎哲のほか、スペイン、ボスニア、ニュージーランド、日本出身のスタッフおよびゲストが参加しました。総勢約30名の円卓会議となりました。JICA現地事務所からの出席もありました。
エル・タレルは、インド出身のコリン・クマール(Corinne Kumar)さんを事務局長とする国際NGOで、貧困、開発、人権、社会運動、非暴力による社会変革などに取り組んでいます。女性の人権とジェンダーへの取り組みも強く、国際女性法廷の運動もしてきました。エル・タレルの事務所では、金曜日にさまざまな問題について円卓会議を頻繁に行っているとのことです。若者から年輩者まで、さまざまな年代の参加者がありました。多くの詩人も参加していました。
コリン・クマールさん(中央)
美しい中庭があり、会議開始前にお茶をいただきましたが、ピースボートではそこに石巻の津波被害の写真パネルを設置し、参加者に見てもらいました。多くのチュニジアの方々から、連帯と激励の言葉をいただきました。
津波被害の写真展示
円卓会議ではまず、被爆者の藤森さんと松浦さんが証言とメッセージを述べました。藤森さんは1才4カ月のときの被爆の状況を中心に、松浦さんは放射線の被害に重点を置いて話しました。続いて、ダナパラ氏が世界の核兵器、核不拡散体制と原子力の問題について語りました。チュニジアの参加者からは、核兵器と原子力が密接につながっていること、自然エネルギーの重要性などが語られました。核保有国と非核保有国の間にある差別性についても議論が行われました。
左がダナパラさん。核兵器と原子力について真剣な意見交換が行われた
次に川崎が日本の憲法9条について話しました。これは、エル・タレルのコリンさんから要望があったものです。今年1月の革命によって新体制への道を歩んでいるチュニジアでは、選挙が7月または10月に行われる予定で、その後新憲法への道が期待されています。こうした中で、日本の平和憲法の例を参考にしたいというのです。
川崎は日本の憲法9条の背景と現在の問題点やグローバル9条キャンペーンについて解説しました。そして、世界にはさまざまな平和憲法があり、これらは民主主義、生存権、人間の安全保障といった考え方と密接に結びつていることを述べ、チュニジアでも平和や軍縮を定める憲法を考えていってほしいと述べました。参加者からは、環境の視点を新しい憲法に入れたい、環境グループの会合でさっそく日本の憲法の話を紹介してみたいという声があがった一方、「日本と違い、チュニジアの場合の問題は外交関係よりも内政だ。両者には大きな違いがある」といった指摘もありました。
集合写真。後列 左から5番目が松浦さん、右から5番目が藤森さん
(川崎哲)
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