1.ヒバクシャ証言の航海

マレーシア~核兵器廃絶へ向けて~

こんにちは。おりづるユースの寒川です。

マレーシアでは二つのグループに分かれて活動をしました。私たちのグループではマレーシアの外務省を訪問してきました。外務省では多国間問題局の事務次官、イクラム・ムハンマド・イブラヒムさんが出迎えてくれ、一時間弱の会談を行いました。

ちなみに、マレーシアは核兵器の廃絶に向けて、世界の中で強力なリーダーシップを発揮している国の一つです。1997年にマレーシアは中米の国であるコスタリカとともに世界で最も早く、核兵器禁止条約を求める国連文書を提出しました。そして、その後もバンコク条約と呼ばれる東南アジアの非核化を定めた条約をASEAN諸国で締結するなど、核なき世界の実現に向けて積極的に活動をしています。会談では様々な意見交換を実施しました。日本側からは短い時間ではありましたが、被爆者の方の核兵器廃絶や平和な世界の実現に向けたメッセージを届けました。また、ピースボートスタッフより核兵器禁止に向けた現在の日本の現状や課題についての報告を行いました。

長崎で被爆された深堀譲治さん

一方で、イブラヒム事務次官からも様々な意見をいただきました。主な内容としては、現在の状況ではテロリストが核兵器を使用する可能性を否定できないため一刻も早く禁止をするべきである、国内で国民の意識を高めることが大切、核兵器禁止に向けた世界的な枠組みを作るために様々なアプローチを模索していく必要がある、といったものでした。そこで、こちら側より「マレーシアはなぜ19年前に核兵器禁止条約の実現を言い出したのか」という質問を投げかけました。その時の回答が非常に印象的でした。事務次官は、マレーシアは独立した外交関係を築いているため、自国の利益だけではなく、世界の利益を追求することができるといった旨の発言をされました。

イブラヒム多国間問題局事務次官

この会談を通じて、核兵器の問題は世界的問題であると改めて認識しました。核兵器の廃絶は一国だけではどうすることができません。様々な国の協力が必要不可欠です。各国がマレーシアのように自国の利益だけでなく、多くのしがらみを乗り越えて、世界の利益を追い求めることが平和な世界への近道ではないのでしょうか。

外務省での集合写真

(左から、ソン東アジア局補佐官、イン多国間問題局補佐官、深堀讓治さん、イブラヒム多国間問題局事務次官、ピースボート渡辺里香、ユースの寒川友貴さん、リャン多国間問題局首席補佐官)

ここからは、別コースで活動しておりました、おりづるユース山崎が担当させて頂きます。

私達はマラヤ大学に行って来ました。

マラヤ大学は日本における東大のような、とても有名な大学です。

今回の証言会にはマラヤ大学の生徒、ナスルディン教授、IPPNW(核戦争防止国際医師会議)のメンバー、ロン・マッコイ先生に参加して頂きました。

まず初めに、ナスルディン教授から挨拶のお言葉を頂きました。

マラヤ大学は、2005年から学生と共に核廃絶運動を開始し、2006年からセミナーを行なったり、中国の大学と共に年に一度長崎を訪れる等、核兵器禁止に積極的な大学という説明を頂きました。

次に、マッコイ先生から

「70000発もあった核兵器が現在は16000発になっている。しかしそれは0にしなければ意味がない。今の核兵器は広島で使われたものより100倍強いもの。定期的に国連で会議をしているにも関わらず、核保有国はハイハイと嘘をついて協力してくれない。なぜこんなに頑張っているのに国のリーダーシップは理解してくれないのかが分からない。数年後には必ず核兵器をなくす。」といった旨の強いお言葉を頂きました。

会場での様子

ナスルディン教授とマッコイ先生は、核兵器に関する情報をすぐに受け取りたい方は、名刺交換をしましょうと声をかけてくれる等、核兵器廃絶に非常に積極的で友好的な人であると感銘を受けました。

そして、マラヤ大学では代表として森川高明さんに証言をして頂きました。

森川さんは6歳の時に広島で、黒い雨による被爆とその後の放射能汚染された飲食による被曝をされました。日本国内にとどまらずアメリカを中心に証言をされているほど英語が堪能で、今回の証言も英語で行なって頂きました。

通訳を挟まない証言は直接的に伝わったようで、生徒の皆さんも熱心に聞いていました。

また、言葉のイントネーションや表情で読み取れることも多く、私達も夢中で聞き入ってしまいました。

広島で被爆した森川高明さん

大学では私達と同じ立場のユース非核特使のエリックとの出会いがありました。

エリックは、「人種、宗教を超えて境界線をなくす教育が大切と訴え、16000発の核兵器がある現状を受け止めていきます。」と、話してくれました。

同じユースとして、エリックの堂々とした演説にはとても刺激を受けました。

そして最後に被爆者の方々からメッセージを頂きました。

長崎で被爆された深堀俊子さんからは、「70年前、国民学校では日本は神の国だ、絶対に負けないという軍事的な教育を受けていました。しかし20年の8月を持って敗戦となり受けていた教育は間違っていたとなり教科書は墨で黒く塗りつぶされました。全ては教育、宗教、政治、民族から成り立ちます。自分の国の利益
を考えていたら戦いは終わりません。」とのお言葉を頂きました。

同じ日本人の私でも初めて耳にする事が多く、今の時代がどれだけ恵まれてるかを再確認しました。

最後には、マラヤ大学の方達にティーパーティーを開いて頂きました。

時間の関係であまり長居することが出来なかったのですが、楽しく交流することが出来ました。

ティーパーティー

今回の証言会を通して、これから私達若者が出来る事としては、教育方針を変える事を訴えていく事が最も大切だということがわかりました。宗教と民間レベルでの心と心の会話をして、小さな単位から自分に出来る事をして行こうと思います。

ユースのエリックに、自分は演劇を通して核兵器の恐ろしさを継承していきたいという事を話したら応援をしてくれ、環境は違えどお互い頑張ろう!と意気投合することが出来ました。

それぞれの国の教育方針により、色々な考え方を聞けて勉強になったり、何歳も年下の子どもの意見により学ばされたり本当にたくさんの発見がありました。

今後とも、積極的に色々な国の若者の意見を聞いていこうと思います。

今後とも、よろしくお願い致します。

文/おりづるユース寒川友貴・山崎御園 編集/ピースボートインターン 鈴木慧南

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