2025年_ヒバクシャ地球一周(Voyage120)

核なき世界へ。メキシコの若者たちと心を通わせた証言会

メキシコに寄港した今回のピースボート。訪れたのは、太平洋に面した港町マンサニージョです。ここで私たちは、マンサニージョ工科大学を訪問し、約200名の学生を対象に証言会を実施しました。

メキシコは「核なき世界」の実現において、国際的にもリーダーシップを発揮している国のひとつ。中南米非核地帯を実現した「トラテロルコ条約」は、世界各地の非核化条約のモデルとなってきました。今回の証言会は、そんなメキシコの若い世代と直接対話をする、貴重な機会となりました。

会場を埋め尽くすほどの学生が聴講にきました

大学には、学生だけでなく学長や部長、さらには近隣市の市長も出席。会場には真剣な空気が張り詰める中、証言者として登壇したのは、1歳のとき長崎で被爆した倉守照美さんです。
倉守さんは、幼少期の記憶はないものの、周囲の被爆者たちから聞いた体験や、自身が経験した差別・偏見、そして放射線がもたらす健康被害の世代間影響について丁寧に語りました。

「核なき世界を目指して力強く歩むメキシコの若者たちに、日本も学ぶべきことがたくさんあります。どうか、日本政府が核兵器禁止条約に批准するよう、皆さんの声でも後押ししてください」
そんな力強いメッセージで締めくくられた証言に、参加者からは次々と質問が寄せられました。

被爆証言をする倉守照美さん(写真右)

「復興にはどれくらいの期間がかかりましたか?」
「メキシコ市民として、そして世界市民として、このような出来事をどう広めていけると思いますか?」
「非人道的なことが二度と起こらないためには、何ができると思いますか?」
多くの質問に、倉守さんは丁寧に答えていきます。

また「辛い経験をされてきた中で、活動を続ける原動力は何ですか?」との質問に、
「これ以上、私たちのような苦しみを味わう人を生んではいけない」という想いです。そして、世界中にいる仲間たちが、核廃絶のためにともに闘っているという事実。その存在が、私の活動を支えてくれています。今日、話を聞いてくれたみなさんもすでに仲間です」と伝えます。
質疑応答の時間を通して、学生たちは熱心にメモを取り、時に目を潤ませながら聞き入っていました。

会の最後には、大学の学長より倉守さんへ、勇気ある証言と平和への貢献に対する感謝状が手渡されました。記念撮影の際には、学生・教員・市長までが一同に集まり、大きな拍手が会場を包みました。

学長(写真中央)と一緒に記念撮影

終了後、車に向かおうとすると、何人もの学生たちが「一緒に写真を撮ってほしい」と待ってくれていました。「時間の限りお話ししたい」「もっと聞きたい」と伝えてくれるその情熱に、私たち一行もあらためて大きな力をもらいました。

見送りのあとは、港近くのレストランでランチタイム。新鮮なシーフードや香ばしいお肉など、メキシコならではの味を堪能しながら、心もお腹も満たされる時間となりました。

昼食にてメキシコ料理を楽しみました

学び、交流し、心を通わせたマンサニージョでの一日。メキシコの若い世代と交わした対話が、未来への希望の種まきになったことを願っています。

(文:橋本舞)

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