コスタリカに寄港し、今回は首都サンホセに近い場所にある「国連平和大学(University for Peace)」を訪ねました。船からバスで片道約2時間。山あいの豊かな自然に囲まれた場所に、その大学はあります。
出迎えてくれたのは、昨年のおりづるプロジェクトでも一緒に寄港地プログラムを企画してくれた教員のデニスさん。まずはスイカジュースでもてなしていただき、さっそくキャンパス内の見学へと向かいます。この大学は、もともと先住民の人々から譲り受けた土地に建てられたもので、自然との共存を重んじる精神が今も深く根づいています。職員や学生たちは、この土地の自然環境を守ることも、自分たちの大切な使命と考えているそうです。過去に内戦や紛争を経験したコスタリカ。

TIME FOR PEACEプロジェクトについて話すピースボートスタッフの長與茅
「平和を愛し、その尊さを知る人から学ぶことで、戦争思想は育たない」——そんな理念のもと、国連平和大学は設立されました。最初は1つの学部から始まり、今では平和構築や紛争解決を専門的に学べる教育機関へと成長しています。この大学には寮はありませんが、学生が安心して学べるよう、ホームステイ先や低価格で住める場所を学校側が紹介してくれるとのこと。訪問したこの日は夏休み期間中ということもあり、キャンパスは静けさに包まれていました。
敷地内には多くのモニュメントが点在しており、なかでも人気なのがガンジー像。大学の旗も近くに掲げられており、記念撮影スポットとしても知られているそうで、私たちも写真を撮らせてもらいました。
その後、「戦争と非戦のモニュメント」へと案内されました。芝生と池が広がるこの場所は、地域の人々にも開放されていて、散歩やキャンプができるスペースにもなっています。ここには、歴代のコスタリカ大統領の石碑も並び、平和国家としての歩みが刻まれていました。

昼食中の倉守さんとピースボートスタッフ
見学のあとは、昼食の時間。被爆者が来ることを意識して、出汁をきかせたスープや照り焼き風の味付けなど、日本人にもなじみやすいメニューを用意してくれていました。温かい心遣いがうれしいひとときでした。
午後は、ピースボートによる活動報告と被爆証言の時間です。スタッフの渡辺と長興から、ピースボートのこれまでの歩みや、今回の「TIME FOR PEACE」プロジェクトについて紹介。そして倉守照美さんによる被爆証言が続きました。
1歳のときに被爆した倉守さん。当時の記憶はないものの、周囲から聞かされた体験や、自身が受けてきた差別、そして放射線による健康影響が世代を超えて続くことなどについて語りました。
そのお話を聞いた参加者から、「お孫さんはいらっしゃいますか?」との質問が。6人の孫が元気に育っていると伝えると、「それは素晴らしいことです!神様からの贈り物ですね」と、笑顔で返してくれました。

「会えた記念に」と倉守さん(写真右端)へサインを求める参加者
また、「小さい頃に亡くされた兄弟と、どんなことを一緒にしたかったですか?」という問いに、広島被爆者の伊藤正雄さんは「兄弟げんかがしてみたかった」とぽつり。当時は疎開で離れて暮らしており、そうした日常の時間さえ持てなかったことを振り返りました。
証言会が終わったあとも、参加者たちは出発ぎりぎりまで被爆者のもとを訪れ、言葉を交わしていました。それぞれが心に残ったことを胸に、静かに語り合う姿が印象的でした。
(文:橋本舞)








