1.ヒバクシャ証言の航海

あっという間の船内生活

みなさんこんにちは。
ピースボートインターンの鈴木慧南です。

今回は、ピレウスからバミューダ諸島までの洋上区間で行われた船内イベントについて報告します。

ピレウスに寄港した5月10日からバミューダ諸島に寄港した6月17日まで39日ありましたが、洋上は23日間しかありませんでした。
寄港地数は14寄港地だったので、この区間は少しせわしない日々となりました。

短い洋上生活の中でもさまざまな企画を行ったので、その一部をご紹介します。

まずは、ピレウスから水先案内人として乗船された、テヘラン平和博物館の方々(5名)とクローズドでのセッションを何回か行いました。
テヘラン平和博物館とはイランの首都であるテヘランにある博物館です。イラン・イラク戦争で志願兵として出兵し、その際に化学兵器による被害を受け、現在までも後遺症が残っている方々が化学兵器や戦争の悲惨さを伝えるために創設された博物館です。


クローズドセッションの様子

化学兵器は国際法で禁止されている兵器であり、その被害を受けた方々と、現在核兵器禁止条約をつくろうとしている被爆者の方々が出会い、お互いの経験を共有し合いました。

ペルシャ語と日本語のため、コミュニケーションを個人的にとるのは大変難しい場面もありましたが、それでもお互いのことを知り、無差別に大量の人々に被害をもたらす兵器は存在してはいけない、と同じ想いを共有することができました。
また、彼らは快くヒバクシャ国際署名にもサインしてくれています。


ヒバクシャ国際署名に参加してくださった皆さん

それから、5月25日と6月12日、2回にわけて、ヨーロッパ区間の寄港地報告会を行いました。
おりづるプロジェクトの寄港地報告会は毎回大好評で、会場には座り切れないほどの人々が詰めかけます。
普段、寄港地での活動は一般の乗客の方は参加できないので、「毎回楽しみにしているのよ」と言ってくださる方もたくさんいます。

ヨーロッパ区間では、実に13ヶ所において証言プログラムを行ったため、実際に証言を行った私たちもどこで誰と出会ったのかを思い出すのは一苦労でしたが、写真などで一つ一つ思い出していくと話したいことが山のように出てくるので、それだけ濃い時間を過ごせたのだと思っています。


寄港地報告会の様子

最後に、6月8日に大きなラウンジでは2回目となる証言会を行いました。
今回は一人の被爆者の方にフォーカスを当てるのではなく、みなさんの「あの日」の出来事について話していただきました。

どうやったらより聞きやすい証言会を作ることができるのか?と企画の10日ほど前からおりづるパートナーの若者メンバーと話し合い、毎日議論を深める中で、フラッシュモブや劇、自分たちでつくる朗読などを行いました。

証言会の始めは、現代のわたしたちの歴史や原爆に関する思いをフラッシュモブのような感じで分かりやすく表現し、その次に、原爆が落とされたときの様子を劇と音響効果を利用して再現しました。
その後、被爆者の方々には自身が経験したあの日のこと、被爆二世の方々にはご両親が経験したあの日のこと、そしておりづるパートナーの方々には、他の被爆者の方の証言、在韓被爆者の方の証言、二重被爆した方の証言をしてもらいました。
短い時間ではありましたが、8人の人から「あの日」のことを話してもらうことで、きのこ雲の下には大勢の普通の暮らしをしていた人々がいたり、強制労働などで無理やり長崎に連れて来られた方々がいた事実を知ってもらえたのではないかと思います。
その後、若者を中心に今まで被爆者の方のお話を聞いて何を思ったのか、これからどんな世界を生きていきたいのか、そのために私たちは何をするべきなのかをまとめた朗読を行いました。


証言会の様子

涙を流しながら証言を聞いてくださる方も、終わってから被爆者の方に駆け寄っていく方も見られ、多くの人に私たちの想いを届けられたのではないかと感じています。

寄港地ラッシュも落ち着き、再び洋上の期間が長くなるので、船内での企画に集中できる区間となってきています。
船旅もあっという間なもので、残り40日を切っています。

今回の第10回おりづるプロジェクトの集大成としてなにができるのか、日本へむけて何が出来るのかをみんなで考え、悔いを残さず、想いを届けられる船旅にしていきます。


お揃いのシャツで集合写真

ピースボートインターン 鈴木慧南

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