3.核廃絶へのいろいろな動き

ヒバクシャの声を聞くーヒロシマ・ナガサキ75年 第3回:森田隆さん

7月23日、被爆75周年の今年、ヒバクシャの声を聞くオンライン証言会第3回目が行われました。

今回は、75年前広島で被爆し、その後ブラジルに移住され、南米の被爆者運動の先頭に立ってきた森田隆さんの証言会でした。
また、同じくブラジルで活動をなさっている被爆者の盆子原国彦さん、渡辺淳子さんにもご参加いただきました。

当日のイベントには、およそ100名の方々にご参加いただきました。
ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

森田さんの言葉が伝えること

証言会の前半では、森田隆さんの戦争・被爆の経験、ブラジルに渡った後の被爆者運動を密着したドキュメンタリーを放送しました。

ドキュメンタリーより。ポルトガル語で証言会を行なう森田さん(右)。お隣(左)は渡辺淳子さん

「人を殺すなんて正しいことではありません、平和が必要なんです」
「怒りはありました、復讐心はあった?これはまた別の話です、戦争自体が間違っているのだから復讐はいけない」
「世界のいかなる場所でも、広島・長崎と同じことが二度と起きてはいけないのです」
「戦争は二度としてはいけない、この世界には愛が必要です」

森田さんの言葉は、一つ一つがとても力強く、森田さん自身の強い気持ちや信念を感じました。
自身の体験をお話することは、非常に辛く悲しい気持ちを思い起こすことだとも思います。
しかし、それを踏まえても私たちに力強く語りかけてくださる姿勢に、もっと覚えておかなくてはいけない、忘れてはいけないと感じました。

ドキュメンタリーより。ブラジルの若者に直接お話をする森田さん

また、森田さんは移住したブラジルでも証言会を行なっています。
こうした森田さんの平和活動が認められ、2011年10月、森田さん率いるブラジル被爆者平和協会の活動が認められ、サンパウロ州立法議会は、ある州立専門学校に「タカシ・モリタ」と名付けました。
それくらい、森田さんらの活動は、被爆国ではないブラジルにまで大きな影響を及ぼしました。

体験した方のお話を直接聞くこと

証言会の後半で参加者の質問に答えるブラジル在住被爆者の方々。右上:森田さんと通訳でご参加頂いた娘の齋藤綏子(さいとうやすこ)さん、右下:渡辺淳子さん、中央上:盆子原国彦(ぼんこはらくにひこ)さん

その後は、ブラジル在住被爆者の森田さんと、盆子原国彦さん、渡辺淳子さんの3人に証言会の参加者からの質問をお答えいただきました。

質問「現在、地球上で非常に大きな変化が起きています。人々に核兵器廃絶に注目してもらう、または考えてもらうにはどういった行動が必要だと思いますか?」
盆子原さん「ブラジルで演劇や証言会を行い、ブラジルの若者にも関心を持ってもらうような活動を行なっています。」
渡辺さん「コロナウィルスは、放射能と同じく、見えない・感じない・匂わないものです。そういう時期(コロナウィルスの感染拡大している状態)だからこそ、私たちがどれくらい放射能被害に苦しんできたか、私はこのコロナウィルスと放射能を重ねて考えている。特に核兵器に関しては、コロナと同じく世界中が考えるべき。」

質問「こういった活動を行う原動力はなんですか?」
森田さん「戦争中に生存し、96歳まで生きていることに大変意義があることだと思っています。盆子原さん・渡辺さんのような若い世代と力を合わせ、二度と戦争のない平和な時代を続けていけるように心から願っています。こういったことを続けていくことに意義があると思います。どうぞ皆さん力を合わせて平和を続けていってください。私からの心からのメッセージでした。」

最後に

森田さんをはじめとするお三方のメッセージは、現代を生きる私たちに忘れられない力強い言葉でした。

世界で唯一の被爆国である日本。
そこに生まれ、生きる私たちにしかできないことがあるのではないだろうか。
もっと世界に発信するには。忘れないようにするには。
平和について考えるのは、規模が大きすぎて途方もないように感じます。
ただ、私たちの一つ一つの小さな行動が、大きな平和に結びつくと思います。
その一つのきっかけになればと、心から願っております。

お話くださった森田隆さん・盆子原国彦さん・渡辺淳子さん、心から感謝申し上げます。

ピースボートスタッフ 田中麻衣花

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