池田昭さん(右)企画の「ヒバクシャの声・長崎」でアシスタントを務めるけいしーこと畑中啓志さん(左)
「おりづるプロジェクト」の活動を語る上で、欠かせない存在がある。それが通称「おりパ」と呼ばれるボランティアで、主に20代の若者たちで構成されている。
新聞部、企画部、図書部の3つが自主的に運営されており、それぞれの活動内容は以下。まず新聞部は、おりパ自らが編集・制作する「海鶴新聞」の発行。次に企画部は、船内で行う被爆証言などおりづる関連のさまざまなイベントの企画・運営。最後に図書部は、ピースボート事務局やヒバクシャが船に持ち込んだ原爆に関する図書や資料の整理およびそれらを使った展示会の開催で、各部とも10人前後が活動に携わる。
なかでも新聞部が発行する海鶴新聞は、「ピースボートセンターとうきょう」でボランティアスタッフ(通称ボラスタ)をしていた数人が出航前から企画し自然発生的に生まれたもので、航海中6回の発行を予定している。内容も、船内でヒバクシャから聞いたことや自分で調べたことをヒントに、ヒロシマ・ナガサキや核のことについて取り上げる。被爆や核について、それまでほとんど知らなかったメンバーが一から勉強して作っているだけに、編集長を務めるたけぞーこと寺本有己さんは「大変だけど、一人ひとりに助けられているから、楽しくやっている」と、話す。
おりづるプロジェクト参加者の前で話をする寺本有己さん
海鶴新聞は原爆のことを知らない若者が一から手作りで発行
寺本さんがおりパに加わった理由は、被爆した当事者からその貴重な経験を直接聞けるチャンスだと思ったから、だという。また他のおりパメンバーの理由は、これまで表面的にしか知らなかった被爆についてもっと深く知りたかったから、原爆を通して戦争や平和について考えたかったから、などさまざま。
おりパの中心メンバーで積極的に活動し、海鶴新聞の創刊メンバーでもある遊ちゃんこと正木遊さんにも話を聞くと、「乗船前の説明会で、おりづるプロジェクトのことを知り、関わろうと思いました。元々、平和学習に興味があったけど、社会に出てからしばらく離れていたので、これを機に勉強してみたいと思ったから」と答えてくれた。
「長崎・高校生1万人署名活動」の紹介企画で司会進行役を務める正木遊さん
今航海で、どれだけの参加者がこのプロジェクトに感心を持ち、どのように関わり、そしてどのように変わっていくのか、今後も注目していきたい。
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