世界的なレゲエミュージシャン、ボブ・マーリーを生んだジャマイカはモンテゴベイに寄港しました。
この寄港地では、水案として乗船しているショーナ – ケイ・M・リチャーズ駐日ジャマイカ大使の全面協力によって、特別な寄港地プログラムが作成されました。
また、翌日6日に開催されるカリブ共同体会議の開会セレモニーに出席する予定で、当地を訪問中だった渥美駐ジャマイカ日本大使にもご参加いただきました。
港から車で約30分ほど、会場となるウエストインディース大学にてイベントは開催されました。

歓迎の挨拶をするショーナ – ケイ・M・リチャーズ駐日ジャマイカ大使
主催者側で準備に関わってくれた、「西ジャマイカの女性」創設者であり代表を務めるジャネット・シルベラさんやリチャーズ大使、そして渥美大使から歓迎の言葉をいただきました。
その後、ピースボートクルーズディレクターの田村美和子からピースボートの設立きっかけや現在の活動に関して紹介しました。
そして、会場にいた約50名の生徒や大学関係者に向けて、広島で2歳で被爆経験をもつ、渡辺淳子さんが証言を行いました。
「放射能は感じない、見えない、ニオイもない。けれど確実に体へ影響を与えるものです」という言葉とともに、その恐ろしさを知っている被爆者は話し続けていかないといけない、と自身の体験に基づき力強く語りかけました。

被爆証言中の渡辺淳子さん
証言後の質疑応答では
「核兵器の威力は破壊的です。廃棄や解体など、どのような形や方法で平和を構築できるのでしょうか?」
「話を聞いて、知ることは大切だと思いました。この活動を拡大していくためには何ができるでしょうか?」
といった質問が、若者たちから寄せられました。
それに対し、同じく被爆者で1歳の時に被爆をした倉守照美さんは
「無関心でいることが良くないことだと思います。今日聞いた話を周りの人に伝えて、関心をもってもらってください。そして市民のちからで、核兵器禁止条約に政府が批准するように訴えかけていきましょう。ともに頑張りましょう」と伝えました。

証言に聞き入る参加者
お二人の話を聞いたリチャーズ大使は「広島長崎を訪れた時に聞いた被爆者の話が、今の私の活動の原点です。ここジャマイカで再び被爆者の力強い話を聞くことができて、これからのパワーをもらいました」とお二人に感想を伝えていました。
会場には、現地テレビ局やインフルエンサーをはじめ、メディア関係者も多数取材に訪れ、関心の高さを感じました。
イベント終了後は、参加者の皆さんと港へ移動し、本船パシフィック・ワールド号の船内見学を実施しました。
渥美大使や大学生の皆さんをお迎えし、洋上ノーベル平和センター特別展の見学や船内ツアーを通じて、ピースボートが世界一周の旅を通じて担っている役割を改めて紹介しました。
この日の締めくくりは、イベントをプロデュースしてくれたリチャーズ大使とジャネットさん主催のレセプションパーティに参加しました。
会場はなんと、船全体が見渡せる港の向かい側。絶好のロケーションです。
心地よい海風とレゲエの生演奏に、1日の疲れが癒されていきました。

停泊中のパシフィックワールド号が見渡せるレセプション会場
会場には、ジャネットさんのネットワークを通じて、モンテゴベイ市長や女性活動家など、地域のリーダーたちも数多く招待されていました。普段なかなか出会う機会のない「被爆者」との交流を求めて、
渡辺淳子さんや倉守照美さんのまわりにはたくさんの方が集まり、激励の言葉を交わしながら写真撮影を希望される姿が見られました。
「今日はたくさん声もかけられて、写真も撮られて、まるで女優になったみたい。けれど、女優業は今日で満足よ」と、帰り道に笑いながら話す淳子さんと照美さんの姿が、心に残る1日を象徴していました。

一日のプログラムを終えて緊張がほぐれた渡辺淳子さん(写真左)と倉守照美さん(写真右)
(文:橋本舞)








