3.核廃絶へのいろいろな動き

軍縮教育家キャスリン・サリバン博士のワークショップ

軍縮教育家として活動されるキャスリン・サリバン博士がピースボートスタッフ向けに核問題についてのワークショップを開催してくださいました。

ワークショップではまず、2人ずつペアを組み一人は話す役、一人は聞く役に分かれました。これは会話ではなく、「自分が愛するもの、ありがたく思い感謝するもの」についてより具体的にはっきりと一人が話し、もう一人が聞きます。

$    ピースボートのおりづるプロジェクト

例えば、
私は家の近くの中華料理屋のチャーハンが大好きです、特にエビチャーハンが最高に美味しく、しかもここのチャーハンは一人前の量がすごく多く必ず満足できます。毎週食べても飽きません!
といった具合。

「自分が愛するもの、ありがたく思い感謝するもの」を思い浮かべることで、
それを目に見えない核の脅威を自分の身近にあり性急な問題として強く感じることができます。

また別のペアになり、キャスリンさんが話す文章に続く文章を自分で考え話すオープンセンテンスというワークショップを行いました。。
まず、「現在、東京の放射能数値が上がってきているが、その状態は…(だ)」に続く文章を話し、
次に、「現在、東京の放射能数値が上がってきているが、それについて私は…(と感じる)」に続く文章を話します。
そして最後に、「もし、自分に何でも叶えられる力があり何の障壁もないとしたら…(をする)」に続く文章を話しました。

これは、現状をどう認識し、それに対して自分がどう感じ、そしてどう行動するか、というプロセスを段階的に分けて考えることを目的としています。
私たちが自分の中に沸き起こる感情をしっかり感じられたとき、そこには行動するためのエネルギーやモチベーションを引き出すためのスペースを作ることが出来るとキャスリンさんは話していました。

そして最後に、フィッシュボウル(金魚鉢)と呼ばれるワークショップを行いました。
これは、大勢の人と議論する上でとても有効な手法で、特定の人が議論を独占してしまうことを防ぐことができます。

7つの椅子で小さな円を作り、その中の5つに発言者が座ります。発言者は常に5人で、この7つのうち5つの椅子がうまっている状態でのみ議論を行うことができます。
5人以外の参加者は周りに2重の円を描くように座り、議論を見守りますが、発言したいことがある場合は空いている2つの椅子に着くことで発言者となることができます。
しかしこの場合、議論を進めるためには誰か一人が席を離れ、外側の円に動かなければなりません。

今回の議論テーマは、「原発事故を踏まえ今の社会にどう感じるか」でした。

    ピースボートのおりづるプロジェクト
    ピースボートのおりづるプロジェクト
(キャスリンさん:真中)

キャスリンさんは、原子力発電所の事故について、
「これまで25年間核の問題に取り組んできて、核兵器にしろ原発にしろどこかで何かの事故が起こるだろうとは常に予想してきたが、それが私の大好きな日本で起こるとは夢にも思わなかった。地震の起こりやすい活発な地形であるということから、特に日本に於いては原子力発電はあってはならないものだ。この事故は地震や津波のせいではなく、この技術を生み出した私たちの責任である。」
と話されていました。

また、最後に”感情”について次のように語ってくださいました。

「このワークショップで私は感情を解放するようにみなさんに話したが、自分自身で感情を抑えこんでしまっているように感じる。今尚起こり続けている放射能の悲劇に対してとてもショックを感じ、また様々な情報が散在し物事を複雑化している。
そんななかで私たちは常に正気を保たねばならない状況に置かれている。そこで私たちの感情が大切になるが、感情のコインの裏には必ず隠されているものがある。

例えば、怒りという感情を感じる時には、そのコインの裏には何かをしたいというモチベーションが隠されている。
また怖いという感情の裏には、何かをしたい、そのなにか変化をもたらすコミュニティとつながっていたいという思いが隠れている。
悲しみという感情の裏には、他の人を想いやりたい、愛したいという感情が隠れている。

これからの活動で出会う様々な人の様々な感情の裏には、その感情につながっている何かがあるということを認識して過ごし、そこから沸き起こるモチベーション大事に活動してほしい。」

今回のワークショップは、私たちにとって3.11後の社会を生きるための貴重なヒントになるものだったと思います。
参加者からは普段仲間内でもなかなかできない話題を話すとても良い機会だった、みんなが今の社会についてどう考えてるのかが分かって良かったという感想が多く上がっていました。

(インターン 蓮沼佑助)

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