みなさんこんにちは。
第8回おりづるプロジェクトのユースをやっていた鈴木慧南です。
川崎さんもオススメしていた「アトムとピース」を見てきましたのでご報告します。
*東京のイメージフォーラムにて5週にわたり上映を続けてきました「アトムとピース」は、22日(金)に上映終了しました。8月からは地方上映も始まります。東京でお見逃しの方は、8月13日から横浜での上映もありますのでこちらでぜひご覧くだ
さい。
http://atomtopeace.com/schedule.php
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実はこの映画の主人公である松永瑠衣子さんはわたしのだいすきなお友達です。
はじめて長崎で友達になったのが彼女でそれ以来、長崎に訪れるたびに会っています。
そして、そして、彼女のお姉さんは第1回おりづるプロジェクトに乗船しています。
その頃はまだ、ユース特使という形ではありませんでしたが、100人以上のヒバクシャの方と航海を共にしました。
そんなだいすきな瑠衣子さんの映画。
わたしも劇場で観るのをとっても楽しみにしていました。
今回の映画は、長崎の被爆3世である瑠衣子さんが核を巡るたびに出るお話。
そこで、日本が長崎の原子爆弾の素となるプルトニウムを大量に保持していることを知ります。
そして彼女は問います。
「日本の未来はどこにいくのですか?」と。
旅の初めは長崎です。
長崎ではわたしもだいすきな城代美彌子さんがお話してくれます。
彼女は2014年の平和式典で被爆者代表として挨拶をした方です。
その時、わたしも会場にいたのですが、書いてある文章では発言をしたときの衝撃は
今でも忘れられません。
安倍総理を前にして、紙に書いた言葉だけでは自分の気持ちが抑えきれなくなったそうです。
その想いに、心に、言葉に、どうしようもなくなって涙を流すしかありませんでした。
彼女は自分のお孫さんを幼い時に亡くしています。
「もしかしたら原爆を受けたからじゃないか」と今でもその問いかけが頭から離れていません。
また、彼女は福島第一原子力発電所の爆発を見て、8月9日が鮮明に思い出されたようです。
戦争を知らない世代が、また彼女たちを苦しめてしまったのかと思うと胸が痛くなりました。
次の旅は福島。
現在は全町民が避難している浪江町へ。
人のいない町。
まるで映画の世界かと思わせるそこは、実際の日本に存在する場所でした。
浪江町の方は、「あそこはとてもいい町だった」と。
「でも、自分たちが生きているうちに故郷に戻ることは多分二度とできないと思う」
そう言って涙を堪えていました。
故郷に帰ることができない。
それがどれほどのものなのか。
故郷を失ったことのないわたしには想像できません。
おじいちゃんやおばあちゃんも含めて、先祖代々何百年の大切な時間がそこにはあって、それを一瞬に目に見えない放射能に奪われた。
できるだけ早く放射能を除去してほしい。
最期は浪江町で過ごしてほしい。
それ以外願うことは見つかりませんでした。
最後に訪れたのは青森の六ヶ所村。
核燃料サイクルの中枢を担う場所。
2018年の完成を目指しているって、みなさんご存知でしたか?
日本がはじめ原子力発電を稼働したのが1966年。
今年で50年が経過しますが、まだそのサイクルは完成していないどころか
完成するかも分かっていません。
わたしたちは核のゴミを青森へ
押しつけようとしています。
また、この映画には数々の著名人や活動家も出演しています。
3.11時に内閣総理大臣だった管直人さん。
長崎大学核兵器廃絶研究センター長 鈴木達治郎さん。
アメリカン大学核研究所所長ピーター・カズニック氏
原子力開発時の元米国の官僚や、当時の原子力の技術を学びに行った
日本の留学生など。
「核」に関してさまざまな想いや考えを抱いた人が
この映画に大勢出てきます。
わたしは「核」を考えるとき、一面的に考えてしまうことが多いです。
絶対にあってはいけないもの、と。
もちろんその考えに変わりはありませんが、
その当時、日本がよりよくなるように純粋に原子力発電のために
努力していた日本人の人がいるということも忘れてはいけない気がします。
ですが、改めて核の脅威をわたしたちは再認識しなければいけません。
東日本大震災から今年で5年が経過し、「わたしたち」は普通の生活を取り戻しています。
ですが、現在も放射能で苦しんでいる人たちは東北に大勢います。
まだ、何も解決されていないのです。
地震大国と言われる日本で、原子力発電を行うということが
どういうことなのか、問い直すことが必要です。
1945年8月6日 広島
1945年8月9日 長崎
日本に2発の原子爆弾が投下されてから
まもなく71年目の夏を迎えようとしています。
あれから71年経ってもなお、
日本は核の傘に依存し続け、
一部の官僚は潜在的核抑止力に頼ろうとしています。
瑠衣子さんの最後の問いかけをわたしも問いたい。
一体、日本はどこに歩んでいくのでしょうか。
わたしたちの未来はどこに向かっているのでしょうか。
71年目のこの夏に向けて、
ぜひ多くの方にご覧いただきたい映画です。
第8回おりづるプロジェクト ユース鈴木慧南