8月6日に広島港から乗ってきた被爆ピアノとバイオリン。
広島・鹿児島・長崎・釜山・金沢・ウラジオストック・小樽・室蘭・石巻と全9箇所でコンサートを行いました。寄港日ではない洋上で行ったコンサートを合わせれば、12回ものコンサートを行ったことになります。ピアノとバイオリン、そしてそれを奏でてくださる方々と駆け抜けた、1日1日が意義深い密度の濃い日本一周クルーズでした。
そして日本一周の終わりを控えた8月22日に船内にて、この「平和と音楽の船旅」プロジェクトの総集編として振り返りイベントを行いました。この日は洋上夏祭りが行われていたため、浴衣で登場しました!
8月6日広島
台風の影響でなかなか入港できず、ピアノを乗せることができないかもしれないとまで言われていた広島。そんな慌ただしいスタートも、終わる頃に思い返すと懐かしく感じました。
陸にいたスタッフと船にいたスタッフ。コンサートの1時間前に無事ピアノが会場に設置された時は安堵しました。安堵したのもつかの間、調律、会場設営、リハーサル、音響チェック、メディアへの説明、受付、配布物準備、、、、、全てのことを行った嵐のような1時間でした。そしてコンサートがはじまります。
74年目の8月6日の夜、私たちは明子さんのピアノの音色に耳を傾けながらそれぞれに想いを馳せました。
広島の様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/08/pianoviolin-hiroshima/
8月9日長崎
長崎のコンサートには平和記念式典で合唱された世界で唯一の被爆者による合唱団「ひまわり」さんと純真高等学校のみなさんが来て下さいました。
広島で被爆した明子さんのピアノと長崎で被爆された「ひまわり」のみなさんのコラボレーションは、 双方から「核兵器」や「平和」を見つめる機会になったと感じています。
長崎の様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/12/piano-nagasaki/
8月10日釜山
そして日本を飛び出して訪れた釜山。
日韓関係の悪化がニュースになっているなかで行われたこのコンサート。ここに立ち会えたことは私の財産になると感じています。
被爆者らの再会と、出演された人それぞれの想いが交差する空間はうまく言葉にできないほど心を動かす何かがありました。
釜山の様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/19/piano-busan/
8月12日金沢
釜山から乗船された現役医師のよる音楽ユニット「インスハート」。
74年経ち、記憶の風化が浮き彫りになっている今、被爆者の体験と想いを託された若い世代がどうすればいいのか。何ができるのか。そんな葛藤も込めた「おばあちゃんののこしもの」は、日本一周クルーズの参加者や見学会に来てくださった方々に届いたと思います。
金沢の様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/19/violin-kanazawa/
8月14日ウラジオストック
パルチコフさんの被爆バイオリンが約100年ぶりに戻ったロシア・ウラジオストック。 強風だった裏話も交えながら話しました。
74年前であれば実現できなかった日本人とロシア人のアーティストによる音楽の共演。
その音を出すのは「ものを言う証言者」である明子さんのピアノとパルチコフさんのバイオリンでした。音楽を楽しむことのありがたさを噛み締めたウラジオストックでした。
ウラジオストックの様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/19/violin-vladivostok/
8月16日小樽、8月19日室蘭
北海道の2寄港地では、合唱団のかわいいお友達を迎え、とても和やかで微笑ましい雰囲気につつまれていたことを思い返しました。幼い合唱団が大人になった時のことを考えざるを得ませんでした。
小樽の様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/23/otaru/
室蘭の様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/23/muroran/
8月21日石巻
そして最後の寄港地、石巻。
被爆2世のいとこを、相次いで10代の時に失ったことから、「原爆が身近だった」という吉俣良さんのエピソードを共有しました。
石巻の様子はこちら:
https://hibakushaglobal.net/2019/08/28/ishinomaki/
「平和と音楽の船旅」を振り返って
船で旅しているとなかなかこのプロジェクトが日本国内外でどう報道されていたのかを見逃してしまうため、取り上げられた例を紹介し、テレビで放送されたものも一部一緒に見ることができました。
この日本一周で被爆ピアノのコンサートに来てくださった方々はなんと累計2000名以上!
音楽が紡ぐことのできる「平和」の種をこんなにも多くの方々に蒔くことができたと考えると、感無量です。
涙あり笑いありの本当に充実した日本一周になったと思います。
自由に音楽を楽しめること。大切な人とその音楽を聴けること。私たちにとって「当たり前」になっていたことができなかった時のことを、音楽を通して考えることができました。
明子さんとパルチコフさんの遺した「ものをいう証言者」たちが実現させてくれたこのプロジェクト。
きっとお二人も「よかったよ」といってくれるのではないでしょうか。
おりづるユース:安藤真子