3.核廃絶へのいろいろな動き

世界へライブ配信 ~2022年8月広島と長崎より

広島・長崎に原爆が投下されてから77年、今年2022年の夏も、改めて核兵器の非人道性を日本と世界に伝え、核兵器廃絶を求める取り組みを行いました。その取り組みを一つずつ紹介しています。

8月6日の広島から

8月6日朝、広島原爆投下77年の8時15分を世界のみなさんと共有する目的で、広島からライブストリーミングを行いました。ICANとピースボートの共催で、広島ではANT-Friends(ANT-Hiroshima ボランティア)のみなさんがリポーター、撮影役を務め、3つの場所から中継してくれました。ANT-Friendsは、世界の様々な国から集まった若者たちで構成されています。

8時05分、人が集まる広島市平和記念公園のなか、島本アンソニーさんの挨拶で始まりました。アンソニーさんの祖父母は広島で被爆。幸いにも生きながらえたおじいさん、おばあさんは、地獄のような記憶を持ち続けていたそうです。だからこそ、この日を、そして記憶を大切に引き継いでいかなければならないとメッセージを発信しました。

広島にルーツを持つアンソニーさん

平和を呼びかける近藤紘子さん

韓国人慰霊碑を紹介するピンさん

2番目の中継は、供養塔の前から、タイ出身のピンさんが担当しました。ご同行いただいた被爆者の近藤紘子さんは、「私たちはこの美しい世界で、幸せに生きなければならない。さぁ、力を合わせて活動を続けましょう」と呼びかけました。その言葉を胸に、1分間の黙とうが捧げられました。

ピンさんは黙とう後、韓国人慰霊碑を案内し、広島で亡くなったのは日本人だけではなかった、と解説します。

ビーさんと被爆樹木

続いて、基町小学校に静かにそびえる被爆樹木を、フィリピン出身のビーさんが紹介しました。焼け焦げた皮やねじれた枝が、原爆を受けた苦しみの傷跡。広島の人々は、この木々のように、希望を取り戻す方法を見つけた。再び生きるために。再び夢を見るために。と語りました。

サーロー さんと川崎さん

特別出演として、ニューヨークでNPT再検討会議に参加しているサーロー節子さん、ピースボートの川崎哲さんが参加しました。川崎さんからは各国代表による核兵器の廃絶について議論が行われている臨場感が伝えられました。サーローさんは、ニューヨークでは、未だ核兵器が国を守るというナンセンスな主張も交わされている。その現状に対してどのように核兵器禁止条約に近づけるか、チャレンジしている、と報告しました。そして、77年を迎えるにあたり、これまでの被爆者の訴えを若い世代が引き継いでくれるだろう、と期待を募らせました。

カミスさんと近藤さん

中継は広島に戻り、原爆の子の像前で締めくくりを担当したのは、南スーダン出身のカミスさんでした。世界はもっとよくなるはずで、それはどんな職業の人でも、立場の人でも、その動きに加わることができる。だから一緒に核兵器廃絶を進めて行きましょう、という力強いメッセージを発しました。

Ant-Friendsのみなさんと

生まれ育った故郷を離れて広島で暮らすANT-Friendsのみなさんが行った中継を通じて感じたのは、被爆者の声は日本の若者だけでなく、世界の若者も伝えていける、ということです。世界の仲間と「核なき世界」を目指そう。改めてそう思った8月6日の取り組みでした。

8月9日の長崎から

照り付ける陽射しと海からの風に吹かれ、セミの声と教会からの鐘の音、集会から聞こえてくる太鼓や人の声に満ちた、8月9日の長崎からお届けしました。まずは、多くのキリスト教徒が被害にあった浦上天主堂から。天主堂は、爆心地から500メートルのところにあり、立っていた天主堂は破壊されました。当時、ここ浦上エリアには約1万5千人の信徒がいましたが、そのうちの3分の2にあたる約1万人の信徒が亡くなりました。配信の後ろに立っている美しい天主堂の建物は戦後立て直されたものです。しかし、周辺には当時の遺構も残っていることを映像で伝えました。

浦上天主堂から生配信しました

 

その後は、長崎の街の至る所でさまざまな形で追悼が行われているようすを伝えました。平和祈念式典や爆心地公園の様子、子どもたちのアート作品も紹介しました。そして、平和式典のため登校する小学生など、原爆投下の日を迎える長崎の街の様子を伝えました。

慰霊式典が行われていた山里小学校から

最後に、絵本「核兵器をなくすと世界が決めた日」を通して、核兵器の影響に苦しむ世界の人々の思いと、核兵器禁止条約への期待に心を寄せました。

 

配信した動画はこちらから視聴できます

広島からのメッセージ: (音声がつながらなかった場面もあります)

 

長崎からのメッセージ:

文:松村真澄(広島部分)

 

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