3.核廃絶へのいろいろな動き

物言わずとも静かに語りかける「明子さんの被爆ピアノ」

広島・長崎に原爆が投下されてから77年、今年2022年の夏も、改めて核兵器の非人道性を日本と世界に伝え、核兵器廃絶を求める取り組みを行いました。その取り組みを一つずつ紹介しています。

オンラインイベント「明子さんの被爆ピアノ~奏でる平和のしらべ~」

ピースボートでは、2019年から、広島のHOPEプロジェクトの協力を得て、被爆を生き抜いた「明子さんのピアノ」を紹介する企画を行ってきました。今年の8月6日は、パルシステム千葉と共催で、オンラインイベント「明子さんの被爆ピアノ〜奏でる平和のしらべ〜」を行いました。130人以上の方が参加し、お話と音楽を通じて一緒に平和を考える機会を持つことができました。

パルシステム千葉の佐々木理事長のご挨拶をいただいたあと、ピースボートの松村が現地広島の様子を中継しました。8月6日夜の原爆ドーム、元安川を流れる数々の灯篭、そして「明子さんのピアノ」が所蔵されているレストハウスを紹介しました。

元安川沿いで中継する松村

続いて、ピアノとその持ち主であった河本明子さんを紹介する動画「ショパンを愛したピアノ」(牛田中学校PC放送部2017年制作)を上映しました。明子さんの幼少期、戦争中の心の変化、原爆投下翌日に帰らぬ人となったこと、長い間使われなかったピアノがHOPEプロジェクトに引き取られるまで、多くを伝える映像でした。

HOPEプロジェクトの廣谷明人さん(中央)、二口とみゑさん(左)

上映後、HOPEプロジェクトの二口とみゑさん、廣谷明人さんを招いてトークを行いました。廣谷さんからは、軍国少女化していく明子さん、子煩悩だった父・源吉さんの人間像についてお話いただきました。二口さんからは、「明子さんのピアノ」を伝えていく中での出会いやできごとについて語っていただきました。

二口とみゑさん

廣谷明人さん

 

トークに続き、広島ミュージック・ステーション代表の橋詰貴子(はしづめたかこ)さんの門下生、年長から大学生のみなさんの演奏をお楽しみいただきました。ネット環境を考慮して、今回のために事前収録したものを配信しました。アニメ「千と千尋の神隠し」の挿入歌や、バイオリンとデュエットでの「情熱大陸」、美しい歌声が重なる「いのちの歌」など、どれも素晴らしい演奏ばかりでした。

演奏の様子

企画終了後、「心に響く内容だった」「明子さんもこのピアノを大事にして弾き続けていただろうに」など多くの感想が寄せられました。小学生からは「前よりずっとずっと『せんそうするのはよくない』と思った」「今生きていて幸せだな、と感じた」というコメントが届きました。また、「物言わずとも静かに語りかけ、かつて確かにそこに存在した人々の温もりや哀しみを、人々が過ごした時間を感じさせてくれます」というメッセージには、「明子さんのピアノ」という存在の無限性、語り奏で続ける重要性を再認識させられました。

当日の映像

パルシステム千葉さまのページからご覧いただけます。
https://www.youtube.com/watch?v=3-ZrCHR3dks

文:松村真澄

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