2024年_ヒバクシャ地球一周(Voyage117)

出航前に、プロジェクトを記者にブリーフィング

4月13 日(土)に横浜港を出航するピースボート地球一周の船旅 Voyage 117 では、「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」と「ウクライナ・ユース・アンバサダー」というふたつのプロジェクトを実施します。3 月27 日(水)、ピースボートセンターとうきょうで、参加メンバーを含めてメディアに向けてブリーフィングしました。

2つのプロジェクト:「ウクライナ・ユース・アンバサダー」と「おりづるプロジェクト」

2008年に始まった「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」では、これまで170 名を超える広島・長崎の被爆者とともに、船旅を通じて世界各地で証言会を実施し、核廃絶のメッセージを世界に届けてきました。今回は広島・長崎からの被爆者3 名に加え、国外から選ばれたユース2 名が非核特使として証言の航海を共にします。また、アメリカの核実験の被害者も米国からメキシコまで乗船し、グローバルヒバクシャを考えます。世代と国境を越えて核兵器禁止条約への参加を促し、核兵器をなくすための具体的な歩みを強めていきます。

「ウクライナ・ユース・アンバサダー」は駐日ウクライナ大使館の協力を得て、今回初めて行うプロジェクトです。日本に暮らすウクライナ出身の若者が7 名乗船し、ウクライナの現状を世界に伝え、将来の平和や復興のためにできることを国際社会に訴えます。参加する若者が世界各地で平和を希求する人たちと出会い、視野を広げ、ウクライナの未来をけん引していく存在になれること、日本とウクライナの架け橋になれることも願っています。

畠山澄子

まず、司会を務めた畠山澄子(ピースボート共同代表)から、今回のクルーズの概要と乗客数、その中に日本以外の国からの出身者が4分の1くらいの割合で乗船することが説明されました。そしてウクライナ・ユース・アンバサダープロジェクトについても紹介しました。

吉岡達也

次に、吉岡達也(ピースボート共同代表)は、戦争の絶えない世界情勢を改めて振り返り、ピースボートの41年の歴史の中で行ってきた様々なユース(若者)のプロジェクトを紹介しました。紛争地の若者を船に乗せたり、SDGs(持続可能な開発目標)を考えるユースを後押ししたり、気候変動の現状を伝える島国諸国出身の若者と共に国連で訴えたり、、、。その流れで40周年を迎えた昨年の夏にウクライナ・ユース・アンバサダーが発表されたことも話しました。ウクライナとピースボートの繋がりは想像以上に長く、20年前にはウクライナの船で船旅を行っていました。それ以降もウクライナ出身のクルーがピースボートの船旅を支えてくれています。特にこの10年くらいは、ウクライナ出身のキャプテン(船長)が地球一周の船旅を導いてくれています。そんな身近で親しい友人がたくさんいるウクライナが軍事侵攻されたことに、ピースボートは心を痛めています。そこで、ウクライナ出身の若者に船旅に乗船してもらい、ウクライナの現実は人々の思いを世界に伝えてもらおうと企画したのです。

ナターリヤ・マコホンさん

参加者の一人、ナターリヤ・マコホンさんは会場のピースボートセンターとうきょうで、このように話しました。「戦争は最も悲惨なこと。世界の人々と協力して平和構築して、新しい社会を作っていく必要性を訴えてきたい。」でも「戦争だけでなく、ウクライナの素晴らしい部分、文化や伝統なども伝えたい。戦争がおわり平和になったときに、みなさんに訪れてもらうために」と。

渡辺里香

そして、今回のクルーズで4年ぶりに再開をする「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」からは、ディレクターの渡辺里香が、核兵器の威力を誇示して武力紛争が続いていること、威嚇している国に核兵器の使用による影響を伝えていくことの大切さを話しました。その中で、核兵器禁止条約の元で確実に核被害者たちの声と経験を中心に据えて核兵器を禁止/廃絶していこうという動きは広がっていることも紹介しました。

田中煕巳さん

そこで、参加メンバー4人をご紹介して、横浜の出航から南アフリカのケープタウンまで乗船予定の田中熙巳(日本被団協代表委員)さんからもコメント頂きました。
田中煕巳さんからは、「若い頃からピースボートに乗りたかった。国内の活動や体の不調などでなかなか乗れなかったが、今回声がかかって嬉しい」という喜びの辞と共に鋭い指摘がありました。「『核の非人道性』とはなんなのか、言葉だけが先走っていることがある。人間に、この地球にどのようなことが実際に起こったのかを伝えていくことが非常に大切。」と。

黄荣媛[ロンユエン・フアン]さん

また、初めて日本国内外から公募したユース特使の一人に選ばれた、中国出身の黄荣媛[ロンユエン・フアン]さんが中国からオンラインで参加してくれました。そして、英語で熱く語りました。
核抑止論に頼っている世界、それだけでは止められていない戦争、それが今もなお続いていること。その影響が航路変更*として出ていること。
核兵器は戦争だけではなく気候変動にも影響を及ぼすこと。
「今の世の中だからこそ、船を出し平和のメッセージを伝えていく必要がある」と。

*紅海海域の情勢を鑑み、紅海ならびにスエズ運河通行の通航を取りやめ、アフリカ大陸南端の喜望峰を経由するルートに変更しました(2024年2月)

会場に集まった登壇者たち

出航当日の4/13(土)午前10 時からは横浜大さん橋にて出航記者会見も予定しています。2つのプロジェクト参加者が全員集まります。船をバックに写真撮影もする予定です。是非お集まりください。

文:渡辺里香

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