ピースボートがカナダのバンクーバーへと寄港したこの日、バンクーバーは気温30度を超え熱帯注意報が出されるほどの晴天に恵まれました。
今回は、カナダの公立大学で教授を務め、核不拡散や軍縮、宇宙安全保障などの問題に関して執筆活動をしてるポール・マイヤーさんと、『Mines Action Canada』というカナダを代表する人道的軍縮団体の事務局長を務めるエリン・ハントさんの協力のもとサイモン・フレーザー大学(SFU)にて、寄港地プログラムを実施しました。二人の呼びかけにより、NGO団体関係者や大学の学生など約60名が集まりました。
大学の講義室で行われた今回の証言会は録画され、より多くの人が視聴できるように、大学のホームページにアップされるそうです。
実際に日本に住んでいたときに広島長崎を訪れたことがあるという方も参加しており、
「日本はとても美しいところで大好きです。実際に訪れた広島・長崎もステキで、あの街に原爆が落とされたことが信じられませんでした。(被爆者の)お二人は、爆心地に行くのはツラいですか?」
と質問をしてくれました。
それに対して小川さんは「当時自宅があった場所は今は駐車場になっています。今回のクルーズ乗船前にそこを訪れましたが涙が出そうでした」と答えました。
また田中さんは「よく、『(民家ではなく)公園に原爆が落ちてよかったね』と言われることがありますが、平和公園になっているその場所はもともと広島市内一の繁華街でした。今でもそこに行くのは悲しいです」と。
小川さんも田中さんも、(今住んでいる長崎、広島は)それぞれが生まれ育った大好きな街であると同時に、ふとした瞬間に原爆投下当時の悲しくつらいことを思い出す街でもあるということが伝わってきた瞬間でした。
忘れたくても忘れられない、忘れてはいけない当時の出来事
あの日生きることができなかった人たちの分の想いも込めて、被爆者は証言を続けます。証言会が終わった後、中国出身の方が田中さんに個別に話しかけに来てくれました。
「今回、被爆体験をした方の目線で原爆の話を聞くことができ、たくさんのことに気づくことができました。中国と日本の国交はまだまだ難しい部分も多いですが、まずは個人が仲良くなることで将来的に友好な国交が築けることを願っています」と、今回の証言会を聞いて芽生えた想いを共有してくれました。
今回のプログラムの主催者であるエリン・ハントさんとポール・マイヤーさんは、証言会の後に交流会も準備してくれていました。会場となる部屋には、カナダ産のサーモンやベイクドポテトなど軽食が並んでおり、各自が自由に取って食事をしながら交流を楽しみました。交流会には、在バンクーバー日本国領事館の方やカナダ・アジア太平洋財団の方などが参加し、被爆者二人の話だけでなく、ピースボートはおりづるプロジェクト以外にどういった活動をしているのか、そしてピースボートクルーズはどんな旅なのかを紹介しました。
「部分乗船でも構わないのでぜひともクルーズに乗船してみたいです」との感想をいただきました。
Voyage117おりづるプロジェクトの寄港地活動はバンクーバーをもって最後を迎えました。
今クルーズでの寄港地活動にて約1000名の方に被爆証言を届けてきました。
現在プロジェクトメンバーは7月26日の日本帰航までの間に、船内企画にてプロジェクトの集大成となる報告会に向けて準備をしています。
(文:橋本舞)