2024年_ヒバクシャ地球一周(Voyage117)

平和憲法という日本との共通点をもつコスタリカへ

コスタリカと日本はともに、戦争をしないと決めた憲法(日本国憲法第9条の〔戦争放棄〕とコスタリカ12条〔軍隊不保持〕)を持っているという共通点があります。平和を意識して生活する市民も平和に関する教育機関も多いこの国で、ウクライナとロシアやガザの現状など、どうすれば争いを止め平和構築を進めていけるのかを考える機会として今回のプログラムを企画しました。

今回受け入れ団体の一つであるコスタリカ国連平和大学は、平和学に特化した授業をおこなっており、これまでに世界の平和に貢献する数多くの人物が育ってきました。また今回のプログラムはおりづるプロジェクトとウクライナ・ユース・アンバサダーが一緒に証言をし、外務省や駐日コスタリカ大使、コスタリカ副外務大臣も参加する会となりました。

遥か遠くの日本からヒバクシャが来てくれたということで、外務副大臣のリディア・マリア・パレルタ・コルデロさんを始め、国立大学UNEDのシンディ・スカフィディ・アンフィエさん、平和大学講師のステファニー・ノックスさんなど数多くの方からの歓迎の挨拶で会は始まりました。

「こんにちは、お元気ですか」と日本語で挨拶を始めたのは外務副大臣のパレルタさん。友人が日本に住んでいたということで今日のために日本語の挨拶を教わってきてくれたそうです。その挨拶を聞いた小川さんと田中さんは笑顔で「とても上手です」と拍手を送ります。

挨拶をする副外務大臣

 

副大臣は「原爆の惨禍を経験してきた被爆者とウクライナユースが経験した話は今後も活かされるべき命の証言です。私たちは武器を捨て軍をもたない平和の教えを子どもたちへと伝えています。いまだに武器で争うことが好きな人がいるのは事実ですが、人類としては武力紛争が終わるように私たちは努力をすべきだと思っています。コスタリカはいつでも、ウクライナや平和を求めつくる人たちの味方です」と今回訪れたメンバーに敬意を込めて言葉を贈りました。

歓迎の挨拶のあとは、昼食を兼ねた交流会です。
田中さんと同じテーブルに座ったパレルモ副大臣は、「実は私もひざの手術をしたことがあります。リハビリは大変だったけれど、そのあとがとても楽になったのよ」とプライベートなことを話してくれました。

昼食を兼ねた交流会

今回のクルーズ後に脚の手術を控えている田中さんは「その言葉にとても勇気をもらった。そして政府関係者と思ってた人がとても個人的なエピソードをしてくれたのが嬉しかった」、と後日振り返りの際に教えてくれました。また今回参加したメンバーの一人で大学講師のノックスさんは、過去にピースボートが開催した「9条世界会議」の一員として関わっており「私はその時にピースボートに関わって、今の大学講師になる道を選びました。またこうしてピースボートと一緒に平和構築に関わる仕事ができてとても光栄です」と声をかけてくれました。

昼食の後は第一セッションとしておりづるメンバーによる証言をおこないました。
当日の実相を知る田中さんの被爆証言、記憶はないけれど被爆者として継承に取り組む小川さんの話、核実験によって被曝したグローバルヒバクシャのメアリー・ディクソンさんの話、という流れで進めました。

証言会中

 

ヒロシマ・ナガサキ以外にもヒバクシャがいるという事実は衝撃だったようで、「核実験被害者にアメリカは何か補償をしたのか」「メアリーさん自身はどうやって自分が被ばくしていると気が付いたのか」など、メアリーさんへの質問が多く寄せられました。

第二セッションでは、ウクライナ・ユース・アンバサダーたちによる証言でした。
各セッションの後は来場者とメンバーの記念撮影をおこないました。現地パートナーからは被爆者への幸せを願って描かれた絵と名産のコーヒーがプレゼントされました。中南米での活動を終えたメンバーは、最後の寄港地活動となるバンクーバーへと向けて準備を始めます。

もらった絵と記念撮影

(文:橋本舞)

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