2024年_ヒバクシャ地球一周(Voyage117)

深圳(中国)にて平和のための市民対話イベントを開催しました

4月18日は深圳(中国)への寄港日です。
ピースボートVoyage117初めての寄港地となるこの日、現地パートナー「チャハル・インスティテュート(察哈尔学会)」のメンバーを船内へお招きし、日中平和のための市民対話イベントを開催しました。

先方からは、チャハル・インスティテュート主席研究員の邱国洪大使や主任研究員の王丹凝博士などが参加。ピースボートからはおりづるプロジェクトメンバーのほかに、ピースボート共同代表の吉岡達也も参加し、世界情勢や今後の日中関係についてお互いに意見交換をする場となりました。

邱国洪大使へ挨拶をする田中煕巳さん

邱国洪大使は「家族や友人でもケンカをすることがあるけれど仲直りできる。日中の長い過去の歴史を見ても友好だった期間のほうが長い。領土問題など時間がかかることはたくさんあるが、『時間をかけて(日本語でおっしゃいました)』お互いに相互理解をしあうことで日中友好はできると信じている。」と発言しました。
また同団体の王博士も「いまだに暴力で治めようとする人たちがいるが、それに対抗していかなければいけない。戦争のない平和をつくるためにはまだまだやらなければいけないことがたくさんある。歴史を忘れず、過去と現在、未来を繋げてくれているピースボートには大変感謝している」と今日のイベントを開催できたことへの喜びを表しました。

おりづるユースの黄荣媛(ロンユエン・ファン)さんも、これまでに学んだ歴史問題のことや、今回乗船している長崎の被爆者、田中煕巳さんの被爆証言を聞き感じたことなどをスピーチしました。

スピーチをする黄荣媛(ロンユエン・ファン)さん

「被爆者は原爆投下から数年間、周りからの誤った認識による差別や、アメリカからの規制により、原爆の体験を話すことが出来ずに心の中に苦しみや悲しみを押さえこんできた。今は誰一人としてその同じ体験をさせないために、勇気をもって世界へ(核兵器廃絶を)発信をしている」と田中さんから聞いた内容を簡潔にまとめて伝え、「おりづるユースとして被爆者の方と直接対話し個人的な話を詳しく聞ける貴重な機会を得たのだから、日本語と英語、中文と自分の話せる言語能力を活かして、被爆者の方の人生と、核兵器がいかに恐ろしく、使用されれば世界に終止符が打たれることを理解してもらいたい」と今回の乗船への意気込みを話しました。

意見交換の後は友好の証として記念品の交換をしました。
ピースボートからは、戦争を放棄し国際平和を希求すると定めた日本国憲法第9条が明記された「9条プレート」と、広島にある「原爆の子の像」のモデルとなった佐々木貞子さんの物語「おりづるの旅ーさだこの祈りをのせてー」を渡しました。チャハル・インスティテュートからは、中国で有名な芸術家が制作し世界に9つしかないハトのオブジェ*がプレゼントされました。

鳩とオリーブのオブジェ

9条プレートを渡す吉岡達也

会終了後も、発言した田中煕巳さんや吉岡達也さんへの個別の質問が続きました。約1時間と限りはありましたが、今後の日中友好への共通認識を改めて共有した時間となりました。

イベントの様子は、「チャーハー・インスティテュート(察哈尔学会)」のサイトでも取り上げられています。
https://mp.weixin.qq.com/s/5R83gr0SmogRaNP6UR0HMw

*鳩のオブジェについて

高孝午彫刻作品「平和の使者」
彫刻は鳩とオリーブの枝葉を構成要素とし、植物の成長、生命のダイバーシティ、抽象と写実のバランスを想像力と芸術言語を通じて表現するとともに、「世界はまさに持ちつ、持たれつの関係にある」という平和の理念を表そうとしています。
スポットライトとなる鳩が抱き合うイメージは「和を以て貴しとなす」という意味の表れです。
鳩とオリーブの枝葉は世界平和の象徴であり、彫刻の中で両者は一体となって、平和の力の結集を呼びかけ、人間感化の使命を果たそうとしています。

(文:橋本舞)

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