広島で被爆し、その後、自身の人生の大半以上に渡り核兵器廃絶の活動を続け、その道を先導し続けてきたサーロー節子さん。カナダ在住の今も、世界各地へ被爆証言とともに核兵器廃絶を訴えています。
2017年に核兵器廃絶国際キャンペーン(通称:ICAN)がノーベル平和賞を受賞した際にはヒバクシャ代表として授賞式でスピーチをおこない、発せられる力強い言葉に多くの人が胸を揺さぶられ、核廃絶への士気を高めました。
そんなサーロー節子さんの活動の原点と、ノーベル平和賞受賞スピーチにいたるまでのエピソードを追い4年に渡り撮影したドキュメンタリー映画「ヒロシマへの誓い サーロー節子とともに」の上映会をVoyage117船内で実施しました。英語日本語の両方で視聴することができるこの映画は、国籍問わず多くの人が訪れ会場はほぼ満席となりました。
上映後には自然と会場内に拍手が起こり、「この映画を自主上映したいのですが、どこでDVDを借りれますか」という問い合わせや「この映画を観て決めました。下船後は核廃絶に関わる団体に就職することにします」と決意した若者のエピソードが、企画担当スタッフへと寄せられました。
被爆者の想いが言葉の壁を越える
会場入り口では、サーロー節子さんの著書である「光に向かって這っていけ – 核なき世界を追い求めて」(岩波書店)を販売。多くの方が手に取り購入していきました。
そんな物販コーナーで担当スタッフの印象に残る出来事がありました。来場していた方の退室も、書籍を購入する方の列も落ち着き片づけを始めていたころ「まだ買えますか?」と一人の方がかけてきました。その方は台湾から乗船し現在日本語を勉強中の方だったのですが「映画を観て、サーロー節子さんのことも核廃絶のことももっと知りたいと思いました。この本を買いたいけれど私でも読めるかな」と。少し悩まれたあと「勉強しながらゆっくり読むことにします!」とスタッフに声をかけ本を購入していかれました。
その姿はまさに(ヒバクシャの)核廃絶への想いが言葉の壁を越えた瞬間だったと、担当スタッフは言います。
本映画のプロデューサーである竹内道さんとは、ニューヨークでのおりづるプロジェクト活動にてお会いしました。おりづるユースのミキはニューヨーク在住という共通点があり、船内や寄港地でおこなってきた活動の報告をしたり、道さんとサーロー節子さんとのエピソードを伺ったりと話が盛り上がっていました。
(文:橋本舞)