9月7日、第63回ピースボート「地球一周の船旅」が横浜港大さん橋国際客船ターミナルから満を持して始まった。103日間の予定で20か国22寄港地を巡るこの船旅では、25年におよぶピースボートの平和に向けた活動の集大成とも言うべきプロジェクトが計画されている。
「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」(通称:おりづるプロジェクト)と名付けられたこのプロジェクトは、ピースボートの呼び掛けに応じて集まった広島から63名、長崎から39名という計102名の原爆被爆者の方々が各寄港地で被爆の体験を語り、核兵器廃絶を訴えるというもの。100名以上の当事者が一堂に会し、直接世界に語りかけるという試みは、過去に類を見ないものであり、被爆から63年経ち、高齢化が進むことを考えると、このような機会を持つのはおそらく最後になるのではないだろうか。それだけに貴重かつ重要な歴史的プロジェクトと言える。
出航に先立ち、7日午前中に開かれた記者会見には、日本だけではなく、カナダ、ブラジル、オーストラリア、韓国と世界各地から集った被爆者の方々も参列した。
「103日間という船旅で、被爆を体験した人たちとともに食べ、考え、話し合えることは、またとない機会になると思います。私たちヒバクシャもこの63年間、それぞれが違った経験をした中で、どういう想いを持って生きてきたのか、またこれから残る余生をどう過ごすのか、そんなことを話し合えるのを非常に愉しみにしています」と、広島で被爆したカナダ在住のセツコ・サーローさんは抱負を語ってくれた。
また会見場には、今クルーズでの訪問国であるエリトリア、ベネズエラの駐日大使やオーストラリアの書記官も駆けつけ、それぞれがこのプロジェクトの持つ意義に賛同し、はなむけの言葉を送った。
記念すべき航海となった今回の第63回クルーズ。ここから、核兵器廃絶のための、また平和を作るための、新たな1歩が刻まれようとしている。
※現地で証言・交流活動を行う「おりづるプログラム」が予定されているのは以下の各都市(寄港順)
ダナン(ベトナム)、コーチン(インド)、マッサワ(エリトリア)、ピレウス(ギリシャ)、バルセロナ(スペイン)、ラスパルマス(スペイン)、ラグアイラ(ベネズエラ)、サントドミンゴ(ドミニカ)、カヤオ(ペルー)、パペーテ(タヒチ)、オークランド(ニュージーランド)、コロール(パラオ)
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