2008年_第1回ヒバクシャ地球一周(第63回ピースボート)

国を挙げての歓迎 ベネズエラでの大交流パート2

ベネズエラ滞在2日目の11月26日、午前中に行われるカラカス市主催の平和式典&コンサート「核のない世界へ」に出席するため、おりづる一行はラグアイラをバスで出発。今回のイベント「核のない世界へ」は、おりづるプロジェクトのベネズエラ訪問団がきっかけで、平和市長会議に賛同するベルナール・カラカス(リベルタドール)市長がベネズエラ全国の市長たちに呼びかけ、賛同した市長がその場で署名をするために催されたものである。

会場のカラカス市立劇場に着くと、すでに場内は地元の人々の熱気に包まれていた。最初にカラカス市交響オーケストラによるコンサートがはじまると、まさにラテンの国ならではといったノリの曲が次々とかかり、陽気な音楽をバックに踊り出す人も現れるほどの盛況ぶりを見せる。ピースボートからは返礼に和太鼓の演奏を披露し、コンサートは約1時間ほどで終了。その後、式典へと続く。

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カラカス市立劇場を埋め尽くしたヒバクシャ一行と地元市民

まずはピースボートを代表して川崎哲が、平和市長会議に対するカラカス市長の理解に謝意を示し、ラテンアメリカの団結を夢見たベネズエラの英雄、シモン・ボリーバルを引き合いに出し、ラテンアメリカ諸国による非核地帯宣言はアジアにとっても大きな励みになると述べた。次に、ヒバクシャを代表して山田絹江さんと松添鶴次さんが挨拶。当時15歳だった松添さんは、「勤労動員の徹夜明けで寝ていた時に被爆し、救護所になった学校に連れて行かれたが衰弱があまりに激しく医者に助からないと診断された。その後、意識を失ったため死んだと思われ、校庭の死体置き場に寝かされたが、運良く動いたところを発見され、再び室内に運び込まれた。生きていたからこそ、平凡でも今まで生活することができた」と語り、会場から万雷の拍手を浴びた。

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壇上に並んで平和市長会議加盟の署名をする市長たち

その後、ボリーバル市長連盟に加盟する13都市の市長たちによる平和市長会議への署名と続き、カラカス市長が、ヒバクシャ一行に対し、名誉訪問者として表彰した。そして、ピースボートおよび平和市長会議に対して、カラカス市で最も名誉あるファン・シスコ・デ・レオン勲章を授与した。

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カラカス市長からヒバクシャを代表して表彰される松添さんと山田さん

カラカス市立劇場での行事の様子はベネズエラのテレビで報道された。冒頭で出てくるのは、劇場前で記者会見に応じるベルナール・カラカス(リベルタドール)市長

午後からは、数名のヒバクシャがカラカスにあるユネスコ協会を訪問。地元の学生80人ほどを相手に交流の機会を得た。冒頭、事務局長のルイスさんより、原爆は人類が起こした大きな課題であるという挨拶をもらい、パリのユネスコ本部に掲げてある「戦争は人々によって作られる。そのことに気づかなければならない」というメッセージをもらう。

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若者への継承が重要と語るルイス・カラカス・ユネスコ協会事務局長

自身が広島の宮島ユネスコ協会会長を務める井口健さんをはじめ、弓削脩さん、森田隆さん、八木義彦さん、松本滋恵さんがそれぞれ体験を語る。八木さんは、「最初の子どもが未熟児で生まれ、その後の第2子、第3子は数か月で亡くなり、また孫も体に障害を持っていたため、2世、3世まで影響があると感じている。後世に負の遺産を残さないよう、一刻も早い核廃絶を願う」と話した。

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原爆パネルを使って自身の体験を語る森田さん

その後、質疑応答に移り、加害者に対する憎しみはあるか、という質問に対し、池田道明さんは、個人的な意見だがと断り、「戦前は鬼畜米英と教えられてきたが、その後はアメリカに対してというより戦争に対する憎しみだけ」と述べ、森田さんは「アメリカに対する復讐心が消えるまで20年かかった。平和の尊さを考えると戦争に勝ち負けはない」と答えた。それを受け、最後にルイスさんが、「今回聞いた話は忘れてはいけない。若い人にはいい経験になったと思う」と締めくくった。

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学生たちから活発な質問が相次いだ

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