1.ヒバクシャ証言の航海

【寄港地報告】イタリア(ローマ) ‐平和の仲間たち

ローマ教皇・ベネディクト16世は、被爆者(広島・長崎原爆生存者)を彼らのイタリア・ローマでの3日間の旅において、温かく歓迎した人々のうちの一人だ。10月11日(日)のミサにて教皇は、何千人もの聴衆の前で被爆者らと直接挨拶を交わし「核のない世界」を求める動きに彼の声を加えた。
被爆者一行は永遠の都ローマにて、証言活動をしたり、核兵器廃絶推進運動への支持を得た。彼らは地元自治体関係者や市民社会からの熱烈な賛同を得た。

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海-R-A
ピースボート・ヒバクシャ・プロジェクト、バチカン市国・聖ピーター・バシリカ堂にて。異教派平和センタージャンニ・ノベリさん(前列右)、メアリー子ども愛徳修道会マリア・レジーナ女子修道院長(前列中央左)らもこのイベントに参加した。

10月10日、ローマ市役所にて行われたピースボート・ヒバクシャ・プロジェクト会議にて、アトス・デ・ルカ市会議員は、ローマのある街路名を「ヒロシマ・ナガサキ通り」と名付けることを発表した。これは来夏に予定されており、悲劇の追悼とローマ市の平和への誓いの意を込めて行われる。
この誓いに基づき、ジャンニ・アレマンノローマ市長は、平和的対話を養うために先駆的なプログラムを展開している。会議にて、マリオ・アンドレア・バッターニ市長代理は、ワークショップや校外学習を通し21世紀において人によってもたらされた悲劇について、ローマの青少年に学ぶ機会を与えるこのプログラムの内容を説明した。前回の校外学習では、ポーランドのアウシュビッツ強制収容所を訪れている。

このプログラムの目的は、子どもたち同士で紛争について語る準備をさせることだ。バッターニ氏は、来年市長が50人の使節団員を率いて広島を訪れる計画を持っていることにも触れた。ローマ市長は、世界中の市長3,000人が核廃絶を誓い加入している平和市長会議のメンバーでもある。

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海-R-B
10月10日、ローマ市役所にて被爆者の西岡洋さんが長崎原爆後の状態について思い出している様子。彼の隣りは、マリオ・アンドレア・バッターニローマ市長代理(中央)とアトス・デ・ルカ市会議員(右)。

被爆者らは、ローマ・異教派平和センター(CIPAX)も訪問した。聖パウロキリスト教コミュニティ・センターにて、被爆者らを招待した主要主催者のジャンニ・ノベリ氏は、イタリアでは核拡散に対し強く反対する声があり、彼の団体はローマにて引き続き平和を推進する意志を表明した。
ビア・オウグスト・レンジニ小学校は、3日間のヒバクシャ・プロジェクトの最終訪問地となった。被爆者の西岡洋さん(78)は、長崎にて原爆を受けた際、訪れたこの小学校の児童よりもわずか数年年上だった。彼は、爆発によって生まれた熱線がどれだけ熱いか、また爆風がどれだけ遠くに人々を飛ばすかなどを生徒たちに想像させた。西岡さんは原爆後彼の人生がどのように変わったかについても話し、児童たちに家族や友だちにも自分の話を伝えるようにと促した。

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海-R-C
被爆者の大野允子さんとビア・オウグスト・レンジニ小学校児童たちとの交流の様子。児童は一人ひとつずつ折り鶴を受け取った。折り鶴はピースボート・ヒバクシャ・プロジェクトのシンボルである。

「67回ピースボート、クルーズレポート(シメルナ・ブレイク著)より翻訳」

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