1.ヒバクシャ証言の航海

[寄港地報告] マンタ(エクアドル)

エクアドルのマンタで行われた平和憲法国際会議についての、クルーズレポートの翻訳が終わりました。被爆者の西岡弘さんも記者会見で発言されました。

以下、67回ピースボート、クルーズレポート(シメルナ・ブレイク著)より翻訳
http://www.peaceboat.org/english/voyg/67/spe/091108/index.html

【寄港地報告】マンタ(エクアドル) ―平和同盟を結ぶ 2009年11月8日

2009年11月5日から6日にかけて行われた、核兵器廃絶と外国軍基地の撤退を求める平和憲法国際会議では、人々の思いが高まっていた。2日間に渡って行われたこの会議では、ラテンアメリカと日本の市民社会を代表する団体が集まり、外国軍基地が地域レベル、そして世界レベルにおいてどのような影響を与えるのか話し合い、エクアドルが採択した平和的な新憲法の理念を称えた。世界でも進歩的だと言われるこの憲法は、エクアドルを平和の土地と宣言し、外国軍基地を禁止するとともに世界の軍縮を推進している。また、平等、平和、そして持続可能な社会を目標とした数々の条項を含んでいる。ピースボートとエクアドルのNGO連合が共催し、この平和憲法国際会議が行われた。

マンタのモンテクリスティにあるシウダー・アルファロ市民会館とエロイ・アルファロ・レイ大学で行われた会議の参加者数は、500人以上にものぼった。元エクアドル大統領であるエロイ・アロファロ氏は、搾取されている人々の基本的人権を守るため努力し、当時は急進的だと見なされた基本的人権の概念を確立させたことから現在も国民的英雄であり続ける。
ピースボートが世界の非武装化を目指すグローバル9条キャンペーンの機運が高まり、今会議の開催に至った。グローバル9条キャンペーンは、紛争を解決する手段として戦争を使わず、武力を持たないことを謳う日本国憲法9条の価値観を反映している。

会議で壇上に上がった人々の怒りの理由は、行方不明の家族、環境破壊、生活苦や性的搾取にもおよぶ。マンタに米軍が10年間基地を置くという契約は、2009年11月に終わりを迎えた。しかし、地元の人々は、その間にコミュニティーにある環境的、経済的、そして社会的なバランスが崩れてしまったと言う。この反基地の運動は、不満を抱いた市民によって始められた。10年近くにおよぶデモ、教育キャンペーン、そして2007年に行われた国際的会議などが積み重なり、昨年新憲法に外国軍基地を禁止する条項が盛り込まれた。しかしながら、エクアドルの環境や社会に基地が与えた影響の全容は、今でも明らかになっていない。11月5日の合同記者会見でエクアドル反基地連盟のヒメナ・グディーニョさんは「連盟は基地の廃止だけでは満足しておらず、エクアドルにある外国軍基地の存在が与える影響について包括的な調査を行う監査委員会を立ち上げるよう求めている」と述べた。
グディーニョさんは、米軍がエクアドルで軍事活動を行っている間に40隻の漁業船が沈められ、また、港の軍事化で漁師は従来の漁業海域への立ち入りが禁じられ、収入の大部分を失ったと指摘する。このプロセスにおいて説明責任は重要で、監査はその第一歩だとも彼女は言った。

キューバ諸国民友好協会(ICAP)のオダリス・ロペスさんは、グアンタナモ湾の米軍基地に関して、キューバ人は違法だとみなしているが、まだその廃止が決定するまで至っていない、と述べた。外国軍基地は、政府が自国の領地における主権を脅かすものだ、とロペスさんは言う。また、グアンタナモで行われている被収容者の拷問は、キューバの法律と理念に違反すると指摘する。

ピースボートの野平晋作は、外国軍基地の存在は、国内で行われる活動に関する政府の把握能力に影響を与えると同意する。野平は、外国軍基地を受け入れることにより、政府の意に反した活動を可能にしてしまうとも述べた。また、日本にある米軍基地についても言及し、ベトナムや朝鮮戦争当時、太平洋に米軍基地がなかったら、戦争が米国にとってさらに困難なものになったのではないかと言う。彼は、日本が平和憲法を持ちながら米軍の日本領地での活動を許すことは、間接的に戦争を支持していると続けた。

国の基本理念として平和を掲げるラテンアメリカの国々が増え続けている中、エクアドルの新憲法の採択により、エクアドルもそこに名を連ねることになる。1949年にコスタリカは常設制度としての軍隊を廃止するという、平和へ向けた決定的な姿勢を見せた。また、近年コスタリカは、軍備を規制し軍事費を削減するという国連憲章第26条に関するイニシアティブを先頭に立って執っている。国際反核法律家協会(IALANA)副会長カルロス・バルガスさんは、軍隊の廃止は恒久平和を確保するために必要不可欠であるが、それには価値感の変化が伴わなければならないと言う。バルガスさんは、軍備による安全保障に力を入れる代わりに人権や環境の保護に力を入れることで、世界の市民が生きていけるという点に力を入れるべきだという。ピースボートの共同代表川崎哲は、今は、軍事力の大きさでのみ安全保障のバランスが取れるという冷戦時代の考え方から離れる時期だと言う。川崎は、平和的な社会を実現するためには、人間性を尊重するアプローチが必要だと話す。彼は、日本の平和憲法が制定されて63年目になっても、9条は危機にさらされていると言う。また、日��椶諒瞳慨霖麓�影�譟∧胴颪粒砲了韻悗琉預検△修靴得鑪呂諒飮�箜��老竫^稟燭任△襪箸盻劼戮拭��

川崎は、エクアドルやコスタリカの様に非軍事的な視点を持っている国々があるのは心強く、平和論者は協力して現存の平和憲法を守り、より多くの国々が非軍事化の理念を導入するよう奨励するべきだと主張する。また、平和的な法律の推進は、持続可能な平和を達成するために極めて重要であり、ラテンアメリカでの進展は励みになると語った。彼はエクアドルでの活動の成功は、世界の市民社会の勝利であり、一般市民の変化を起こす力を浮き彫りにしたと加えた。

2005年、ピースボートは非軍事化を求め、平和の文化を構築するために、日本国際法律家協会(JALISA)
とともにグローバル9条キャンペーンを立ち上げた。国連ミレニアム開発目標の2015年までの達成が、経済危機によりさらに難しくなっているという今だからこそ、平和憲法が特に重要な意味を持つ。極度の飢餓と貧困を撲滅し、全ての人に教育と基本的医療制度を確保し、そして環境的な面で持続可能性を確保するという目的がある中、過剰な軍事費は国々からそのために必要な資源を奪っていることになる。ピースボートにとって、軍縮と世界の人々がよい生活を送れるかどうかは密接に関連していると言える。< br>
$ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海

会議はエクアドルの伝統的なダンスで始まった。

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海-image B
記者会見では、被爆者の西岡弘さん(左から2番目)が広島と長崎の原爆が最初と最後に使われた核兵器になるよう願っていると語った。西岡さんの他にも、(左から順に)モンテクリスティ市長のワシントン・アルテアガ氏、ピースボート共同代表の川崎哲、そして反基地活動家のヒメナ・グディーニョさん

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海-image C
ユース・イン・ムーブメントのベロニカ・マシアスさんは、エクアドルで反外国軍基地の反対運動をしたエクアドル人の一人である。彼女は、市民が常に情報に耳を傾け、国の政策を作るために活動していくことが重要だと語った。

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海-image D
3人の市長が平和市長会議加盟の署名をした。平和市長会議は、核兵器廃絶に賛同する市長が集まった国際的な団体である。(左から右へ)ポルトビエホ市長フンベルト・グイジェン氏、モンテクリスティ市長ワシントン・アルテアガ氏、マンタ市長ハイメ・エストラダ氏

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海-image E
こちらの参加者は、核兵器に反対する気持ちを集めたバナーに手形を足しているところ。このバナーは、2010年に国連で行われる核不拡散条約再検討会議にて展示される予定。

こちらは日本語のクルーズレポートの方です。おりづるを折ってるところとパネルの展示が載っています。

関連記事

  1. ブラジルでのたゆまぬ努力が実って
  2. ギリシャ・ピレウスで平和文化交流
  3. 革命の地で核廃絶を訴える。@キューバ
  4. プロジェクトを支える人たち
  5. 「平和とは」12歳 聞いた 考えた
  6. 本日10月15日(月)、イスラエル帰国報告会を行います「非核特使…
  7. 【記者会見】2月4日@長崎:第8回「証言の航海」参加被爆者とユー…
  8. 日本と似ている国@フィンランド

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

PAGE TOP