1.ヒバクシャ証言の航海

ヒバクシャによる原爆講座:原爆投下の真っ赤なウソ

以下は、第3回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」に参加した、被爆2世の中谷悦子さんによる投稿です。
ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海
同タイトルの船内企画で説明する中谷さん

原爆の投下後、65年が経過した今日でもアメリカやアジアをはじめ、世界には「原爆投下で多くの生命が救われた」「原爆投下で早期終戦を迎えることができた」という考えが根強くあります。「多くの命を救った核兵器」、「原爆の投下で日本の長い侵略から解放された」という評価は、どこかで核兵器保持の正当性の主張を助けることにつながるのではないかと考えています。私はこのクルーズを通して4人の若者たちとともに、日本が明治以降から続けた侵略で多くの被害を受けたアジアの人々との心からの連帯と共感ぬきには核兵器の廃絶は困難ではないかとも考えました。そのためにも真実を明らかにしたい・伝えていきたいと思ったのです。

日本の若者の多くが広島・長崎への原爆投下の日時はかろうじて知っていても、被害の実相や今に至るまで続く放射線の被害、子や孫の世代にまで引き継がれている命への不安については十分伝わっていません。しかし、ピースボートの若者の中には平和について考えたい・平和を実現するために何か行動したいという熱い思いを持った人たちが多くいます。そうした若者の疑問を中心に「原爆投下の真実」にせまり、「核兵器の非人道性について考えていく」ために以下の4つのテーマを設定しました。

①なぜ、広島・長崎に原爆が投下されたの?
②マンハッタン計画ってなに?
③原爆が投下されて50万人~100万人の命が救われたという話は本当?
④原爆投下の目的は?

まず、①原爆の投下の狙いを知るためにアメリカ側資料を見ると、
*「労働者の住宅にぎっしりと囲まれた」目標がふさわしいという資料のとおり、多くの人命を奪うこと、
*爆発効果が最大に発揮できる広さの都市が選定されたこと、その結果を「劇的なものとして国際的に大きくアピールする」ことであったことが明らかになりました。

次に、②マンハッタン計画と、それに関連する当時の様相を探ってみると、
*原爆が極秘のうちに莫大な予算と頭脳を結集し開発されたこと、
*原爆は多くの国でも開発が進められ、
*日本も陸軍・海軍で原爆開発を進めていたことが明らかになりました。

つづいて③について、50万人~100万人の命を救ったというアメリカ政府の主張の出所を探るうちに、疑問を持ち、真実を求めようという意思を強く持たない限り、マスメディアに踊らされ、権力に都合のよい支持者として動員されていくという現代社会にもつながる課題が明らかになりました。また、『50万人~100万人』という数字を検証していく中では、当時の日本は敗戦色濃厚であり、アメリカ軍部の見込みとかけ離れた過大な数字であったこと、原爆投下が戦争終結を早めたという説は誤りであることが浮かび上がってくるのです。

最後に、④の原爆投下の目的を検証していくと、ソ連(当時)を意識しながら原爆開発が進められていった経過や、被爆者をモルモットとして扱ったアメリカの調査団や研究機関のありかたから対ソ戦略説・人体実験説が残りました。

戦争は一人でも多くの人命を奪い破壊しつくすことが求められ、人間の良心を眠らせることにより初めて遂行できるものです。人類の発展に尽くすべき学問でさえ、命を奪うことに動員される戦争の非人道性を改めて考えてみてほしいと思ってやみません。

(第3回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」参加者 中谷悦子)

ピースボート ヒバクシャ地球一周 証言の航海
中谷さん(左から2人目)とおりづるパートナーの皆さん

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