72回クルーズ帰航から約2カ月が経った今、改めて各地の証言会で学んだことの多さを感じます。
ずいぶんと日は経ってしまいましたが、その中でもとってとても印象に残ったギリシャでの証言会の報告をしたいと思います。
それほどまでに印象に残ったのは、証言会をきっかけに友人ができたこと、そしてギリシャの小学生の積極性に感銘を受けたことが理由です。
この日は2回の証言会があり、一度目は船内の一室で、二度目はピレウスの小学校で行われました。
一度目の証言会に来ていたのは、ギリシャで日本語教室を開く鈴木さんとその生徒さんたちです。私もおりづるパートナーの仲間と一緒に証言を聞き、そのあと鈴木さんの提案でみんなでおりづるを折りました。毎年3,000羽のおりづるを広島のサダコ像の下に持参してらっしゃるそうです。
その後昼食を被爆者のみなさんや生徒さんたちと共にし、一緒にパルテノン神殿へ。日本語の話せる生徒さんたちとはすぐに打ち解けることができました。震災から一週間ほど経ったギリシャ寄港です。クルーズ参加者の友人たちが集めていた「日本への応援メッセージ」に、彼女たちも日本語でメッセージを残してくれました。二度目の証言会が行われる小学校への行く途中迷いそうになったときも、彼女たちの助けで小学校にたどりつくことができました。
小学校に着くと、夕方にも関わらずたくさんの子どもたちがいることに驚きました。廊下に展示してある原爆の絵を、じっと見ている子もいます。
証言後の質疑応答でも、積極的な子どもたちの姿を見ました。「原爆が落ちた後の気候の変化は」「落ちたときどんな風に感じましたか」「アメリカに対する気持ちは」と、手を挙げてはきはき質問します。尻込みせずに発言する子どもたちに驚くと同時に、それだけ彼らの心に証言が届いたのだと感じました。
大人の方からの質問も多数あり、震災後の日本を気遣う声や、「日本のヒバクシャはどうして原発に反対の声をあげなかったのか」という声がギリシャでも聞かれました。
証言会をきっかけに知り合った友人とのつながりを大切に、あのときの子どもたちから学んだ積極性を忘れずに、これからも日本や世界でヒバクシャさんの声を伝えていきたいと思います。
(72回クルーズ一般参加者/おりづるパートナー 瀬戸麻由)
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