みなさん、広島市の原爆資料館が、2016年3月末をもって資料館内に展示してある「被爆再現人形」を撤去する方針であることをご存知でしょうか。
この決定に対し、これまでも市民の中から撤去反対を求める声が上がっていましたが、このたび、この被爆人形撤去への反対を訴えるため署名運動を行っている、広島在住の大学生・小盛早季菜(こもり・さきな)さんが、12月21日の中国新聞朝刊にて紹介されました!
「被爆人形撤去 反対訴え 安田女子大・小盛さん署名運動」
中国新聞2013年12月21日朝刊(新山京子記者)
小盛さんが、こういった問題に関心を持つようになったのは、先日帰航した第6回「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」(2013年7月18日~10月10日)に「おりづるパートナー」として関わったことがきっかけだそうです。
「船に乗ったら「おりづるプロジェクト」というのがあるけぇ関わってみたら。私たちは、被爆3世なんじゃけん」
出航直前に、姉の彩香さんから言われて初めて自分が「被爆三世」だと知った早季菜さん。それまでは、原爆に関すること等そんなに興味があったわけではないけれど、お姉さんのその一言に後押しされるかたちで、おりづるプロジェクトに関わるようになったそうです。ちなみに姉の彩香さんは、1年前に参加者として乗船した第77回ピースボート地球一周の船旅で、「おりづるパートナー」のリーダーとして原爆をテーマとした劇の演出に携わってくれていました。
実際にヒバクシャの皆さんの想いや被爆経験を聞くうちに、徐々に自分にも何か出来ないか、という思いにいたった早季菜さん。帰国後に、資料館から被爆人形が撤去されるかもしれないという話を聞き、思わず、先に反対の署名運動を行っていた勝部さんにFacebookを通じてメッセージを送ったそうです。(勝部さんの活動などの詳細は、下記関連記事などをご参照ください)
広島で行った帰国報告会のあとの打ち上げの様子
手前が小盛さん。参加被爆者の皆さんと一緒に
(2013年10月29日)
「人形を見て原爆の被害はこんなもんじゃない!と怒る被爆者の皆さんの気持ちも理解できる。当時の服や食器等の遺品を展示することも重要。でも、私たち戦争を経験していない若い世代が当時のことを想像するためには、被爆人形はとっても大切なツールだと思う」(12月22日、電話インタビューより)
そんな想いを胸に、自身の友達や知り合いから少しずつ署名を集めている中で、周りとの温度差にくじけそうになることもしばしば。そもそも周りの同世代の人たちは「署名活動」という言葉自体に馴染みがないため、まずは「こんな話があるんだけど、どう思う?」と相手の意見を聞いてみて、それから「こういう署名を集めてるんだけど、良かったら賛同してくれないかな?」と呼びかけるそうです。
「自分の力の小ささに落ち込むこともあるけれど、船で出会った被爆者の皆さんの想いを無駄にしないためにも頑張りたい。ひとりぼっちで活動するのは正直しんどいから、まずは仲間を集めるところから頑張らないと!」と明るく話してくれた早季菜さん。これからも、少しずつ輪を広げていくために取り組んでいきたい、とのことです。
年の最後に、おりづるプロジェクトの活動が実った一つのカタチ。これからも、少しずつ仲間を増やしながら、互いに励ましながら、コツコツがんばっていきましょう。
※おりづるパートナーとは、ピースボート船内および日本国内で、おりづるプロジェクトを支え、共に活動を盛り上げてくれる人たちのことです。
◇◆被爆人形撤去反対への署名◆◇
賛同署名を集めるウェブページでは、賛同目標10,000人のところ、現段階で9,773人の賛同署名が集まっています(2013年12月22日15時50分現在)。
・署名はこちらから
・Facebookページはこちらから
◇◆広島平和記念資料館展示整備等基本計画◆◇
この「被爆人形の撤去」に関する決定は、2010年に広島市が「広島平和記念資料館展示整備等基本計画」を策定する中で行われたもので「凄惨な被爆の惨状を伝える資料については基本的にありのままで見ていただくべきという方針の下、この度被爆再現人形を撤去することとした」(広島市のHPより)とのことです。広島平和記念資料館展示整備等基本計画(広島市HPより)はこちらから
◇◆関連記事◆◇
・記者の目:被爆再現人形=吉村周平(広島支局)(毎日新聞、2013年8月7日)
・被爆者再現人形、撤去を巡り議論 広島平和記念資料館(朝日新聞デジタル、2013年8月10日)
(ピースボート 古賀早織)
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