長崎の町や人が大好き!という、第8回ユース・鈴木慧南さん。何度も長崎に訪れるからこそ感じることもあるよう。そんな彼女が考える“平和へと繋がる1歩”とは??
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おりづるユース特使、鈴木慧南(すずき けいな)です。
長崎のオリエンテーションでも訪れた長崎原爆資料館、そして岡まさはる記念長崎平和資料館について感じたことをお伝えしたいと思います。
長崎市平和公園
長崎は小さな町です。
そのため、多くの被爆遺構を徒歩で巡ることができます。
特に来場者の多いのは、長崎原爆資料館でしょう。ここにくれば、長崎が戦争をどのように経験したのかについて大枠を知ることができます。
年間の来場者数は約3万人で、日々平和への想いを訴えています。
私もここには何度も訪れたことがあります。
何度も何度も訪れるのですが、訪れるたびに見ている時間が長くなります。
何度見直しても足りないくらい、それだけ私のような戦争未体験者にとっては強烈なインパクトを残すのです。
時計の針が指しているのは、11時02分。
長崎市原爆資料館に展示されている被爆時計
しかし、ここではとりわけ「被害」についてしか学ぶことができません。
現在の歴史教育は、教科書の丸暗記が主流になっていると感じます。そのため、原爆のことも歴史の一部としてしか書かれていないのですが、ここを訪れると、「どれだけ悲惨だったのか」や「日本は被害国だ」という印象を強く持ちます。
確かに、被害を受けたのは事実ですが、戦争はそれだけではなかったはずです。日本が他国にした過ちもあったことでしょう。
長崎駅から歩いて5分。
岡まさはる記念長崎平和資料館をご存じですか?
それを知るために、是非岡まさはる記念長崎平和資料館に訪れて欲しいのです。
そこに行けば、原爆投下の背景である戦争に日本がどのように加わっていき、隣国の侵略時にどれだけ悲惨なことしていたのかが分かります。
それを知った人はきっと焦ることでしょう。
「日本は原爆を落とされただけの国ではなかったのか」と思うのではないでしょうか。
しかし、ここの来場者数は年間約3000人と、原爆資料館に比べてとても少ない来場者数です。
戦争を知るうえで、原爆を知るうえで、その背景を知ることは極めて重要なことであり、被害と加害を理解してこそ、歴史を理解したことになるではないでしょうか。
私は、この来場者数のギャップを埋めることが平和へと繋がる1歩だと考えています。
できれば、両者が協力してどちらの資料館にも訪れてもらえるように工夫などをしていくべきだと思っています。
都合のいいことばかりに目を向けていては本質の歴史は理解できません。
被爆地・長崎だからこそ、その本質を見極める目を養えるような資料館づくりを行って欲しいと思っています。
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第8回メンバーで岡まさはる平和記念資料館を訪れた際、被爆者の皆さんからも「自分が知らないこともあり衝撃を受けた」「こんな視点も若者が知れるように知らせたい!」という声もありました。
ご自身が被爆者であっても、戦争の時代を生きていても、日本人の加害の歴史について考えるのは難しいことなのかもしれません。
地球一周では、様々な立場の人に出会います。
加害、被害、世界中のヒバクシャ、今まさに起こっている原発や戦争にまつわる問題…
そしてもちろん、ひとりひとりが違った体験・思いを持っています。
出航まであと1ヵ月半、より広い視野で学びを深めたいと感じさせられる鈴木さんの思いでした!
(ピースボート 中田智子)
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