フリーマントルを出航して、アデレードに向かう1月14日、「ICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)とピースボートの歩み」というイベントを企画しました。
最初にピースボートスタッフの渡辺里香から、ピースボートは「おりづるプロジェクト(ヒバクシャ地球一周 証言の航海)」で、170名以上の被爆者と一緒に地球を一周しながら被爆証言と実相を伝えてきたことを話しました。現在、平均年齢が82歳になった被爆者が、勇気と力を振り絞って世界に訴えかけるのを手助けしています。その中では、各国の学生からNGOスタッフ、国会議員や大統領に直接会う機会を持ったり、韓国人の被爆者と日本人の被爆者が話し合ったり、タヒチで行われたフランスの核実験による被爆者と日本の被爆者が交流をしたりする場を作ってきました。
2017年にノーベル平和賞を受賞したICANとの繋がりとしては、「実際に経験した人の証言を届けて、そこから現在の世界にある核兵器を考え、廃絶しようというアクションにつなげる」という部分をピースボートが担当していることを説明しました。
その後、日本では平和のシンボル、特に核兵器廃絶へのシンボルとして折り鶴が有名ですが、オーストラリアにも広く知られ使われるロゴがあるということで、デイブ・スウィニーさん(ICAN創設メンバー)のパートナーであるキャサリンさんを紹介しました。オーストラリアの先住民の国旗にも使われている黄、赤、黒を用いて1996年に作られた、掌の形と核のマークを合わせたものです。核禁止を訴えける意味を持っていて、アーティストのキャサリンさんがデザインしました。
次に、デイブさんの息子であるマンゴー君は、13歳で「核を無くして環境を守りたい」という90秒のスピーチコンテストで受賞しました。この企画でもそのスピーチを上映し、若い世代の思いを伝えてくれました。
最後に、デイブ・スウィーニーさんをステージに招いてオーストラリアの抱える核関連の課題について聞きました。核のサイクルはウラン鉱山から始まり、核実験を行い、核廃棄物の処理まで繋がっています。デイブさんの話によるとオーストラリアで世界の1/3の核廃棄物を処置することを決め、その対象地はアボリジニーの土地になりました。先住民達はそれに立ち向かい、反対運動を続けた結果、2019年の12月、政府は彼らの土地で廃棄物を処置しないと決めました。
ICANは世界各地で核なき世界を求めて運動を広めています。ピースボートはそのパートナーとして活動を行なっています。締約国にいかなる場合も、核兵器の開発、実験、生産、製造、取得、保有、貯蔵を禁じる核兵器禁止条約を世界に広めた功績を認められ、ICANは2017年ノーベル平和賞を受賞することができました。この感動的な道のりを、最後に節子サーローさんのスピーチで伝えながら、講演を終わり、聞いていた人たちもそれぞれの出来る役割について考えました。
是非、この映像もご覧下さい。
英語の記事はこちら:
■All Aboard: Peace Boat hosts ICAN Workshops across Australia
https://peaceboat.org/english/news/all-aboard-ican-australia
■Stories of the Black Mist: First Nation anti-nuclear activists share testimonies on Peace Boat
https://peaceboat.org/english/news/stories-of-the-black-mist
■All Aboard Peace Boat’s Australian Tour
文・写真:ピースボート 鄭銀貞(シルビー)
編集:ピースボート 渡辺里香