3.核廃絶へのいろいろな動き

「明子さんのピアノ」は今 ~継承を広げるHOPEプロジェクト~

ちょうど1年前の8月6日、私たちは広島に寄港し、1945年に広島で被爆した河本明子さん(当時19歳)が愛したピアノを載せて、日本一周クルーズに出発しました。たくさんの支援をいただき、明子さんのストーリーとこのピアノの音色を、2,000人以上の届けたプロジェクトでした。
https://peaceboat.org/29929.html

広島レストハウス、カフェの一角に設置された「明子さんのピアノ」

1年後のこの夏、その「明子さんのピアノ」をとりまく状況は、大きく変わっていました。75年を迎えるにふさわしく、より多くの人々にその物語が広がっています。今回、「明子さんのピアノ」の持ち主である二口とみゑさん(HOPEプロジェクト代表)、HOPEプロジェクトの廣谷明人さんにお会いし、話しを聞くことができました。

二口さん、廣谷さんと一緒に

レストハウスでの展示がはじまる

「明子さんのピアノ」が修復されたのは2005年。調律師の坂井原浩さんが、明子さんが被爆した時の様子を理解し、心のこもった修復作業を行いました。それから15年、ピアノは坂井原さんの工房で保管されていました。
二口さんは昨夏船旅中から、ピアノの「終の棲家」を探している、とおっしゃっていました。そこで、多くの人が訪れ、平和の音がいつでも聞こえるように、と選ばれたのが、当時改修中の被爆建造物「レストハウス」でした。レストハウスは、ちょうど原爆ドームと広島平和記念資料館の間にあり、原爆の子の像の道を挟んで向かいにあります。爆心地から170m、被爆当時は「大正屋呉服店」として37人が働いていましたが、偶然地下にいたひとりを除いて全員が亡くなられました。その後、広島市管轄として整備され、1982年からレストハウスとなり、公園の憩いの場となりました。今回改修工事が施され、リニューアルした建物の2階に明子さんのピアノが設置されたというわけです。

レストハウスの外観

子どもたちに明子さんの被爆とピアノの物語を語る二口さん

岩波ブックレット「明子のピアノ 被爆をこえて奏で継ぐ」出版

ベルリン在住、フリーで執筆をつづける中村真人さんが、明子さんのピアノを実際に訪れ、二口さんが所蔵している多くの日記や写真、HOPEプロジェクトの方々の活動を取材。幼少期から戦争時代への移り変わり、家族との関係、修復の様子、世界的な音楽家を含む明子さんのピアノにつき動かされる周りの人々の活動について、細やかに書かれています。
「明子のピアノ 被爆をこえて奏で継ぐ」 https://www.iwanami.co.jp/book/b515737.html

ブックレット表紙

ピアノ協奏曲「Akiko’s Piano」藤倉大さんが作曲
広島交響楽団、萩原麻未さんが世界初演

8月5、6日、広島文化学園HBGホールにて、広島交響楽団による「平和の夕べ」コンサート~Music for Peaceが行われました。そこで、世界初演となるピアノ協奏曲第4番「Akiko’s Piano」が演奏されました。私は6日のコンサートに伺うことができました。
昨年ピースボート船上でも演奏いただいた萩原麻未さんがソリストとして出演し、前半はグランドピアノで、最後の独奏部分(カデンツァ)を明子さんのピアノで演奏するという構成でした。ステージにはグランドピアノから約10メートル離れたところに明子さんのピアノが置かれていました、ピアノからピアノへ移動する萩原麻未さんは、75年を溯って明子さんに会いに行っているように感じました。協奏曲は、優しいピアノの音色が生かされた、美しい旋律でした。
最後にはロンドンに暮らす藤倉大さんがライブでスクリーンに映し出され、会場と一体となって喜びを分かち合いました。会場から拍手を向けられた麻未さんの、「明子さんのピアノへ拍手を」というしぐさには、心打つものがありました。

コンサートの案内

この1年で大きく広がった「明子さんのピアノ」。

「すべて、明子さんのおいたカードのとおりに進んでいるのよ」と話す二口さんですが、子どもたちや訪れる方々への気持ちのこもった説明がなければ、これほど多くの人が動くことはなかったと思います。
広島のレストハウスに行けばいつでも明子さんに会える。命の尊さを教えてくれる。そういう状態してくれたHOPEプロジェクトのみなさんに感謝の気持ちでいっぱいです。

【お知らせ】

8月15日(土)18:00~19:29
NHKBSで、ドキュメンタリー・ドラマ「Akiko’s Piano 被爆したピアノが奏でる和音(おと)」が放送されます。ぜひご覧ください。
https://www.nhk.jp/p/ts/GZX8ZP936Y/

ピースボート 松村真澄

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