3.核廃絶へのいろいろな動き

川崎哲の「谷本清平和賞」受賞が発表されました

本日10月15日(金)、おりづるプロジェクトのディレクターであり、ピースボート共同代表、また核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)国際運営委員の川崎哲が、第33回「谷本清平和賞」の受賞者に選ばれたことが発表されました。

広島で被爆した牧師の谷本清さんは、その直後から被爆者の救援と平和運動に尽力した方です。「谷本清平和賞」は、谷本さんが亡くなった翌年の1987年に公益財団法人ヒロシマ・ピース・センターによって創設されたものです。谷本牧師の意思は、当時10か月だった娘の紘子さんにより、今でも多くの人に語り継がれています。

アメリカに出発する谷本清牧師を広島駅で見送る家族。(写真提供:近藤紘子 写真中央)

第33回「谷本清平和賞」の受賞理由

今回、川崎哲が選ばれた理由としては、ピースボートの「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」(おりづるプロジェクト)の活動を通じて数多くの被爆者の方々や若者たちによる世界各地での被爆証言会を実現させてきた実績や、ICANの中心メンバーとして国内外で行動を続けてきたこと、そして国連での核兵器禁止条約の採択後は、各国政府に同条約に加わるよう粘り強く求めるキャンペーンを展開してきたことなどが挙げられています。

11月14日(日)には、広島市内の広島工業大学にて授賞式が予定されています。

各国政府に粘り強く交渉し、核兵器禁止条約の採択まで導いたICANの主要メンバー(前列、右から2人目が川崎)

受賞に際し、川崎哲のコメント

受賞が決まった、川崎哲

被爆者の救援に身を投じ尽力してこられた谷本清牧師のお名前を冠する賞をいただくのは、大変おそれ多いことです。戦争の恐ろしさを戦争を体験していない人間が伝えていかなければならない時代にいよいよ入ったと感じます。

私はピースボートの船旅を通じて、広島・長崎の被爆者の方々の証言を世界に伝える活動をしてきました。それは常に、多くの人々の共同作業でした。被爆者ご本人、迎え入れる世界各地の人々、その間をつなぐ若者、通訳、メディア。訪ねたその国々の戦争被害者や核の被害者たちともつながってきました。そうした人々の輪を大切にし、さらに広げていきたいと思います。

被爆者に出会い心を動かされた人々が行動したことで、核兵器禁止条約が採択され発効しました。核兵器なんて絶対にダメだと被爆者ご自身が語ってくださる時間はあと僅かです。それでもこの条約は生き続け、将来にわたり国々をしばり続けます。日本をはじめとする全ての国がこの条約に入るよう、ICAN の仲間たちと活動をさらに強めてまいります。

2021年10月15日 川崎 哲

受賞を経て、これから

今回の川崎の受賞を機に、ピースボート「ヒバクシャ地球一周 証言の航海」(おりづるプロジェクト)は一人でも多くの被爆者が、一人でも多くの世界の人に被爆の実相を語る機会を作り続けて行きたいとの思いを強めています。

被爆者の声を、世界に伝え続けています

ICANに連なる世界100か国以上の団体・個人は、広島・長崎を知っていても直接訪問したことがある人ばかりではありません。日本語がわかる人ばかりでもありません。しかし、どこかのタイミングで被爆者に出会い、話を聞いたことに強く心を動かされ、出身国に関わらずそれぞれの方法で動き出したのです。その力が集結して核兵器禁止条約の誕生に大きく関与しました。

私たちおりづるプロジェクトは、これからも彼らと協力して、核兵器の人類に及ぼす被害、被爆者の経験と思いを伝え続けて参ります。川崎の受賞コメントにもあるように「核兵器なんて絶対にダメだ」と被爆者ご自身が語ってくださる時間はあと僅かです。そこで、被爆者のみなさんと協力して「おりづるプロジェクト・オンライン」(後援:日本原水爆被害者団体協議会(被団協)/平和首長会議)として、オンラインを中心にした被爆証言会を実施しています。

おりづるプロジェクト・オンライン

2020年10月に同プロジェクトを開始して以来、46か国の団体や個人に受け入れてもらい、46回のオンライン証言会を行ってきました。のべ3000人以上の人が力強い被爆者の声と言葉に触れました。NHKや共同通信、Japan Timesなどにも掲載されました。

谷本牧師の娘、近藤紘子さん(オンライン証言会に参加してくださっています)

おりづるプロジェクト・オンラインの様子

 

オンラインで証言をする被爆者からは「世界の人たちの顔を見ながら原爆の被害の悲惨さや平和の大切さを訴えられたことに手応えを感じた」という声が多く寄せられています。また、オンラインとはいえ直接被爆者の声を聞いたレバノン出身の大学生などは、「被爆者の証言を聞き、本当に起きた出来事なのだと実感することができた。軍縮の大切さを伝える自分たちの活動に勇気をもらった」と話していました。そして、その後いくつものオンライン証言会を企画してくれています。

7月7日に行われた中間報告会の様子はyoutubeで:

このオンライン証言会での核兵器をもう終わらせようという被爆者の声と、それを支持する世界の市民の声を、2022年3月にオーストリアのウィーンで開かれる核兵器禁止条約・第一回締約国会議に届けたいと思います。

ご協力とご支援のお願い

このプロジェクトを実施し目標を達成するためには、多くの皆さんの力を合わせる必要があります。
また、企画、折衝、実施、通信などに多大な費用が必要です。皆さまからの支援金をお願いします。
◆支援金の送り先
<郵便振替>
郵便振替口座 00180-3-177458
加入者名 ピースボート
(通信欄に「ヒバクシャ」とお書きください)

<ゆうちょ口座への振り込み>
ゆうちょ銀行 〇一九(ゼロイチキュウ)店
当座 0177458
口座名義 ピースボート
(振込依頼人名の前に「ヒバクシャ」と入力してください)

<クレジットカード>
クレジットカードでの支援金も承ります。クレジットカードでの支援金は米ドル単位になっておりますのでご注意ください。コメント欄に「ヒバクシャ」とご記入ください。https://peaceboat.org/english/donation?lang=jp

<メディア掲載>
2021年10月15日
NHK(広島)
谷本清平和賞 ことしはNGO共同代表の川崎哲さん
https://www3.nhk.or.jp/hiroshima-news/20211015/4000014702.html
RCC中国放送
「谷本清平和賞」にICAN・ピースボートの川崎哲さん
https://news.rcc.jp/archive.php?i=11354
広島ホームテレビ
第33回「谷本清平和賞」 ICANの川崎哲さんが受賞
https://www.home-tv.co.jp/news/content/?news_id=20211015123428
共同通信
広島の平和賞に川崎哲氏 核兵器廃絶運動に貢献
https://nordot.app/821683927450566656?c=39546741839462401
2021年10月16日
毎日新聞
谷本清平和賞に川崎哲さん おりづるプロジェクトやICANで活動
https://mainichi.jp/articles/20211016/k00/00m/040/098000c 
朝日新聞
川崎哲さんに谷本清平和賞 「核兵器禁止条約、全ての国加入を」
https://www.asahi.com/articles/ASPBH6RPYPBHPITB005.html 
中国新聞
川崎さんに谷本清平和賞 ピースボート共同代表 核廃絶へ活動
https://www.hiroshimapeacemedia.jp/?p=110928
2021年10月24日
テレビ新広島
平和活動に貢献「谷本清平和賞」にICAN・川崎哲さん
https://www.fnn.jp/articles/-/258500?fbclid=IwAR0QAmFwS6zU1593K3OSCCTu8PUMPmfK9J1CDZaRwwv1x4dIvleWoU2qkZg

 

文:渡辺里香

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