8月7日、広島市平和記念公園レストハウス2階ピアノカフェにて、「奏で 語り継ぐヒロシマ 明子さんのピアノとパルチコフさんのヴァイオリン 朗読コンサート」を行いました。「明子さんのピアノ」を管理する一般社団法人 HOPEプロジェクトさんとの共催で、広島市立牛田中学校放送部の4人が朗読、エリザベト音楽大学生3人が演奏を聞かせてくれました。約50名にご参加いただき、楽器の持ち主ふたりの物語と、被爆を生き抜いた2つの楽器の演奏で、心に残る1時間を共有することができました。ご来場いただいたみなさん、ありがとうございました。
朗読された物語は、昨年8月に出版された「明子さんのピアノとパルチコフさんのヴァイオリン」(ガリバープロダクツ、 2023年)をもとに、同共著者でHOPEプロジェクトの廣谷明人さん(元牛田中学校英語教師)がまとめたものでした。それを朗読してくれた牛田中学校放送部は、今夏のNHK杯全国放送コンテストで優秀賞を受賞するという洗練チーム。また、美しい歌声を披露した音大生の村田菜さんは牛田中卒業生。まさに、「奏で 語り継ぐ」という言葉がぴったりの企画となりました。
朗読では、日記に残された明子さんの日常、家族とのやりとり、ピアノレッスンに明るく通う様子が語られ、夢ふくらませた少女時代を思わせる軽快な音楽がそれに続きます。明子さんが友人と歌ったという「早春賦」には、会場のみなさんも自身の幼少期を思い出しているようでした。パルチコフさんの場面は、ロシア人教師らしい厳しい口調の中にクラシック音楽へのひたむきさが伝わり、劇的なヴァイオリンの演奏が響き渡ります。物語は進み、戦争の影が押し寄せ、8月6日、2人にも悲劇が襲い掛かります。そして残された楽器は、しばらくの沈黙を経て、修復され、演奏されるようになります。終盤では、言葉と歌で、現代に生きるみなさんに向けた平和へのメッセージが届けられます。
HOPEプロジェクト代表の二口とみゑさんは、当日配布プログラムに、「今宵のイベントでは、『自分と同じ年代の人たちに頑張ってもらって』という明子さんの声が聞こえるよう。ピアノの調べを通して、皆さんの平和への祈りが世界中にとどきますように」と寄せました。牛田中学校のみなさんは何度も練習を重ね、エリザベト音大生は直前まで選曲に頭を悩ませてくれたようです。会場を包み込んだ創造的で美しい演者のエネルギーは、その成果だったと思います。演者のみなさん、共催くださったHOPEプロジェクトのみなさん、また会場にてサポートいただいたレストハウスのみなさんに、心より感謝いたします。
文:松村真澄
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牛田中学校放送部顧問の熊谷貞夫先生が、このコンサートを撮影、編集してくださいました。(ありがとうございました!)みなさん、どうぞご覧ください。
奏で 語り継ぐヒロシマ 明子さんのピアノとパルチコフさんのヴァイオリン 朗読コンサート:
なお、演奏してくれたエリザベト音大のみなさんは9月14、15日、「音楽と絵画で紡ぐAkiko’s Sound~被爆ピアノが奏でる19歳の軌跡~音楽付き朗読作品『二十歳になったら』を企画しています。お近くの方は、ぜひご注目ください。