2024年9月22日、Let’s Learn! (オンラインで学びたい人が繋がって自分たちの知識や文化、歴史を共有しながら学び合うネットワーク)でひと枠担当させて頂きました。これは、以前にオンライン証言会を一緒に企画したノースキャロライナ大学グリーンズボロ―校が共催するオンラインの学びの場です。生涯学習のような場で、様々な年代や経験の方が集っており、アメリカだけでなくレバノンからも参加者がいました。
堀江壮さんの被爆証言、原発、病気について
今回は、広島在住の堀江壮さんからお話を聞きました。冒頭に堀江さんは参加者に対して「なぜ私たちは戦争・紛争を止めねばならないのでしょうか?」という問いかけをしてから始めました。広島の街に原爆が落とされた時の状況、遺体を小学校の校庭で焼いていたこと、ご自身その小学校に後に通うことになったこと、家族の被爆とその後の病気のこと、被爆者はモルモットのように検査されるだけで治療はされなかったこと、お母さんが被爆してから亡くなるまでに820枚の写経を書いて平和を願ったこと、ご自身の体に癌が広がり余命数か月だと宣告されたこと、核戦争直前にまでなった事例、原発の事故やその影響、核実験による米国民への放射能の影響など多岐に渡る話に、40名の参加者は真剣に耳を傾けました。
止まらない質問と感想
一通り堀江さんがスライドを使って話終わると、話を聞いた感想や質問が止まりません。その一つ一つに堀江さんは丁寧に答えました。
冒頭の堀江さんの質問「なぜ私たちは戦争・紛争を止めねばならないのでしょうか?」についても、意見が出ました。
-戦う・戦争する理由や相手との違うところ、変えるべきところにばかり注目して、異文化や信条の違いを理由に戦争や紛争が続いている。終わりのない戦いに思える。しかも、戦争することで根本的な問題の解決をするよりも、もっと問題を増やしている。
その他にも、
-原発と原爆の材料は根本的には同じ。だから、核兵器だけなくして原発を維持する方法を見いだせない。
-福島、チョルノービリ、スリーマイル島の原発事故を見ていても、原発による利益と、原発を維持したり事故が起こった時の修復にかかるお金は釣り合っていない(利益よりも維持と事故修復費用の方が大きい)
-1960年代にアメリカ空軍に従事していた参加者は、ロシアからの核兵器攻撃があればすぐに反応できるように監視していた。その基地の存在すら一般市民は知らない。放射性物質を放置していることもある。
-大学で紛争解決を教えているという教授からは、白人アメリカ男性が原爆を日本人の上に落としたという事実をイデオロギーとしてどのように見るか?
-多くの資金や人的リソースが核兵器の研究・開発に費やされていること、風下住民として今も核実験の影響で苦しんでいる人がいること、核兵器国の人々を含めて誰でも影響を受けること、核抑止量は軍拡に繋がる危険性があること、を思い出したい。
というような大変広くて深い意見や質問がでました。
堀江さんの答えの中で、
-原発は存在するだけで危険
-アメリカに住む方々とも、率直にこのような話ができることに感銘を受ける
-原爆がドイツではなく日本の市民の上に落とされたこと、第二次世界大戦中の日系人の強制収容所があったことを考えると、人種差別的な背景も否定できない
このようなことが大変印象的でした。
あっという間の1時間半でしたが、最後にはチャットに出会えた喜びと感謝を伝えるメッセージが止まりませんでした。
文:渡辺里香