北欧ノルウェーの港町ベルゲンに、ピースボートの船が夜遅く入港しました。
本格的な活動は翌朝からスタート。さわやかな空気の中で、平和をテーマにした一日が始まりました。
朝一番には、地元の議員が船を訪問し、被爆者との朝食会が開かれました。被爆者の証言がまとめられたショートムービーの上映や今回のクルーズに乗船している倉守さんの証言に、議員たちは真剣な面持ちで耳を傾けていました。
歓談の時間には「日本の長崎はどんな場所ですか?」と議員が問いかけ、倉守さんは「ノルウェーと同じで、自然がたくさんある港町です」と答えました。国も文化も違うけれど、自然に囲まれた穏やかな町としての共通点に、場が和んだひとときでした。

朝食会の様子
その後、地元高校の生徒約40人が来船し、船内に設けられている「洋上ノーベル平和センター」の展示を見学。続いて被爆者からの被爆証言を聞き平和について考える対話型ワークショップをおこないました。生徒たちは展示や証言を見聞きした感想を交えながら、平和について自分なりの視点を持って意見を交わしていました。
「今の世界でのあなたにとっての脅威はなんですか?」という先生からの問いかけに、一人の生徒が「地球温暖化による環境破壊です」と答えたのが印象的でした。核兵器というテーマから始まった対話が、気候変動という現代的な脅威へと自然につながっていく様子に、若い世代の視野の広さと柔軟さを感じさせられました。

訪問してくれた学生と記念撮影
お昼休憩をはさみ、午後は港の近くの会場で被爆証言会が行われました。このイベントには、ベルゲンで乗船するICAN事務局のメンバーや現地の活動家、そして船内の参加者も自由に参加できるオープンな場として開催されました。
ここで証言を行ったのは、伊藤正雄さん。10年前にベルゲンを訪れた際に出会った友人との再会の喜びも込めて、自身の被爆体験を語りました。その声は、個人の記憶が時を超えて再びこの地で交わるという、深い感動を呼び起こすものでした。

証言中の伊藤正雄さん
証言のあとは、パルチコフさんによる「被爆バイオリン」の演奏がありました。このバイオリンは過去と現在を結ぶ力が宿っているように感じられ、その奏でる音色は、聞く人々が当時を思い平和について考えるイメージへの手助けをしてくれるようで、会場は静かに耳を澄ませていました。
さらに後半では、核兵器をめぐる現代の課題についてのパネルトークが行われました。登壇したのは:
ノーベル平和センター事務局長 シェルスティ・フログスタッドさん
ノルウェー核兵器廃絶医師会 サイマ・ナズ・アクタルさん
ピースボート共同代表 川崎哲
ヴェストラン労働党代表 ベンヤミン・ヤコブセンさん
それぞれの立場から、国際社会の緊張や核兵器のリスク、そして平和への取り組みについて語り合う内容は、会場にいたすべての人にとって、学びの多い時間となりました。

パネルトーク
イベントの締めくくりとして、ピースボート共同代表の吉岡達也が挨拶を行いました。
今回のノーベル平和センターの洋上特別展示が船内に設けられた経緯、そしてこの日、ベルゲンで多くの方々と平和への想いを共有できたことへの感謝を述べ、会場は温かい拍手に包まれました。
このベルゲンでの一連のプログラムは、ICANノルウェーのメンバーの皆さんの尽力により実現しました。朝の食卓から始まった小さな対話が、若い世代への証言へとつながり、さらに社会全体の課題へと広がっていったこの一日。
それはまさに、「平和をつなぐ」という私たちの活動の本質そのものだったと感じています。
(文:橋本舞)








