2025年_ヒバクシャ地球一周(Voyage120)

アウシュヴィッツの経験を、今の世界にどういかすのか

水先案内人とのコラボ企画。
2025年6月13日、船内にて「アウシュヴィッツの経験を、今の世界にどういかすのか」というテーマでパネルトークを開催しました。
司会進行はピースボート共同代表の川崎哲が務め、パネリストとして、アウシュヴィッツ=ビルケナウ博物館で唯一の日本人公式ガイドである中谷剛さん、ピースボートスタッフの金元明、そして私、高尾桃子が登壇しました。それぞれの立場から、記憶をいかに未来につなげていくかについて語り合いました。

企画時の会場の様子

 

中谷さんは、アウシュヴィッツでの日々の案内活動を通じて感じている「今だからこそ伝えなければならない」という使命感について話されました。現在のドイツではホロコーストが教育の柱として据えられ、過去の歴史に向き合い、そこから私たちは何を学ぶことが出来るのかという点に重きを置いています。日本でも近年「歴史総合」などの新たな学びが始まり、少しずつ変化が生まれているとしつつ、歴史の認識を社会で共有する必要性を強調されました。

ガイドとしての使命感を話す中谷さん(写真右)

 

ピースボートスタッフの金元明は、自身が在日コリアンとして生きてきた経験から、今なお続くネット上でのヘイトスピーチや人種差別的な書き込みについて深刻な問題として触れ、今日でも在日コリアンへの偏見があること、そして正しい知識や歴史認識を知らないが故にこのようなことが起きるのではないかと語りました。
また、人間は戦時下といったような状況では生き残るために加害にも加担してしまう可能性があると警鐘を鳴らしました。そのうえで、「だからこそ、そういう状況を作らないことが大切。私たちは皆大切な人との繋がりの中に生きているということに目を向けることが平和の第一歩」と訴えました。

自身の経験を話す金元明さん

 

私(高尾)は広島の平和公園でガイドをしていますが、多くの修学旅行生が「韓国人原爆犠牲者慰霊碑が最も印象に残った」と話します。原爆の被害は日本人だけでなく、かつて日本が侵略していた国や地域の出身者を含む多くの人々が巻き込まれていた事実が、十分に共有されていない現状を感じます。ドイツが加害の歴史に真摯に向き合い、「忘れない」ための教育を実践しているように、多面的な視点で歴史を学ぶ重要性を実感しています。

発言中の筆者(高尾桃子)

 

アウシュヴィッツのような戦争の悲劇は突然始まるものではなく、日常の中にある小さな差別や無関心、暴力的な言葉の積み重ねが社会をむしばんでいくのだと思います。だからこそ、平和とは制度だけで成り立つものではなく、人と人との関係の中で育まれる「文化」であるべきです。今回の対話は、過去から学び、平和を日常の中でどう築いていくかを考える貴重な時間となりました。

(文:高尾桃子)

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