2008年_第1回ヒバクシャ地球一周(第63回ピースボート)

ウラン産出国オーストラリアと核拡散問題

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-3

(オーストラリア緑の党所属のスコット・ラドラム上院議員)

ニュージーランド・オークランドからオーストラリア・シドニーまで水先案内人として乗船したオーストラリアのスコット・ラドラム上院議員。地球環境の保護を訴える「緑の党」に所属するスコットさんは先住民族アボリジニが代々暮らす土地から採掘されるウランが、原発の燃料として日本や核兵器保有国を含む世界各国に輸出され、結果として核拡散につながっていることを懸念し、反対活動を続けている。
3日間という短い乗船にもかかわらず、船内ではオーストラリアのウラン鉱山についての講座や核問題に関するパネル討論に出席し、鉱山から採掘されたウランが世界に散らばっていく過程、核燃料サイクルの危険性、そして採掘による労働者ヒバクなどの実態を我々に伝えた。

12月29日、オーストラリア・シドニーに入港。

この日は、スコットさんが所属する緑の党や環境や平和NGOの尽力で、午前中の記者会見にはじまり、午後のパブリックミーティング、そして夜の船内レセプションというプログラムが組まれた。
まずは、モナリザ号が着いた埠頭のターミナルでの記者会見。ヒバクシャを代表してシドニー在住の森本順子さんが13歳での自身のヒバク体験を語り、今クルーズの水先案内人を務める国連軍縮アドバイザーのキャスリン・サリバンさん、スコットさんの挨拶と続き、スコットさんとともにウラン鉱山の反対活動を行っているアボリジニのジリアン・マーシュさんがウラン鉱山による環境破壊について語った。
そして今回の「ヒバクシャ地球一周 証言の旅」に参加するヒバクシャ一同が、オーストラリア・ラッド首相へ宛てた核廃絶を呼び掛ける手紙を、草案起草した池田隆さんが読み上げ、列席したオーストラリア外務省の職員に手渡した。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-1

 

‘(記者会見を行う森本さん(左から3人目)ら)

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-2

(オーストラリア外務省職員に手紙を託す池田さん)

午後からは、交流会場のシドニー市街にあるモリ・ギャラリーへ向かった。パブリックミーティングは、スコットさんの司会の下、15歳でヒバクした中西巌さんによる証言にはじまり、ジリアンさんが先住民族アボリジニから見たウラン採掘場での環境汚染や鉱山労働者によるヒバクの実態を詳しく解説、それに対する政府や鉱山会社の対応を厳しく批判した。そして同行したキャスリンさんから、ヒロシマ・ナガサキのヒバクシャの話は、ウラン採掘が元となっている核の脅威を受けた最後の世代からの貴重なメッセージであるというコメントがあった。
その後、ヒバクシャが5グループに分かれて地元NGO関係者、シドニー大学の教授や学生、地元在住日本人などとトークセッションを行い、活発な質疑応答の時間となった。ここでも三田村静子さんがラッド首相への手紙を代読し、佐藤広枝さんによる挨拶で会は終了。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海

(パブリックミーティングで証言を行う中西さん)

 

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-5

(「核のない未来賞2008」受賞者のジリアン・マーシュさん)

夜の船内レセプションでは招かれた約100名の地元ゲストを前に、在シドニー日本総領事館の稲留和俊主席領事が昨年10月に第一回会合が開かれた「日豪共同イニシアティブの核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」に触れ、日本政府としても核兵器のない世界を目指していると挨拶。そしてスコットさん、ジリアンさん、キャスリンさんと発言が続き、9条ユースアンバサダーの中島泰子さんは世界の平和実現のためには憲法9条の世界化が必要と訴えた。最後に、大森克剛さんのピアノによる『長崎の鐘』と『青い空』の合唱が行われ、大盛況のうちに幕が閉じられた。

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-6

(挨拶する在シドニー日本総領事館の稲留主席領事)

ヒバクシャ地球一周 証言の航海-7

(大森さんのピアノ伴奏による合唱)

数日間にわたってさまざまな便宜を図ってくれたスコットさんは、一連の交流を振り返って「オーストラリア国内で10月に行われた最新の世論調査では、国民の約60%がウランの輸出に反対しているという数値が出ている。だが経済成長や失業率のことが優先順位の上位を占め、政策に反映されていないのが現状。ただ一市民が何ができるのかをあらためて問いかけたいと思っている。核廃絶は長い戦いだが、情熱と楽しみを持ち続けながら取り組みたい。今回、ヒバクシャの証言を直接聞く機会を持てたことはとても励みになった」と述べた。

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